自己点検・評価報告書 (自然系(数学)教育講座) 松岡隆

報告者 松岡隆

1.学長の定める重点目標

1-1.大学の活性化を目指す教育活動

(1)目標・計画

  1. 学部1・2年次生に対する専門科目については,授業内容の十分な理解と基礎的学力の向上を図るため,毎回の授業開始時に小テストを行う。 小テストの成績総点を30点(残りの70点は期末試験の成績)と大きく設定し, 毎週の授業終了後の学習を促す。
  2. 3・4年次生の専門授業では,幾何学に関する総合的な思考力の育成を図るため,自分自身で解決の道筋から見つけなければならない課題を与える。成績評価は基本的に期末試験によるが,演習で成果発表をした受講生には2~3点程度のポイントを与え成績に加算することにより,より活発な学習を図る。
  3. 大学院の授業では,幾何学と現実の事象との関わりに重点を置き,幾何学に対する興味関心を引き起こすとともに,教育における幾何学の意義をより深く理解させる。成績評価は,授業時の演習と期末に課すレポートの成績を総合的に判定し,自発的な学習を促す。

(2)点検・評価

  1. 学部1・2年次生に対する専門科目において,毎回の授業開始時に,宿題として提出した課題や前回の内容に関する小テストを行った。小テストの成績総点を 30点とおいたため, 大多数の受講生に十分な復習を促し,理解を確実なものにする効果があったと考える。また,大きな副次的効果として,受講生の理解が不十分であった点を把握することができ,これに応じて,授業計画に適切な修正を加えることができた。
  2. 3・4年次生の専門授業では,総合的な思考力の育成を図るため,様々な観点から考えることができ,自分自身で解決の道筋を選んでいく必要のある課題を交えた。演習で成果発表をした受講生には2~3点程度のポイントを与え期末試験の成績に加算することを,初回の授業時に説明し実施した結果,積極的な発表を行う受講生が多数現れ,活発な授業となった。
  3. 大学院の授業では,現実の事象と幾何学との関連を理解することを目的として,折紙や身近に見られる縞模様などを,学校数学を用いて調べる講義・演習を行った。特に,演習には大きな時間を割き,試行錯誤を繰り返しながら数学的仕組みを自ら発見していくことができるよう指導を工夫した。これにより,幾何学に対する新たな興味関心を引き起こすとともに,数学を学ぶこと,教えることの意義をより深く理解させることができた。成績評価は,演習点と期末レポートの成績を総合的に評価した。演習点は,より積極的・自発的な取り組みを促す効果があった。期末のレポートにおいては,理解を確実にし深めるための課題の他に,自ら調べ視野を広げるための課題を課すことにより,理解の定着と数学観の拡大向上を図った。

1-2.学生支援、地域連携活動

(1)目標・計画

  1. 講座が開講する,学部3・4年次生,ストレートマスター,長期履修学生対象の「採用対策塾」におおいて,各都道府県の教員採用試験の幾何学関係過去問題を演習として解かせ,その解説・指導を行う。(学生支援)
  2. 講座が学内で開く小・中学生対象「数学教室」の企画・実施を担当する。また,鳴門市「子どものまちフェスティバル」が開催されれば,算数紹介コーナーを企画し実施を担当する。(地域貢献)
  3. 南アフリカJICA研修の講師を務める。(国際協力)

(2)点検・評価

  1. 4月より教員採用1次試験までの間,各県教員採用試験の幾何学関係過去問題を演習として解かせ,その解説指導を行った。学部4年次生5名程度が毎回参加し,必要な学力の定着に貢献した。(学生支援)
  2. 以下の活動の企画・実施責任者を務めた。(地域貢献)
    • 講座主催の「算数おもしろ教室」
    • 鳴門市「子どものまちフェスティバル」における図形パズル紹介コーナーの設置
  3. 南アフリカおよび大洋州JICA研修の講師を務めた。(国際協力)

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

  1. 卒業・修士論文の指導にあたっては,学生が自発的な研究を行うことを重視して指導する。
  2. 授業で用いる教材・課題にさらなる工夫を施すことにより,授業改善を行う。

(2)点検・評価

  1. 4人の院生を指導したが,それぞれの興味関心を尊重してテーマを選ぶよう指導したため,学生それぞれに毎週1時間を割くことになり,指導のための時間労力が大変であったが,それに十分に見合う効果を挙げることができたと考える。 卒業論文の指導においては,2名の学生を指導したが,ゼミの後半は,学生がゼミの途中で発見した現象を数学的に解明することを中心とした。学生は,この現象に自ら名前をつけるなど,熱中して取り組み,かなりの部分を解明することができた。
  2. 学部の授業「幾何学II」では,中学・高校の幾何学内容を学年ごとに調べ,全体構成を表にまとめる課題を導入した。また,「幾何学III」では,曲率の概念の応用例として,回転数を取り上げ,微分学の有用性を示した。大学院の授業では,縞模様の数学理論の新たな側面を示す具体例を追加した。

2-2.研究

(1)目標・計画

  1. 18年度の科学研究費が採択されたら,その課題の研究を遂行する。不採択となった場合は19年度の申請を行う。
  2. 不動点理論に関する現在執筆中の著書「Braids and periodic points on surfaces(仮題)」の全体構成をまとめる。
  3. 連合研究科プロジェクト「教育実践学の観点から捉える教科内容学の研究」において,数学科の教科内容の研究開発を行う。

(2)点検・評価

  1. 18年度の科学研究費が不採択となったため,19年度の申請を行った。また,科学研究費基盤(C)(代表者成川公昭)の分担者として,微分方程式の周期解の位相的研究を行った。
  2. 不動点理論に関する現在執筆中の著書「Braids and periodic points on surfaces(仮題)」の全体構成を定め,半分程度の部分の概略の執筆を終えた。
  3. 連合研究科プロジェクト「教育実践学の観点から捉える教科内容学の研究」において,算数科の教科内容の国際比較を通した分析を行い,その成果を連合大阪サテライトでのプロジェクト研究発表会で発表した。

2-3.大学運営

(1)目標・計画

  いずれかの委員会の委員を勤め,その職務を遂行する。

(2)点検・評価

  学部教務委員会と国際交流委員会の委員を務めた。さらに,実地教育専門部会の委員を務めた。

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

  1. 附属小・中学校の算数・数学教員から質問,相談があれば,綿密な解答,アドバイスを行う。(附属学校)
  2. 教員支援講師・アドバイザーに登録する。学校現場から講師としての要請があれば,必ず引き受け,生徒・児童に数学の楽しさ,面白さを伝えるよう努める。(社会連携)
  3. 講座が学内で開く小・中学生対象「数学教室」の企画・実施を担当する。また,鳴門市「子どものまちフェスティバル」が開催されれば,算数紹介コーナーを企画し実施を担当する。(社会貢献)
  4. 南アフリカJICA研修の講師を務める。(国際協力)

(2)点検・評価

  1. 附属中学校の数学教員から,面白い図形教材を紹介してほしいとの依頼を受けたため,様々な教材を実物を持参して説明した。(附属学校)
  2. 教員支援講師・アドバイザーへの登録を継続した。兵庫県数学教育会高等学校部会淡路支部研究会において,講師を務め,高校生に数学の楽しさ,面白さを伝えるための幾何教材例を紹介した。(社会連携)
  3. 講座が学内で開く「算数おもしろ教室」の企画・実施の責任者を務めた。また,鳴門市「子どものまちフェスティバル」において,図形パズル紹介コーナーの設置を企画し実施責任者となった。双方ともに,これまで責任者を継続して務めてきたことによって得た経験を生かして,運営方法・内容を改善して実施することができた。(地域貢献)
  4. 南アフリカおよび南大洋州のJICA研修講師を務めた。(国際協力)

3.本学への総合的貢献(特記事項)

  1. 連合大学院の自然系議長を務めた。
  2. 附属中学校の選択授業を7時間分担当した。
最終更新日:2010年02月17日

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