自己点検・評価報告書(米澤義彦)

報告者 米澤義彦

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての教育・研究活動①

(1)目標・計画

 大学教員は,自らの研究成果に立脚して教育を行わなければならないと思っている。また,本学で学ぶ学生が優れた教員となるためには,教科内容に対する深い理解が必要であることも自明のことである。これらを考慮すると,教員自らが積極的に「研究活動」を行う必要があるのは当然で有り,本年度は,自らの研究テーマである「本邦産野生ギクの種形成に関する研究」の深化をはかることを第一の目標としたい。この研究を通して,大学院生及び学部生に対して,「科学の本質」や「科学的な探究方法」について指導を行う。具体的な成果としては,これまでに蓄積したデータをとりまとめるとともに,新たなデータを付け加え,論文として公表することを目指す。

(2)点検・評価

 本年度の研究活動として取り組んだ「本邦産野生ギクの種形成に関する研究」については,その一部を9月に山形大学で開催された日本植物学会で発表したが,その時に新たな問題を指摘され,10月および11月にその問題の解決のために実験材料の収集を行た。 学部4年生の卒業研究のテーマは本課題ではなかったが,ユリ科ヤマラッキョウを材料として同様な意図を持って研究を行わせた。十部宇土はいえないまでも,4年生なりの研究を行い,「科学の本質」や「科学的な探究方法」については体験させることができたと考えている。

 次年度以降,採集した材料を用いて研究を展開し,成果を公表したい。

 

1-2.大学教員としての教育・研究活動②

(1)目標・計画

 これまで管理的な職務が続いていたが,平成20年度よりこれらを外れることができたので,野外調査等を再開している。科研費等外部資金の獲得は容易ではないが,自らの手の届く範囲で申請を行うつもりである。しかし,ここ数年の研究業績ではかなり厳しいと予想されるので,他大学の研究者と共同研究を行ったり,自らの奨学金を利用したりして,不足分を補う予定である。 

(2)点検・評価

 他大学と研究者との共同研究は,予定通り近畿大学,岡山理科大学および室蘭工業大学の教員との間で進行しているが,科研費の申請は,共同研究者が代表者となった科研費の分担研究者となったことと,アフガニスタンの教育支援プロジェクト(STEPⅡ)のメンバーに加わったため,研究代表者としての申請は行わなかった。

 次年度以降は,科研費以外の外部資金の獲得を目指していきたい。

 

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

 学生の教育支援としては,まず「大学人としての教養」を身につけることを徹底させたい。最近の本学学生の中には,「教員採用試験に合格すればよい」という風潮が強い。そのため,大学人としての教養が身についていないまま卒業していく学生がいる。その第一は,ルールが守れないことである。 普段の生活の中で,これを徹底したい。具体的には,たとえば,「授業が始まったら入室を許可しない」などの手段を講じていきたい。

(2)点検・評価

 「大学人としての教養」を身につけさせる(具体的には授業に遅れないなど)ためにいくつかの対策を講じたが,前期の授業に関しては中途半端に終わった。後期の授業では,100名を超える学生が対象であり,授業への遅刻,授業中の私語等を何度か注意したが,完全には止めることはできなかった。

 講義室に入室の際に学生証を提示して出席をとるシステム等の導入を図っていただき,「物理的」な力で,学生の生活態度を改めさせる工夫が必要と思われる。

 

2-2.研究

(1)目標・計画

1.本邦産野生ギクの種形成のメカニズムの解明:これまでの研究成果をとりまとめるとともに,新たなデータを付け加え,論文として公表する。

2.中学校・高校の授業で利用可能な実験方法の開発:ここ数年,簡便な細胞分裂の観察法の開発に取り組み,関連する学会・研修会等で研修を行ってきた。今後は,「光合成が葉緑体で行われていること」を簡単な方法で検出できる実験系の開発に取り組む。

(2)点検・評価

1.本邦産野生ギクの種形成のメカニズムの解明については,前述のように,新たな問題が指摘され,現在その解決のために新たな実験材料の収集を行った。次年度以降,これらを材料として追加の実験を行う予定である。

2.中学校・高校の授業で利用可能な実験方法の開発については,いくつかの提案を行い,附属中学校での授業実践や,日本生物教育学会でのワークショップを行い,好評を博している。,「光合成が葉緑体で行われていること」を簡単な方法で検出できる実験系の開発については,研究室レベルでは終了したが,学校現場での実践が未了である。

 

2-3.大学運営

(1)目標・計画

 現在の本学の最も重要な課題は,大学院生の確保である。そのための方策として,理科コースとして様々な提案を行っているが,いまだ実現されていない。私は,これからも機会あるごとに「本音と建前の使い分け」を提案していくつもりである。すなわち,「建前」は教員養成に特化した大学院であるが,「本音」として,教員になることを志望しない学生が入学しやすい(学びやすい)カリキュラムへの変更である。それぞれの学問分野の研究に専念できるカリキュラムの実現が,定員確保への近道であると信じている。

(2)点検・評価

 次年度の理科コースの入学者は9名であることが確定し,コースとしての努力が報われたものと考えている。 しかし,現職教員はわずか2名であり,本学の設立趣旨を考えると,手放しでは喜べない。今後さらに多くの入学者を確保するためにも,「研究者」を目指す学生が学びやすいカリキュラムに変更していただくことを切に希望する。

 

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

1.附属学校との連携に関しては,従来通りのスタンスで行う。すなわち,附属学校での研究会等に積極的に参加するとともに,要請に応じて,授業に参加する。

2.社会との連携についても同様である。「教育支援アドバイザー制度」の活用を積極的に呼びかけ,各種研修会に講師として参加する。3.国際交流については,要請に応じて,本学教員教育国際協力センターが行う研修会の補助等を行う。

(2)点検・評価

1.附属学校との連携に関しては,小学校の研究発表会において指導/助言を行った。また,附属中学校では2年および3年生の選択理科において,都合3回(計6時間)の授業を行った。

2.社会との連携については,10月に鳴門第一中学校で開催された中国四国地区中学校理科研究大会でワークショップを行った。

3.国際交流については,アフガニスタン国の教育支援を行うSTEP2の国内メンバーとなり,1月に本学とアフガニスタンのJICA事務所をテレビ回線で結んで,遠隔授業を行った。また,1月~2月に行われた本学での研修に参加した。

 

3.本学への総合的貢献(特記事項)

 

 

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