自己点検・評価報告書 (学校改善講座) 佐古秀一
報告者 佐古秀一
1.学長の定める重点目標
1-1.大学の活性化を目指す教育活動
(1)目標・計画
○授業改善(学部)
次の3つのねらいをもって授業(主として学部に授業に関して)を行いたい。
- 学生の学校教育や教職に対する関心を高めたい。
- 教育問題に対して,自ら考え自分の見解や意見をもて,述べることができるようにしていきたい。
- 授業担当する領域における基礎的な概念,理論の習得を図りたい。
このために,
- 学校教育に関する具体的で論争的なテーマとなっている教育問題(例えば,習熟度別指導の是非,低学力現象の実態とその背景など)を授業の題材として取り入れていく。
- それらに関する集団討議やグループワークを実施し,学生に積極的な発言を求めていく。
- 学習用シートなどを作成して,基礎的な事項の習得をはかる。
○授業の評価
公正で着実な理解に結びつく評価を行う。
- 学習の単位(内容的なまとまり)ごとに,小テスト(レポート)などを実施し,学期末テストなどと総合して評価を行う。
- 学習の単位(まとまり)ごとに,小テストを実施するだけでなく,その結果を学生にフィードバックし,理解の不足している点,誤った理解をしている点などを,できるだけ速やかに是正できるようにしていく。
(2)点検・評価
授業改善の目標としてあげた,3つの点については,学部で担当する2つの授業(「学校の組織と集団」,「教育制度・経営論」で積極的に試みた。「学力低下現象をどうとらえるか」,「習熟度別指導のメリットとデメリット」などの題材を取り上げながら,それぞれについて現状と問題に関する資料を準備し講義した後,学生個々の考えさせた上で集団で討議させるという展開を取り入れた。学習内容を(1)取り上げる題材に関する学習と,(2)集団で討議した過程を振り返らせることによる,リーダーシップや集団構造などの集団過程に関する学習,の2重の構造として展開するように試みた。そのために授業の準備も入念に行った。また,主要な基礎的事項については,学習シートを作成し,学生に理解を徹底させるようにした。
評価に関しては,学習単位ごとのレポートを課して,その都度,学生の理解度を確認しながら,理解が不足していると思われる事項については授業で補足するようにした。また学期末に基礎的事項についての試験を実施し,学生の習得を図った。
評価に関しては,学習単位ごとのレポートを課して,その都度,学生の理解度を確認しながら,理解が不足していると思われる事項については授業で補足するようにした。また学期末に基礎的事項についての試験を実施し,学生の習得を図った。
1-2.学生支援、地域連携活動
(1)目標・計画
- 徳島県及び鳴門市の教育委員会・学校との連携活動
- 平成11年度から継続してきた,学部学生(学校教育)の「学校訪問活動」をサポートするなどして,鳴門市 の教育委員会,学校との着実な協力関係の構築に努める。
- 教育委員会や学校の研究・研修活動に積極的に協力していく。
- 学生の支援
- コース所属のストレートマスター(とくに長期履修学生)に対して,進路および修学に関するアドバイスや情報提供を行う。
(2)点検・評価
- 徳島県及び鳴門市との連携
学長裁量経費を得て,今年度も引き続き,学校教育コースの学生を対象とする「学校訪問活動」を鳴門市内の3小学校の協力を得て実施することができた。この他にも,鳴門市教育委員会との連携活動としては,鳴門市教育論文の審査委員,コンピュータ活用推進協議会委員として活動した。また,鳴門市における学力向上の取り組みの一環として実施された研究主任を対象とした研修会の講師をつとめた。
徳島県についても,教頭研修の講師をつとめた他,徳島県下の小学校の校内研修などにも協力をした。
なお,徳島県以外の地域連携活動については,2-4に記述したとおりである。 - 学生の支援
直接指導担当をしているストレートマスターに対しては,教員採用試験の動向などについてアドバイスなどを行ったが,その他の院生に対する対応は十分とは言えなかった。この点は,課題を残している。
2.分野別
2-1.教育・学生生活支援
(1)目標・計画
- 「学校管理職養成分野」における教育内容の充実
来年度は,学校改善コースの管理職養成分野に新たに大学院生を受け入れることになる。この分野は,教職大学院の先取りとでもいいうる性格を有しており,教職大学院におけるカリキュラムや授業を考える上で,重要な意味をもっていると考えている。大学院生の実践的な問題解決力の育成に資するように次の点に留意した授業展開を行いたい。
- 具体的な事例の検討,分析を中心にした授業構成を行う。
- 実務経験のある教員との協力体制(TTの実施など)を整え,この分野の教育の充実をはかる。
- 現職院生と学卒院生の知識,関心のちがいに配慮した授業の工夫
これまで担当する授業の受講生のほとんどは,現職教員であったが,来年度は学校改善コースに所属する長期履修学生等が大学院授業を受講することが予想される。このため,- 学卒院生に対しては,授業内容の理解度をきめ細かくチェックしたり,現職院生との討議や意見交換の機会を設けるなど,授業の工夫を行う。
2-2.研究
(1)目標・計画
- 研究テーマは,学校の組織特性に関する理論的・実証的研究,及びその改善・変革方法論に関する実践的研究であるが,来年度は,引き続きこのテーマに関する論文を発表し,研究の継続的な蓄積を行いたい。
- 他大学等の研究者との共同研究にも積極的に参加し,自らの研究の進展につなげたい。
- 科学研究費補助金など外部資金の獲得に努力する。
(2)点検・評価
2-3.大学運営
(1)目標・計画
引き続き,学内委員会の委員等(ワーキングなどを含む)などを通して,大学運営に関わっていく。
(2)点検・評価
昨年度は,講座主任,大学院入試委員の他,教員養成専門職大学院検討部会及びカリキュラム検討ワーキンググループのメンバー,教員組織見直し検討委員会の委員として,大学改革に関する問題に関わった。とくに,カリキュラム検討ワーキンググループの活動については,教職大学院の設置構想の作成に関して,かなりの時間を費やして参画した。
2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等
(1)目標・計画
1. 修了生に対するフォローアップ活動に取り組む
修了生に対するフォローアップ体制を整えることは,大学における教育効果をより確かなものとするためにも,また大学と学校とのネットワークを構築していくためにも重要なことだと考えられる。来年度は,講座単位だけでなく研究室としても,次のような活動を行いたい
- 修了生に対して研究室の近況を伝える通信物を発行したり,修了生との研究会を実施する。
- 徳島県以外の教育委員会等の研修・研究にも協力して,研究の成果を積極的に還元するようにしたい。そのような機会を通して本学への関心や理解を高めるようにしていきたい。
(2)点検・評価
- 修了生に対するフォローアップ
研究室の修了生をまじえて,研究室で取り組んでいる研究内容を中心に検討を行う「オープンゼミ」を,8月と3月に実施した。東京や沖縄からも修了生が参加し,研究室において展開している研究について,活発な議論ができた。3月には研究室の修了生に対して「ゼミだより」を作成して配付し,研究室の近況を伝える試みも実施した。 - 研究成果の社会的還元
現在取り組んでいる学校組織開発研究の成果を還元する活動を積極的に行った。
ひとつは,学校との共同研究である。われわれの研究室で展開している学校組織開発のモデルにもとづいて,高知県の小学校(1校),大津市の中学校(1校)と,共同研究を実施し,年間を通した学校の支援を行った。
第2は,講演等による研究成果の還元である。大分県「教育の日」基調講演,福井県,鈴鹿市などの教育委員会の研修,京丹後市,八尾市などにおける校長会,教頭会などの主催による研修の講演,徳島県以外にも,東京都,滋賀県,三重県,高知県などの小・中学校における校内研修の支援などを行った。また,日本教育新聞社主催の教育セミナーの講師として,東京,名古屋,松山で講演を行った。
第3は,管理職養成に関する研修プログラムの開発に関する活動である。
高知市教育研究所と協力して,教頭新任用時から4ヶ年間にわたって実施する教頭研修(「学校組織運営」)のプログラムの開発と実施を行っている。これまでの学校組織研究の成果をふまえて,体系性・連続性のあるプログラムとなるよう努力している。
また,高知県教育委員会の管理職育成プログラム研究会の委員としても活動している。
3.本学への総合的貢献(特記事項)
重点事項の一番目の授業改善については,上記したように学部及び大学院の授業ともに,授業内容の理解と受講生の意欲を高めるための工夫を行ってきた。その結果として一定の成果も得られたと思われる。
重点事項の二番目の大学の地域貢献,社会的貢献については,鳴門市との継続的な連携活動を実施しているとともに,とくに研究室で展開している学校組織開発研究に関して,徳島県内だけでなく,広範囲の教育委員会,学校との支援活動,あるいはそれらとの共同研究が実施できた。
研究活動については,研究論文の発表などに関してはほぼ計画通りであったといえるが,外部資金の獲得などについては課題を残している。
大学運営に関しては,講座主任,大学院入試委員会委員の活動に加えて,教職大学院と教員組織改編に関する2つの検討部会のメンバーとして大学改革に関する活動に参画し,活動した。
最終更新日:2010年02月15日