15.あとがき

―組織改革と質の向上による教員養成教育の充実―

  平成17年度より導入した「教育実践学を中核とした教員養成コア・カリキュラム―鳴門プラン―」が平成20年度に完成年度を迎えた。そこで,平成21年度に,このコア・カリキュラムの教育効果を検証するために,学部学生を対象としたアンケート調査を行った結果,60%の学生が「具体的な成果」があったと解答している。このことから,本学の教員養成コア・カリキュラムは,教員養成の質保証の観点からも一定の効果があると評価できる。今後は,カリキュラム評価等を通して検証し,改善を図っていくことが必要である。
  本年度は,教職大学院で修得すべき知識やスキル等を3領域(教育人間力,教育実践指導力,学校改善指導力又は協働的改善力)に整理し,さらにこれらの3領域のもとに,到達目標を設定し,教職大学院における学びと指導の履歴及び成果を大学教員や大学院生等が共有できる仕組みを構築した。
  平成22年度からの「教職実践演習」の導入に向けて,学内に「教職実践演習実行委員会」を設置し,カリキュラム及び履修カルテ制度の構築を行った。
  平成21年度から全学組織としてFD・SD委員会を設置し,全学で協同してこの事業を推進する体制とした。FD推進については,本学の重点施策の一つとして位置付け,ワークショップ及び学部授業の公開や特別公開授業を実施した。
  平成21年度は,文部科学省の先導的大学改革推進委託事業「教員養成に関するモデルカリキュラムの作成に関する調査研究」に採択され,本学の教員養成コア・カリキュラムを基に,国立大学教員養成におけるモデルコア・カリキュラムの作成とその的確判定基準の開発に取り組んだ。
  さらに,本年度は,平成20年度に設置された「予防教育科学教育研究センター」(学校現場の課題となっている不登校・いじめ・肥満等,子どもの学校適応や心身の健康について,一次予防的に維持・向上を図るためのプログラム開発と実践について,その役割を担う新しい組織)が兼務教員6人と研究員2人によって本格的に稼働した。本学の特色を生かした学校教育への貢献が期待される。
  以上,平成21年度は,国立大学法人評価委員会の評価を踏まえ,教員養成コア・カリキュラムの検証,教職大学院における到達目標の構築,全学的な組織としてのFD・SD委員会設置,委託事業「教員養成モデル・コアカリキュラム」の開発,「予防教育科学教育研究センター」の稼働等によって,教育研究の組織改革と質の向上を図った。
  最後に,これまでの教職員の方々のご尽力,ご協力にこころからお礼申し上げる。
教育・研究担当理事,副学長 西園芳信

中期目標・中期計画の第1期(最終年度)から第2期(次年度)へ

  ここでは,学生支援,社会連携・地域貢献,附属学校などにおける平成21年度の特筆すべき事項を取り上げることにする。
  学生の教員採用試験対策を今年度も全学的に取り組んだ。その結果,学部卒業生の教員就職率は78.3%,進学者数を除く教員就職率は過去最高の83.3%を示した。
  平成20年度から始まった教員免許状更新講習の受講者数は,平成20年度が延べ344人であったのに対し,今年度は1,422人に増加した。徳島県において中心的な役割を担っている。
  教育・研究の向上に寄与することを目的として,5校目となる高松大学と包括連携協定を締結した。
  附属幼稚園において,大学教員と連携し,新たに「保育者のための遊誘財データベース」のシステムを立ち上げた。
  以上,中期目標・中期計画(第1期)の最終年度である平成21年度は,仕上げの年として従来からの取り組みを発展させるとともに,第2期に繋げる新たな取り組みにも着手した。
企画・社会連携担当理事,副学長 山下一夫

中期目標・計画(第1期)最終年度の課題解決に向けて

  ○数値目標達成への取組み
  平成20年度に行われた,4年間の業務実績評価(「暫定評価「平成16年度~平成19年度)」)において,中期計画が十分実施されていないと評価を受けた数値目標の達成に向けて,目標値クリアのための施策の強化を図った。
  業務運営の改善及び効率化に関する目標に掲げた数値目標である「女性教員の割合を20%に引き上げる」については,「中期目標の達成状況はおおむね良好である」との評定を受けているものの,施策が十分に実施されていないことが課題として指摘されたため,学長裁量の人事枠を活用し,附属学校園に実地教育等に携わる教育支援教員(女性4人)を採用することにより,目標値の20%を達成することができた。
  また,財務内容の改善に関する目標に掲げた数値目標「科学研究費補助金を平成21年度までに40件に増加させる」については,暫定評価のうち,唯一,「中期目標の達成状況が不十分である」との評定を受けたため,第2期中期目標・中期計画の初年度の運営費交付金に反映する平成22年度には,一定額の減額が行われることとなったが,平成21年度の学長裁量経費を活用し,科学研究費補助金の申請・採択に該当する教員に対し,研究費を配分するというインセンティブ与えることにより,目標値の40件を達成することができた。
  数値目標の達成が,暫定評価には間に合わず,予算の減額を余儀なくされたものの,本来の6年間では,達成できてホッとしたと言うのが,率直な感想である。6年間を振り返ると,自ら設定した数値目標に振り回された感が否めないため,第2期中期目標・中期計画では,年度計画の設定により自由度を持たせるためにも,数値目標の設定は必要最小限としたところである。
  ○平成21年度の特徴的な業務内容
  最終年度の本年は,現在まで行ってきた取り組みのブラッシュアップ,新たな制度の試行等により,第2期中期目標・中期計画に繋げるという視点で業務運営等に取り組んだ。
  1. 財務関係では,教育研究費の業績主義的傾斜配分方式が評価されていることから,さらに,強化するため,学内予算でのウエイトを高めた。また,資金運用では,最終年度で運用原資も少ない中,昨年度以上の運用利息を確保した。
  2. 人事関係では,事務職員に対し目標管理をベースとした新たな人事評価制度の導入に向け,試行をスタートした。
  3. 広報関係では,大学院入学者が落ち込み,長期履修学生をターゲットとするインターネットでの広報を行った結果,長期履修生が増加し,定員の90%を確保した。

 

  以上の取り組みが,さらに進化を遂げ,着実に国立大学法人としての役割を果たしていくことが重要なことであると,感じた1年でした。
総務・財務担当理事 清水勇行

編 集 日 誌


年 月 日 事        項
H20.12. 9 学長が,各コース等・各教員に対し,平成21年度の「目標・計画」に対する点検・評価報告書の提出を依頼
H21. 1.16 上記「目標・計画」設定締切
H21. 7. 6 各コース等・各教員が設定した「目標・計画」について,適切であることを学長が了承
H21. 8.31 自己点検・評価報告書(中間報告)の提出を依頼
H22. 4.23 各コース等・各教員に対する,平成21年度の「目標・計画」に対する点検・評価報告書提出締切
H22. 6. 3 平成21年度監事監査実施
H22. 6. 8 第2回経営協議会において,「平成21事業年度に係る業務の実績及び中期目標期間に係る業務の実績に関する報告書(案)」を承認
H22. 6.15 各コース等・各教員あてに平成21年度の自己点検・評価に係る評価結果を通知
H22. 6.28 国立大学法人評価委員会(文部科学省)に対し,「平成21事業年度に係る業務の実績及び中期目標期間に係る業務の実績に関する報告書」を提出
H22. 7.29 各理事,各教育部長,各センター所長に対し,それぞれが運営する部門の平成21年度における自己点検に係る報告を依頼。事務部門各課長に協力要請
各コース等・各教員の自己点検・評価報告書を基に,平成21年度自己評価結果報告書(web)を作成開始
H22. 8.20 平成21事業年度及び第1期中期目標期間に係る業務の実績に関する国立大学法人評価委員会のヒアリング(文部科学省)
H22. 9.17 各部門に係る自己点検報告締切
H22.10.13 国立大学法人評価委員会から「平成21年度に係る業務の実績に関する評価結果(原案)」の通知
H22.10.22 上記評価結果(原案)に対する申し立て締切
H22.11. 5 国立大学法人評価委員会が「平成21年度に係る業務の実績に関する評価の結果」を公表
H22.11. 9 平成21年度自己評価結果報告書の素案完成。関係各位に校正・確認を依頼
H22.12.17 平成21年度自己評価結果報告書を公表
最終更新日:2010年12月17日

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