自己点検・評価報告書 (言語系(国語)教育講座) 村井万里子
報告者 村井万里子
1.学長の定める重点目標
1-1.大学の活性化を目指す教育活動
(1)目標・計画
教育の専門大学として、「教育即研究」の理念を実現する教育・実践活動を行う。
- 学問的な水準の高さと、学生のわかりやすさとを併せもつ授業をめざす。(作文指導の重点化)
- 卒業・修了後の仕事・現場での教育研究に役立つ教育をめざす。(評価研究の重点化)
- 卒業・修了後のネットワークをつくり、これを教育・研究活動に役立てる。(ゼミ通信の発行)
- 学内・講座内の教員間連携を密にし、信頼関係を高める。(「教科教育研究会」活動の充実)
(2)点検・評価
目標は下記の点で達成できた。
- 小学校教員免許必修科目において、原理的な言語理論と現場教師の基本としての作文指導を統合した授業カリキュラムを、8~9割程度まで(20年かけて)完成することができた。
- 上記1の授業の中で「評価」に重点を置いた。
- ゼミ通信「藍の花」7号を発刊し、修了生に送って近況報告を得た。
- 学生・院生への教育活動は、日本語教育分野も含め密接な連携が達成された。教科教育研究会は全学的評価スタンダード作成に向けての新課題が始まり、教科教育教員の他の2名とともに熱意をもって研究を開始している。
1-2.学生支援、地域連携活動
(1)目標・計画
- 大学院定員充足のため、県内・県外出張の際に、積極的に大学院の宣伝活動をする。
- 県内の小・中・高校に、可能なかぎりの機会をとらえて出向き、校内研修や授業改善への取り組みを支援する。(教育支援アドバイザー制度の利用)
- 第7回徳島国語教育実践研究会を開催し、県内の国語教育実践を支援するとともに、1にも役立てる。
(2)点検・評価
- 大学からの要請時だけでなく、日常的な現場との共同研究活動のなかで、大学院の意義を説いた。
- 県内那賀郡相生小学校の校内研修、小松島市小学校教育研究会国語部会に招かれて助言を行った。
- 第7回徳島国語教育実践研究大会は、附属小学校を会場に研究発表6,ワークショップ4つを実施した。好評のうちに終えたが県内の他の公的行事と重なり、「参加したくてもできなかった」の声が聞かれた。
- 毎月の「国語教育月例研究会」に参加し現場教員との日常的な教育研究活動が行えた。
2.分野別
2-1.教育・学生生活支援
(1)目標・計画
- 学生の主体的学習を促すため、学生の反応に基づくインタラクティブな授業展開をはかる。
- 講義形式の授業にも、学生の発表活動や相互批評を取り入れる。
- レポートや答案の解説を授業内容に含めて構想し、記述式問題の出題法や評価法を精錬する。
- コア授業「初等中等教育実践基礎演習Ⅱ」では、ティームティーチングの実をあげる。
- 学生の学業や進路、日常の悩み相談に随時応じて、共に考える姿勢を貫く。
(2)点検・評価
- 2授業の中で「ミニレポート」を多用し学生のその都度の理解に応じた指導の実をあげることを図り一定の効果を上げた。但し多人数(60人超)のため学生の発言・発表活動の機会が限られた感は否めない。
- レポートや試験を成績付けに用いるだけでなく、解説を付して学生に返還し有力教材の一つとして用いた。(大学が「試験期間」を特定期間に限定して設置するのはこの点から不合理であり、反対である。)
- コア授業では国文学担当教員とチームを組みその教育内容を相互にサポートして、新授業シラバスの原型を作った。
- 4年生担任・講座主任として、ゼミ指導教員と協力して生活面、学業面での相談・サポートを行った。
2-2.研究
(1)目標・計画
- 研究テーマ「教育の基礎としての作文指導研究」を論文にまとめる。(第1次)
- 研究テーマ「読書個体史にもとづく読みの指導力向上法の研究」を論文にまとめ、学会誌に投稿する。
- 科学研究費補助金「国語科教育改善のための言語コミュニケーション能力の発達に関する実験的・実践的研究」の研究分担者として、当該研究をまとめる。
- 科学研究費補助金「相互評価的視点・発達的視点に立つ教員養成のための文章表現指導に関する実践的研究」の成果をまとめ、1にいかす。
(2)点検・評価
- 研究を始めて25年間に発表した論文の中から、「読むこと」「日本語教育」に関するものを集めて編集し、ようやく初めての単著『国語・日本語教育基礎論研究』(渓水社、2006.11)を刊行した。
目標1,2は上記単著に労力を取られて実行できなかった。3.科研報告書は、20年来の教育・研究で見出した理論に基づき、原理的な章の執筆を担当した。4.科研報告書は、研究担当箇所を執筆した。 - 就職後20年間「教員養成大学という教育現場」を離れて、「研究」に専念するFD又は内地留学等の機会を1度も得られなかった。平成19年度は教育並びに業務分掌上種々の点で周囲への迷惑度が比較的低いと見られるため内地研究員を初めて申請したが、審査により却下された。専門が「教科教育」であるため自然な状態では当然「教育」に比重がかかる。「研究」に力を注ぐのは難しいが自助努力をするしかない。
2-3.大学運営
(1)目標・計画
- 前年に引き続き、学部入試委員会委員として本学の運営に貢献する。
- 言語系国語講座としての職務を果たし、本学の運営をささえる。
(2)点検・評価
- 4年生担任は「就職委員会委員」となる、という講座内の申し合わせにより、学部入試委員会委員を中絶して1年間就職委員会委員をつとめた。採用試験合格率上昇への圧力はますます高まっている。
- 言語系(国語)教育講座の講座主任を、講座所属教員の全面的協力を得て何とか担当し終えた。反省点は数多いが、初めての講座主任担当は重いものであった。客観的には高評価は得られないと認識しているが、主観的には「精いっぱい努めた」としか言いようがなく、そのように自己評価をさせていただく。
2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等
(1)目標・計画
- 第29回・第30回学部附属国語科連絡協議会を実施に向けて、世話人をつとめる。(幼・小・中・養護学校園と学部との連携)
- 附属中学校の教育研究活動を支援する。
- 講座全体と協力して、講座単位の国際交流活動を支援する。
(2)点検・評価
- 学部附属国語科連絡協議会の世話人をつとめ、第29回・30回の協議会を実施し、幼稚園、養護学校(特別支援学校)を加えた4附属1学部の完全体制が軌道に乗った。
- 附属中学校での研究活動、大学学部授業の一つとしての附中授業参観・授業参加などを実施した。
- 第5回日韓国語教育国際セミナーにおいて、世話人の一人として全行程のマネジメントを他のメンバーとともに行った。
3.本学への総合的貢献(特記事項)
- 本学図書館の大村はま学習記録保存法検討に係わるワーキンググループ責任者を務め、この学習記録の価値、現在の利用法の実態を明らかにして、複製作業の緊急性と紙媒体での複製の必要性を述べた。複製作業が速やかに行われるよう、心から願う。
- 学部学生の自主的集団学習(授業・演習準備等)の実を挙げ、教員採用試験の成績向上にも関係する「国語科学部生控室」の確保が永年の講座課題であるが、今年もこれを解決できなかった。国語科の場合「学生の居場所」に流用できる部屋の余裕が全くないため、「控室の設置」は不可欠の要請となっている。
最終更新日:2010年02月17日