4-1.各教育部の教育・研究活動等の概要並びにコース等及び各教員の自己評価結果報告等
本学では,教員組織である教育部の活動状況について,各教育部長が自己点検を行うこととしている。
また,コース等及び各教員は,学長が定める重点目標及び次に掲げる項目について,自らが設定した目標により自己評価を行うこととしている。
- 教育・学生支援生活
- 研究
- 大学運営
- 附属学校・社会との連携,国際交流等
- 本学への総合的貢献
これらの自己点検・評価結果について,以下に示す。
1.基礎・臨床系教育部
(1)構成
基礎・臨床系教育部(以下,本項においては本部と略称する)の平成25年4月1日現在の所属教員(大学院専任教員:見なし実務家教員を除く)は,教授23,准教授もしくは講師25,計48名である。本部の特徴は,所属教員が担当する教育組織(専攻,コース)が多岐にわたることである。本部所属教員は大学院において,4つの専攻(人間教育専攻,特別支援教育専攻,教科・領域教育専攻,高度学校教育実践),9コース(人間形成コース,幼年発達支援コース,臨床心理士養成コース,特別支援教育専攻,国際教育コース,学校・学級経営コース,学校臨床実践コース,授業実践・カリキュラム開発コース,教員養成特別コース)にわたっている。また,教職大学院設置後は,学校現場での教職及び教育行政の経験豊かな実務家教員の多くが本部の所属になったこともあって,キャリアが多様な教員が所属している。
(2)部運営・部会議
本部が関与している教育組織が極めて多様であるために,教務事項や入試事項については,それぞれの専攻,コースごとに事情が異なり,部会議の審議に対する教員の関心や理解において温度差があることが懸念されてきた。そのため,教務事項及び入試事項については各専攻会議において十分な審議を行うようにしている。
(3)教育研究活動
(4)社会貢献
教員の多くは専門分野を生かし,文部科学省や各都道府県や市町村の教育委員会等の各種委員,学外からの依頼による講演,教育支援アドバイザーとしての活動,徳島市教育委員会との連携による学校支援専門家チームへの登録,三重県鈴鹿市教育委員会との連携事業,公開講座など,いずれの専攻・コースともに非常に活発に活動している。
(5)直面している課題
②本部は,教職大学院において経験豊かな実務家教員が数多く所属していることもあって,教員の職位と年令の不均衡が顕著になっている。具体的には,実務家教員は採用時に年齢が高くならざるを得ず,それゆえ,教員の年齢構成が高齢化するだけでなく,教授昇任時に研究者教員と実務家教員のバランスをとることが難しくなっている。
基礎・臨床系教育部所属教員
*教員氏名は,当該教員の自己点検・評価報告書へとリンク
2.人文・社会系教育部
(1)構成
人文・社会系教育部は,現代教育課題総合コース,言語系コース(国語),言語系コース(英語),社会系コースの4コースで構成されている。平成25年度当初の部構成員は、36名であった。
平成25年度の人文・社会系教育部の部長には,昨年に引き続き前田一平教授(言語系コース(英語))が就任し,人文・社会系教育部を代表する評議員を山本 準教授(社会系コース)が務めた。平成25年度の各コース長は,太田直也教授(現代教育課題総合コース),余郷裕次教授(言語系コース(国語)),伊東治巳教授(言語系コース(英語)),立岡裕士教授(社会系コース)であった。
人事関係では,言語系コース(国語)の茂木俊伸准教授が平成25年3月末で転出した。この後任人事は,現在,大学改革を推進中のこともあり,凍結となっている。また,(言語系コース(英語))のブラッドリー・バーマン准教授が退任した。昇任については,(言語系コース(英語))の真野美穂講師が准教授へ,社会系コースの井上奈穂講師が准教授へとそれぞれ昇任した。
(2)部運営・部会議
(3)教育研究活動
現代教育課題総合コースではゼミ単位での履修科目の指導,履修単位の確認を徹底させた。論文執筆に関連して,日本語の読解と表現に関する指導は徹底して行った。現在行われている院生主体の勉強会をさらに活発なものとすべく協力した。
社会系コースでは、就職支援を徹底し、受験生に模擬授業・場面指導の実践機会を設け、現職院生も交えて指導を実施した。また修士論文の作成を順調に進めるため、コース全体で修士論文の中間発表会を開催するなど、研究指導にも力を入れた。
言語系コース(国語)では,学年別オリエンテーションを実施し,教員採用試験に対する受験勉強の計画法・学習方法・受験都道府県(市)の選び方,また,就職活動全般に対する心構えなどを指導した。大学間交流協定締結校との学生間の交流を図った。
言語系コース(英語)では,TOEIC IPテストを実施し,学部生用自習室E-ポケットを自主学習の場として環境を整備し,授業外の学習を支援した。学部授業「英語コミュニケーション」はすべてネイティヴの教員で実施し,「英語リーディングⅡ」は全クラス一斉にTOEIC対策の授業とし,学部生の英語運用能力の養成に尽力し,また,学生の留学を支援した。
人文・社会系教育部の各教員が科学研究費補助金の獲得に努めた。
(4)社会・国際貢献
第1に,それぞれの専門性を生かし,県内・県外の教育委員会をはじめとした各種委員会委員として活動している。
第2に,教員免許状更新講習や県内・県外の教育委員会主催の教員研修講座の講師・助言者として活動している。
第3に,本学の地域支援活動の中核をなす教育支援アドバイザーの講師として活動している。
第4に,本学主催の公開講座の講師として,積極的に社会(地域)貢献に参画している。
第5に,附属学校主催の研究大会や研究授業での指導助言者として,積極的に関与するだけでなく,教育実習や共同研究の場を通じて附属学校園との連携を強めている。
国際貢献では,留学生の派遣と受け入れに積極的に取り組み,実績を上げている。
人文・社会系教育部所属教員
*教員氏名は,当該教員の自己点検・評価報告書へとリンク
自然・生活系教育部
(1)教育部の運営
教育部会は,8月を除き,原則毎月第3水曜日の14:40から開催した。これまで同様,教育部会開催日までにメーリングリストにより,各委員が委員会報告を部会議前に事前に提供した。教育部長はその事前報告に基づき,各種委員会の報告及び検討事項からなる議事次第を作成し,教育部会案内を構成員に送付した。各種委員会委員は,教育部会で会議内容を説明し,質問・回答により共通認識を図った。疑義が残る事項については各委員が委員会に持ち帰る等の対応を行い,積極的な大学運営に寄与した。なお,特に重要な案件については議題として設定し,十分な意見交換を踏まえて審議した。
(2)教育・研究活動
教育活動においては,いずれのコースともその教科の背景のもとで,学校で行われている授業内容との関わりを意識した授業を行った。教科の専門科目においては,学校において指導される教科の内容がその根本においてどのように各教科の授業科目で教授されているかや将来どのような関わりを持つものであるのかについて,それぞれの教員が自らの専門の立場から教師としてその専門性の理解と基盤となる概念に基づく考え方の重要性を説き,単純な指導技術の獲得だけに終わらぬよう配慮した。また,教科教育科目においては,教科専門科目において培われた専門に対する深い理解のもと,実際の学校において行われている授業を見直し,その授業内容や方法を分析し,そのことを通して教材開発や授業作りなど教育実践に繋がる授業を行った。その際,各コースの教員が横の連携を密に共通の認識を持つとともに,その到達目標を明確に設定して各々の授業の実践に当たった。
学生の修学状況については,それぞれの教員が注意してきめ細かい指導を行っているが,特にそれぞれのコース内でコース長,クラス担当教員,研究指導教員が主体となって情報共有を行い,連携を取った学生指導を行った。学部学生の指導では,将来の教員として要求される基礎力や課題を的確に捉えそれを自らの力で解決できる幅広い素養の育成を目指し,それぞれの年次の段階に応じた教育指導を行うとともに,学生生活全般に亘って充実して目標を持って勉学や生活を送ることができるよう,きめ細かい指導に努めた。大学院学生の修士論文指導においては,それぞれの学生の研究希望内容を尊重し,各自の希望に沿った研究課題が設定できるよう配慮し,指導教員を決定して指導に当たった。希望分野が複数の領域にまたがる場合や学際的な領域になる場合には,教員間の相談のもと,指導教員のみならず複数の教員が協力し,互いにカバーしながら教育できるような指導体制を組むことにより,学生の希望ができるだけ実現できるよう努めた。
具体的な指導においては各々のコースにおいてそれぞれの教科の特性があり,各コースでそれぞれに多様な工夫や目標設定を行い,学生にとってより良い研究活動ができ,また優れた研究成果を得ることができるよう指導し,学生の勉学環境,生活環境,進路指導に亘ってより良い環境が得られるよう努めた。留学生に対しては,国際セミナーや外国からの教育研修にも参加できるよう配慮し,先端的で国際的な研究にも触れる機会を設けた。ただ,長期履修学生の増加に伴い,実習や実験あるいは広く教育の質に対する影響が深刻な問題となっていることは事実である。これに加え,長期履修学生を含め,大学院生の基礎学力の格差も問題となってきている。現状は各教員の努力に任されているが,その負担は大きく,教員個人や各コースの努力では克服できない制度的な問題も浮かび上がっており,改善に向けて検討を行う時期にきていると思われる。学生の自主性の確立も大きな問題として感じられる。そういった問題を感じながらも,一方では,教員採用に向けて,就職支援室と連携しながら,教職の意義に対する指導に始まり,教員採用試験対策セミナー,論作文の指導,模擬面接等の過去問の解説による指導等,それぞれのコースで対策を講じている。
研究活動については,大学教育の基盤はそれぞれの教員の研究活動によって培われた成果とその研究姿勢が醸し出す環境にあるとの共通認識の下,教員それぞれがお互いの研究を尊重し,自らの研究を行った。その研究成果は,国内・国際学会での発表や学会誌掲載を行い,高く評価されるものも数多くある。また,学校の課題の分析や課題の解決に向けての提言,教育大学としてのカリキュラム分析等,非常に幅広い活動を行った。各教員の地道な研究に対する姿勢は,やがては大学の基盤を築く力となり,学生に与える教育の礎になると思われる。しかし,各々の教員は工夫しながら自らの時間を切り詰め,研究時間を確保しながら研究能力の維持に努めているが,そのこと自体が非常に厳しい状況になってきていることも現実である。今更言うまでもないが,研究活動は細切れに切り詰められた時間の合間で行うことができるものではなく,十分な時間と自由な発想の下においてのみ進めることができ,一つ一つの結果を深め,検証し,更にそれをじっくりと練り上げる根気と忍耐を必要とする精神活動である。そのためには,余裕のある研究時間と精神的ゆとりを確保できなければ,大学人としての研究を実現することはできない。大学を取り巻く状況や社会情勢等の種々の要因はあるにしても,本学では満足できる研究環境が提供されているとは言い難い状況である。研究活動ならびにその成果が大学の基盤を支えると信じながらも,現実において各教員は十分な研究時間と精神的ゆとりを確保できず,引いては学生へのゆとりある指導に発展していないことは残念である。ただ,各教員の努力により科学研究費補助金や教育研究支援プロジェクト等を受ける等,それぞれの研究課題において十分な成果を上げており,今後も積極的な研究活動を維持していきたい。
(3)附属学校及び社会との連携
附属学校との連携においては,各コースの教員が協力してそれぞれの分野において研究活動に対する助言を行うとともに,共同研究も行った。また,生徒を対象として講演や授業を行い,普段の授業とは違った立場からのものの見方や考え方を伝えることができた。特に,各附属学校の研究発表会においては事前に入念な議論や打ち合わせを行い,連携してその研究を深め,更に当日の研究授業の助言を行うことができた。教育実習時においては各コース教員が附属学校や他の実習校を訪問し,助言に当たった。
社会との連携においては,次世代科学者育成プログラム事業や教育支援講師・アドバイザー,フレンドシップ事業,公開講座等を行い,各種学校の生徒に対する啓発活動を行った。教員に対しては,10年次研修,教員免許状更新講習,産業・情報技術等指導者養成研修をはじめとして,各種研修会において講師や委員を務め,その専門的内容や教育内容に対するより深い理解を促し,学校での教育に繋がるよう努めた。その他,地方団体主催の多くの各種研修会において,その講師や委員を務めるとともに,県や市の各種委員会委員に就任し,専門的立場から助言を行った。
(4)国際教育協力について
国際協力機構(JICA)による国際教育協力事業を関係コースで受託し,仏語圏アフリカ諸国,ケニア,アフガニスタン,モザンビーク,大洋州地域等に対して研修活動を行った。特に,これら研修の遂行においては,自然・生活系教育部の教員が積極的に関わることにより円滑に実施することができた。
自然・生活系教育部所属教員
*教員氏名は,当該教員の自己点検・評価報告書へとリンク
4.芸術・健康系教育部
(1)教育部の運営
芸術・健康系教育部は,芸術系コース(音楽)7名,芸術系コース(美術)9名,生活・健康系コース(保健体育)11名の計27名の教員により構成されている。
芸術・健康系教育部内の情報交換等については,昨年度を踏襲し,教育部のメーリングリストを作成し,これを利用して教育部会議開催通知と教育部会議議事要録を配信した。この役割について,部長とともに,部に所属する教育研究評議会評議員が分担し,互いに草稿段階の原稿に目を通し,正確を期すこととした。さらに各種委員会からの資料等を一斉配信する方式も,昨年度を踏襲し,継続した。また,昨年度に続き,エコアクション21の取り組みの一環として,部会議当日の紙媒体による資料配付を原則として全廃した。
各種の会議資料に関しては,これまでと同様に,芸術棟と健康棟の2カ所のメールボックスに「芸術・健康系教育部資料ボックス」を設置し,教育部会議で配信できなかった各種資料等を自由に閲覧できるように配慮した。
通常の教育部会議資料は毎月更新し,中期目標・中期計画等の継続性を有する重要な資料等に関しても,できるだけ,ここに置くように努めた。
各教員の教育部内での役割分担等については,昨年度と同様,各種委員会委員名簿と構成員名簿を一覧表として作成した。新規に設置される各種委員会委員の選出ローテーションを決定する際に活用している。
新年度に向けた部長候補の選出については,その選出方法を構成員全員による民主的な選挙とした。開票の係を置くなど,この選挙による選出プロセスを厳正なものとし,得票数を明示するなど,可視化を図った。
(2)教育部会議
基本的に,第3水曜日14時40分からの開催を定例とし,教育部長が議長となって合計11回の教育部会議を開催した。
部会議は,原則として,検討事項と報告事項の項目に整理し,それぞれ,各種委員会から委員が部に持ち帰った課題を検討する検討事項の審議と,同様に,委員が持ち帰った重要事項の報告に大別して実施した。また,教育研究評議会からの検討事項の審議と報告事項の伝達を実施した。これに関連し,必要に応じて,総務委員会,人事委員会等の検討内容について,適宜,概略が部長から報告された。
ただし,各コースから常時1名の委員を選出している学校教育学部教務委員会,大学院学校教育研究科教務委員会,学校教育学部入学試験委員会,大学院学校教育研究科入学試験委員会及び就職委員会の審議事項並びに報告事項については,各コース固有の課題等があるので,各コース会議に委ねることを基本とした。
なお,昨年度に引き続いて,教育部会議の記録は教育研究評議会評議員が担当して議事要録を作成した。全教員に要録の記載について確認を得た後に,教育部長が保管することとした。
(3)教育研究活動
芸術・健康系教育部の教育研究活動は,今年度も各教員の専門領域ごとに活発に展開され,本教育部としても顕著な成果を達成することができている。その詳細等については,各コース並びに各教員の自己評価結果報告書に記載されているとおりであり,本項では省略する。
(4)社会的活動
各教員の専門領域ごとに,その分野の学術学会や研究大会,講演会,演奏会,展覧会,審査会,競技会等を通じて,学術研究を通じた全国レベルでの社会貢献を行うとともに,地域の教育力を高めるために積極的な貢献を行った。
音楽コースでは,徳島県生涯学習情報システム「まなびひろば」など,協力要請に応じて積極的に幼稚園,小学校,中学校,高等学校等に出向き,指導・助言等を行った。
美術コースでは,大塚国際美術館と鳴門教育大学が結んだ「地域文化財教育活用プロジェクト」の趣旨に沿うべく,近隣地域に在住する子どもたちに学生ボランティアが美術館での学びを支援する機会(N*Cap)をコース所属の教員が組織した。また,2月に「第27回卒業展・第25回修了展」を徳島県立近代美術館ギャラリーと徳島県立21世紀館多目的活動室で開催し,展示作品を学外の方々からも評価していただいた。この時,21世紀館ミニシアターでは,論文発表会も行っている。
保健体育コースでは,鳴門渦潮高校と鳴門教育大学の連携協定にもとづいて,本学教員が直接,渦潮高校の授業(水泳集中)を担当している。今後さらに連携を深め,卒業課題研究などでのアドバイザーとして高校生の指導にあたる。また,徳島県教育委員会の「子供の体力・運動能力向上対策委員会」に委員として複数の教員が参画し,大きな成果を上げている。その他,国民体育大会での本件の競技力向上にむけた取り組みにも,中心的な役割を果たしている。」他方,教育部内の大多数の教員が教育支援講師・アドバイザー等派遣事業に登録し,県内の教育委員会及び各学校種等からの派遣要請に積極的に応じており,多くの成果を挙げている。
また,「鳴門教育大学なるっ子わくわく教室(大学開放推進事業)」として,「のびのび少年剣道教室大学」「アワー『いきいきリズム運動』」を開講し,公開講座と同様,多くの受講者を得て,好評を博した。
(5)その他
芸術系コース(美術)の武市 勝教授が定年により本年度末をもってご退職された。本学並びに本教育部への永年のご功績に対して,満腔の謝意を表する次第である。
*教員氏名は,当該教員の自己点検・評価報告書へとリンク