自己評価結果報告書(平成21年度版)

<まえがき>
  現在,わが国では平成23年度の予算編成をめぐって,激しい議論が展開されているが,平成22年6月22日に閣議決定された「中期財政フレーム」は,全国の国立大学法人を震撼させた。というのは,「中期財政フレーム」の中で,来年度の予算編成を行うとなると,社会保障費の自然増分(1.3兆円)を捻出するために,政策的経費を約8%(約1兆円)削減せざるを得ない。この政策的経費には運営費交付金が含まれ,「中期財政フレーム」に基づき,機械的に運営費交付金を算出すると全国国立大学法人で総額927億円の減額,教員養成単科大学の概算では全11大学で約40億5千万円,本学に当てはめると3億6千万円の減額となる。このように運営費交付金が大きく減額された場合,シミュレーションするまでもなく国立大学法人の経営は行き詰まる。これに対し,国立大学協会や日本教育大学協会はいち早く対応し,運営費交付金の削減阻止を訴え,政府や文部科学大臣等に緊急に要望書の提出を行い,各大学執行部は,その要望やアピールをロビー活動を通して展開している。それと同時に,私たちは大学で行っている教育研究活動や大学運営等についてしっかりと情報を発信するとともに社会への説明責任を果たし,国民の理解と信頼が得られるよう最大限の努力を払っている。今後,国の予算編成の動向を注視しつつ,教育研究活動をはじめとする活動状況全般について,常に自己点検評価を実施することにより大学改革を一層推進し,いかなる状況にも対応し得る態勢を整えてゆく所存である。
  さて,本報告書は,平成21年度(平成21年4月~平成22年3月)における本学の教育・研究活動をはじめとする諸活動を整理,総括したものである。平成21年度は,第1期中期目標期間(平成16年度~平成21年度)の最終年度である。本年度の活動は,基本的には平成21年度「年度計画」に基づいて取り組まれた。その具体的な取り組みについては,本書所収「平成21事業年度に係る業務の実績及び中期目標期間に係る業務の実績に関する報告書」に詳述している。以下に本年度及び第1期中期目標期間において特に重点的に取り組んだ事項について掲げる。

    ○平成21年度の主な取組

  1. 教職大学院教員養成特別コースに接続する学部新コースの整備・着手。(学部と教職大学院を通した質の高い教員養成を実践するための新たなコース「学校教育実践コース」を平成23年度に設置することとした。)
  2. 「センター再編検討委員会」の設置。(組織構成,業務内容等について検討を実施。センターの領域,分野及び業務内容を踏まえた機能別分化を推し進め,平成22年度のセンター部組織再編に反映させた。)
  3. 学生就職支援対策の充実。(教職員が協働して,各種教職ガイダンス,模擬授業・模擬面接,教員採用二次試験対策ガイダンスの充実を図り,「卒業生教員就職率(進学者を含む)」が過去最高の78.3%となった。)
  4. ウェブページの充実。(「GOMEZ大学サイト・ランキング2010」において全国国公私立大学中第13位,国立大学中第4位に選ばれた。)
  5. 女性大学教員の割合を引き上げるための積極的改善措置〈ポジティブ・アクション〉。(公募要領への明記,助教定員を活用した教育支援教員の採用などの諸策を講じ,平成22年3月31日現在の女性教員の比率は20.1%となり,中期計画に掲げた数値目標を達成した。)
  6. 科学研究費補助金申請への啓発活動及びインセンティブ経費の導入。(諸策を講じた結果,平成21年度申請分の科学研究費補助金採択件数40件となり,数値目標を達成した。)
  7. 留学生の受入増加に係る活動と措置。(国内外の留学生フェアへの参加,平成22年度から受け入れる「国際教育コース(教科教育研修分野)」へのJICA派遣におけるインターネットによる双方向対話による面接試験システムの導入などの取組を行い,平成21年度は52人と過去最多となったが,中期計画に掲げた数値目標70人を達成することはできなかった。)
  8. 教育評価及び自己点検・評価制度の検証。(評価委員会の下に,外部者を含めた第二次教育評価部会を設置し,教育評価を実施。また,自己点検・評価制度検証プロジェクトチームを設置し検証を実施するとともに,それぞれ報告書を作成した。

    ○中期目標期間(平成16年度~平成21年度)の主な取組

  1. 教員養成コア・カリキュラムの開発。(平成16年度に教育実践学を中核とした教員養成コア・カリキュラムを策定し,平成17年度入学生から学年進行により実施した。本カリキュラムは,平成20年度に完成年度を迎え,当該年度の教員採用率が65.5%,平成21年度は78.3%と過去最高であったことから,コア・カリキュラムにより,教員としての資質・能力が養われたと判断できる。)
  2. 「小学校英語教育センター」の設置。(平成17年度に設置した「小学校英語教育センター」において,小学校英語活動の指導法・カリキュラム・教材の開発に取り組み,成果を公表するとともに,教員を学校教育現場に派遣するなど,学校教育における外国語活動への教育支援を積極的に推進した。)
  3. 教職大学院(高度学校教育実践専攻)の開設。(平成20年度に大学院の教育・研究組織を再編改組し,新たに専門職学位課程として教職大学院「高度学校教育実践専攻」を開設した。)
  4. 教育研究組織の改組。(平成20年度に従前の講座制を改廃し,新たな教員組織として専門領域に応じた4つの教育部「基礎・臨床系,人文・社会系,自然・生活系,芸術・健康系」を設置し,多様な教育研究活動を柔軟かつ機動的に展開し得る体制へと整備した。)
  5. 「予防教育科学教育研究センター」の設置。(学校で行う一次予防教育に関するプログラムの開発・実施・発展に係る中核的役割を担う組織として,平成20年度に「予防教育科学教育研究センター」を設置した。)
  6. 「外部競争的資金の獲得。(全学的体制で外部資金の獲得に取り組み,「特色ある大学教育支援プログラム」,「現代的教育ニーズ取組支援プログラム」,「専門職大学院等教育推進プログラム」及び「先導的大学改革推進委託事業」に採択され,また,他大学と連携して応募した「戦略的大学連携支援事業」及び「専門職大学院等における高度専門職業人養成教育プログラム」にも採択された。)
  以上が平成21年度及び第1期中期目標期間の主な業務実績である。国立大学が法人化されて以来,毎年度実施される業務実績評価(国立大学法人評価委員会)や法律で定められた大学機関別認証評価(大学評価・学位授与機構),暫定評価(国立大学法人評価委員会)等の外部評価の結果を受け,PDCAサイクルにより積極的に大学改革を推進してきた。この第1期中期目標期間の業務実績等の結果を踏まえ,今後,さらに大学の自主性,自立性を発揮して,第2期中期目標期間の目標達成に向けて邁進し,国民の理解と信頼をこれまで以上に勝ち得ていく所存である。
  ここに平成21年度版『鳴門教育大学自己評価結果報告書』を刊行するにあたり,関係各位のご高覧に供し,本学発展のために忌憚のない叱正,ご指導をお願いする次第である。
平成22年10月
国立大学法人鳴門教育大学長 田 中 雄 三

目次

(1)総論

(2)法人の概要

(3)平成21年度業務実績報告

(4)大学の自己点検・評価

(5)資料

 

最終更新日:2010年12月17日

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