自己点検・評価報告書(早藤幸隆)

報告者 早藤幸隆

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての教育・研究活動①

(1)目標・計画

 豊かな教育実践力とは,学問の基礎・基本的知識や原理・情報等の確実な習得の上に裏付けられた指導力である。そのため理科教育の実験実習において,①学習者が実験体験を通して,科学研究のプロセスを経験し,新しい概念や科学的基礎・基本事項及び実験操作等を理解・習得出来る学習内容,②高等教育レベルにおける「研究及び探究のプロセス」という科学研究のシステムを効果的に導入した学習方法,③自己評価,相互評価及び教員評価を総合的に判断する成績評価に重点を置きながら,学校現場において活用可能で実効性のある教材化を考慮し,授業実践に取り組む。

(2)点検・評価

 研究及び探究のプロセスという科学研究のシステムを効果的に導入し,学習者の科学的な探究力と思考力の育成を目指した「物質の構造と発色との関連性を探究する化学実験(フェノールフタレインとフルオレセインの合成と光学的特性)」を開発し,学生実習化学実験Ⅱにおいて授業実践した。本体験を通して,学校現場への導入を意図した実験教材の開発における考え方と展開の方法と共に,自己評価,相互評価及び教員評価を総合的に判断する成績評価に重点を置いて取り組み,受講者の成果発表から学習効果を確認すると共に,受講者のアンケート結果から好評を得た。

 

1-2.大学教員としての教育・研究活動②

(1)目標・計画

 学長裁量経費における教育研究プロジェクトに2年間研究代表者として支援を受け,教育研究体制における準備が充実・整備された環境にあり,本年度は研究推進の本格的な段階である。本年度における上記の教育研究活動を推進し(一部研究成果を報告予定),来年度には独立行政法人国立青少年教育振興機構 子どもゆめ基金助成金の獲得に向けて成果を蓄積する。更に,子どもゆめ基金助成金を活用した教育実践研究から,新たな教育研究報告を準備する予定である。 

(2)点検・評価

 「身近な科学を探究する科学実験体験2010」という課題で,平成22年度独立行政法人国立青少年教育振興機構子どもゆめ基金助成金に採択され,外部資金を獲得した。学長裁量経費における教育研究プロジェクトの成果を活かして,公開講座を実施する予定である。

 

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

①学生の主体的な講義及び実験実習への参加を促すために個別面談や討論を通じて,講義及び実験実習を積極的に推進する。

②学生の科学的に探究及び思考する能力と態度の育成を目指して,理科教材開発研究並びに教育実践研究に関する理解を深められるよう授業及び教育研究活動を積極的に推進する。

(2)点検・評価

①学生実習化学実験Ⅱにおいて,学生のレポート作成指導の個別面談やグループ討論・集団面接を積極的に補助しながら,実習内容に関する理解度を高める事に努め,授業評価アンケートで好意的且つ高い評価を得た。

②大学院生の実践教育研究における「身近な素材を用いた広領域型科学実験プログラムの開発と実践的応用」に関する研究とその成果報告において補助し,日本教育実践学会第12回研究大会(岡山大学,2009.11)に連名で3件発表すると共に,学部生及び大学院生の科学的に探究する能力と態度の育成に大きく寄与出来た。

 

2-2.研究

(1)目標・計画

①研究テーマ「種々の身近な素材を用いた科学実験教材の開発研究」に関する論文をまとめ教育学会誌に投稿する。

②学内外の研究助成の公募に積極的に申請し,教育研究資金の調達に重点を置く。

(2)点検・評価

①日本理科教育会「理科教育学研究」誌に「身近な色素を課題とした小学校における広領域型科学実験プログラムの実践」を投稿した。現在審査中である。

②科学研究費補助金若手研究(B)に申請したが,採択されなかった。

 

2-3.大学運営

(1)目標・計画

①学部及び大学院に関する入学試験(センター試験を含む)の試験監督者を担当し,講座並びに大学の運営に積極的に貢献する。

②学内委員を担当し,大学の運営に積極的に貢献する。

(2)点検・評価

・大学院入試面接を担当し,理科コース並びに大学の運営に貢献した。

・安全管理委員会及び臨床研究倫理審査委員会の両委員を担当し,大学の運営に貢献した。

・危険物取扱者として本学の危険物倉庫(有機溶媒等の保管室)の管理者を務めた。

 

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

①小学校・中学校・高校と大学との連携による授業・教育実践を積極的に行い,社会に貢献していきたい。(社会連携)

②留学生の授業及び教育活動を補助していきたい。(国際交流)

③科学的に探究する能力と態度の育成を目指した種々の身近な素材を用いる科学実験教材の開発に関する教育研究活動を通して,その研究成果を学会発表する事により社会的アピールに精力的に取り組む。また,高校・大学連携の教育実践の実施を目指して,開発した実験教材を教育現場で実施可能な形に改良後,構築した実験プログラムの有効性を検証する実践活動を通して,地域社会へ積極的に貢献する。(社会連携)

(2)点検・評価

①三好市サマースクール2009「浮力の世界を体感する簡単なホバークラフトの工作」を小学生37名,保護者25名,小学校教員7名を対象に実施し,社会貢献の一環として本学の教育研究の成果を社会に発信した。

②化学教室が実施するセミナーを通した教育研究指導及び修士研究テーマに関する学術文献資料の提供により,大学院理科コースに所属する留学生の教育研究活動を積極的に補助した。

③「科学的感性と科学技術力を育てる科学実験研究の体験」というテーマで,サイエンスパートナーシッププロジェクト(SPP)において,徳島市立高校理数科コース40名に 対して実施した。また,徳島県立城南高校スーパーサイエンスハイスクール(SSH)化 学コース10名を対象とし,「酸塩基反応をベースとする中和滴定による医薬品(アス ピリン)の定量」を課題とする実践授業を実施し,高校・大学の連携授業を通して地 域社会へ積極的に貢献出来た。更に,「科学的思考力や技術力を育む藍(インジゴ) を用いた科学実験研究体験」という課題で,香川県教育研修センターの依頼によりサイエンスパートナーシッププロジェクト(SPP)理数系教員指導力向上研修事業(希望 型)を実施した。

 

3.本学への総合的貢献(特記事項)

・文部科学省 科学研究費補助金 新学術領域研究「欧米亜の科学教育,英才教育政策と国際競争力豊かな卓越性の科学教育課程の構築」を課題とする領域運営事務局を担当し,木村捨雄研究代表並びに各大学の計画研究代表者・分担者,連携研究者と連携・協力しながら領域計画書を作成し申請した。残念ながらヒアリング対象に至らず不採択であった。

・「新たな夢をよび起こす化学実験への挑戦~マイクロスケール実験の功罪~」という課題で教員免許認定講習を実施した。

・2009年度概算要求による補正予算の獲得により,フーリエ変換核磁気共鳴装置(NMR)300MHz,AVANCEⅢ(2100万円)の新規導入並びに化学実験用器具,化学実験用計測器具の導入(560万円)に概算要求申請担当者として大学に貢献した。

 

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