自己点検・評価報告書(廣瀬政雄)

報告者 廣瀬政雄

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての教育・研究活動①

(1)目標・計画

 本学の学生は、勉学に対する熱意が外に現れることが少ない。また、私が担当する医学および保健分野の講義を医学部での授業のように系統的に行なっても、興味を示す学生は多くない。また、講義資料として、パワーポイントの資料をそのまま渡しても、授業に集中できない学生もいるし、資料を渡さなければどんなに力説してもポイントをつかみかねる学生には興味を起こさせることは出来ない。しかしながら、臨床や研究面での体験に基づく話題を発展させて医学的な内容には、多くの学生の興味を起こさせることが出来て、その結果、印象に強く残るようである。さらに、文章化して適度な量と内容の資料を渡すと授業内容の理解と達成度が格段によくなるという特徴を持っている。従って、このような学生の授業に対する理解度と達成度を向上させるためには、体験を盛り込んだ適当な分量の完成度の高い資料を準備する必要がある。今年度は、小児地域保健学と公衆衛生学について、教員養成系の学生の授業に適した教科書の執筆に専念する。

(2)点検・評価

 教育活動では、オムニバス形式で行なっている「生体バイオメカニクスと生命倫理」の授業で、本来4コマを担当することになっていたが、他教員の病気休暇により8コマの授業を行った。また、同じ理由により、特別支援教育専攻の「知的障害児の生理と病理」15コマ(2単位)の授業を担当した。一教科を突然15コマ担当するための準備に多くの時間をとられた結果、教科書つくりの面で十分時間を当てることができなかった。従って、従来の教材の改善に努めた。

 

1-2.大学教員としての教育・研究活動②

(1)目標・計画

①悩みやストレスにより引き起こされる心身症や精神保健面での相談あるいは受診は増加している。社会経済的な難問山積の中、精神保健疾患は重要性を増すと考えられているが、重症度や痛みを客観的に評価する方法がない。自律神経系と体性神経系の反応を利用した「ストレス反応による心の痛みの定量化に関する研究」を行うことは意義があると考えられる。測定機器を科学研究費に申請する。

②全国国立大学保健管理協議会は学生の多面的な健康面の問題を扱っている。私が所属するAIDS感染症ワーキンググループは学生の感染症罹患予防に重要な働きをしていて、調査研究なども行なっている。しかし、そのどれも科学研究費に申請していないので、申請し委員に研究費の配分などが行なわれるよう、会議において提案する。

③連合大学院の博士課程の研究者を確保する。私は2002年と2003年に、連合大学院に対して膨大な数の英文論文と共に申請したが、医学研究は認められないということであった。医学研究をしている者に医学研究は認められないという理屈が正しいのならば、私は指導教官になれない。しかし、その後、どんな論文でも認めるということになったらしい。文面が変わっていないのに、都合の良い読み替えで基準を変えるその姿勢には、いい加減さを感じるが、論文がそろえば申請してもよい。 

(2)点検・評価

①予防教育科学教育研究センターの構成員となり、生活習慣病を担当することになったので、「肥満と炎症」に関する研究を科学研究費に申請した。

②全国国立大学保健管理協会は、協会費の中から配分して必要な研究を行っているということなので、上記の提案は取り止めとした。

③研究活動では、第39回中国四国保健管理研究集会(島根大学担当)において「定期健康診断におけるCRP 弱陽性反応(±)の意義」を発表した。第47回全国大学保健管理研究集会(北海道大学担当)において「健康診断データの改善に及ぼす生活習慣と健康意識」を発表した。学会発表した研究を論文としてまとめ、学術雑誌に発表する準備をしている。

 

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

 学生の心身の健康を考える立場から、学生支援委員会の委員を継続して務めている。学生の教員採用への意欲も勉学を支える意思もともに健康に支えられているので、心身センターを受診あるいは相談に訪れる学生には、病気治療だけでなく病気の原因や体のしくみについて説明し、教員になった後も児童生徒の健康指導に役立つような支援をしてゆきたい。目標を持った学生の夢と希望が成就されるように健康面での指導を心がけてゆく。

(2)点検・評価

 学生の心身の健康を考える立場から、学生支援委員会の委員を継続して務めている。心身健康センターを受診あるいは相談に訪れる学生には、病気治療だけでなく病気の原因や体のしくみについて説明し、教員になった後も児童生徒の健康指導に役立つような支援を行なった。

 

2-2.研究

(1)目標・計画

①大学生の年代は、生涯で最も健康に過ごすことが出来る世代である。従って、学生を対象として身体面の臨床医学的研究により、新しい発見をみることは難しいと考えている。しかしながら、麻疹や風疹あるいはインフルエンザなどの感染症は、ワクチンを充実させてきた国々で大学生での流行が発生しているので、従来から実施している大学生のウイルス抗体価の保有状況に関する研究を引き続き行なって、感染症の流行の予防に役立てたい。

②悩みやストレスにより引き起こされる心身症や精神保健面での相談あるいは受診は増加している。社会経済的な難問が山積する中、精神保健疾患は重要性を増すと考えられているが、重症度や痛みを客観的に評価する方法がない。自律神経系と体性神経系の反応を利用した「ストレス反応による心の痛みの定量化に関する研究」を行うことは意義があると考えられる。測定機器を科学研究費に申請する。

③鳴門教育大学創立から25年以上が経過して、学生のライフスタイルの変化を、本学学生委員会によりまとめられた「鳴門教育大学生の生活と意識」にみることができる。ライフスタイルの変化をもたらした要因と、これにより引き起こされた健康面の問題について、学生の健康診断のデータに基づいて研究する。また、この結果を、予防教育科学の研究に結びつけて、小児期から青年期の生活習慣病の原因と予防面での指導方法について研究する。

④昨年投稿した論文のうち、掲載が決まったものと課題が指摘されたものがあるので、すべての論文について今年度中の掲載を目指す。

(2)点検・評価

①麻疹や風疹あるいはインフルエンザなどの小児期感染症は、ワクチン接種後の抗体価低下により大学生での流行が発生しているので、ウイルス抗体価の研究を引き続き行なって、感染症の流行の予防に役立てた。

②学生のライフスタイルの変化について、本学学生委員会によりまとめられた「鳴門教育大学生の生活と意識」に基づいて、ライフスタイルの変化をもたらした要因と、これにより引き起こされた健康面の問題について、学生の健康診断のデータに基づいて研究した。

③職員、特に男性職員において、肥満に基づくメタボリック症候群およびその予備軍が多発している。マウスなどの基礎研究において脂肪蓄積により炎症性サイトカインが分泌され、この炎症により動脈硬化が進行することが知られていたが、本学職員においても体重増加時に脂肪蓄積による炎症が起きることを認め、成果を学会発表した。今後、肥満者における炎症性サイトカインの血中動態などを調べて行く予定である。また、この結果を、予防教育科学の研究に結びつけて、小児期から青年期の生活習慣病の原因と予防面での指導方法について研究した。

④昨年投稿した論文のうち、今年4編が掲載された。また、学会プロシーデイングに2編が掲載された。

 

2-3.大学運営

(1)目標・計画

〇学校医として、学生の心身の健康の増進に関する指導を行なう。

〇産業医として、学内の労働安全衛生環境の確保に貢献し、学生と職員の健康の維持と増進の活動を展開する。

○所属する委員会の委員として大学の運営に貢献する。

〇大学の諸活動において救護担当者として参加できる。

(2)点検・評価

〇学校医として、学生の心身の健康の増進に関する指導を行なっている。特に、今年は春から新型インフルエンザの流行があり、その対策に助言と提言を行なった。特に、12月3週に入って、学生間の感染拡大が始まった時期に、1年生と2年生の休講措置を判断して流行を断ち切った点は、危機管理および学生の健康を確保する観点から役割を果たせたと考えている。

〇産業医として、学内の労働安全衛生環境の確保に貢献し、学生と職員の健康の維持と増進の活動を展開した。

○所属する委員会の委員として大学の運営に貢献した。〇大学の諸活動において救護担当者として参加した。

 

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

〇附属学校の職員に対する定期健康診断、特殊健康診断および肝炎感染防止事業などを通じて、健康面での支援を行う。

〇外国人学生の本学での医療と健康面での指導を通じて、勉学と研究を側面から支援し、国際交流に貢献する。

(2)点検・評価

〇附属学校の職員に対する定期健康診断、特殊健康診断および肝炎感染防止事業などを通じて、健康面での支援を行った。

〇外国人学生の本学での医療と健康面での指導を通じて、勉学と研究を側面から支援し、国際交流に貢献した。

 

3.本学への総合的貢献(特記事項)

〇全国の大学において使用される「インフルエンザとキャンパス感染症 ガイドブック2009」において、「ムンプス」と「風疹」の項目の執筆を担当した。本学の名前を広めることにつながったと自負している。

〇新型インフルエンザの対策を的確に行えるように、最新の情報と研究に基づいて、経営企画本部と共に対応に当たった。

〇学部学生の定期健康診断受診率が、以前は70%程度だったものが、ここ数年99%を超えている。健康に資すると共に学生の行動の適正化が進んでおり、指導の成果が上がってきたと考えている。

 

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