自己点検・評価報告書(齋木哲郎)

報告者 齋木哲郎

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての教育・研究活動①

(1)目標・計画

 私の担当は教科内容学である。教科内容学の観点にたてば、授業は知識の補充を目指して進められなければならないこととなろうが、それだけで高度な授業能力を養成できるというものではない。教授者の独創性ないし創造性に裏打ちされた授業であってそれが学生たちの興味を喚起する、ないしそこに示される授業の内容が学生達にとって意味のある問いかけとなって学生達の在り方や考え方に作用する、そうした授業であって初めて学生達に教壇に立って教えるということはどうあるべきかを考えさせることになるであろう。そのためには、やはり私たちの研究内容や研究する姿を媒介に、考えて授業内容を構成する姿勢を学生に示す必要がある。それが、学生達自身を啓発し、自らの授業が学生達たちにはどうあるべきかを考えて授業を構成する力、すなわち高度な教職の専門性を養成することに繋がろう。本学における私の研究・教育活動はこうした意図の下に進められる。

(2)点検・評価

 私の研究は中国哲学という領域での儒教教義の史的展開を課題とし、授業に於いて講じているのも儒教を中心とした東洋哲学(倫理学)である。そうした中で私が常に意識しているのは人間存在に対する価値認識の有り様である。人間存在に対する価値認識は、それが儒教的であれないし道家的であれ、今日の我々にとっても共時的な認識を可能とする。そこで私が採用したのは、授業で扱う対象を専門用語による解説と併せ、身近な言語によって事象や意識を説明しなおし、学生自身の認識力で対象となる事象や思想を再構成させる、というものであった。またその際、説明は概説的であるよりも我々の日常的な意識を媒介に、しかしそれでいて学生達の問題意識を喚起する内容を選び(但し、学校現場での範囲から)それを今日の研究水準に照らして講じ、学生の価値判断能力を通じて理解させることに務めた。学生個々の間には差があったが、ほぼ予想通りの成果であったと思う。

 

1-2.大学教員としての教育・研究活動②

(1)目標・計画

 昨年度完成させた『唐宋新春秋学の研究』(A4版、552頁、一頁当たり1600字)を出版するために本年度は出版助成金を申請する予定である。この本が出版された後は、また「宋元明新春秋学の研究」と題し基盤研究(B)ないし(C)を申請する予定である。 

(2)点検・評価

 今年度は、出版にまでこぎつけることができなかった。というのも、より完成度の高い研究に仕上げるために『唐宋新春秋学の研究』に関する4篇(A4版、114頁、1頁当たり1600字)の論文を書き上げ、この研究の補完に努めたからである。

 

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

 現在担当している社会系コース3年生の担任としての責務を果たしたい。学生達は、3年生になると、教採や就職の準備に忙しくなり、落ち着かなくなることもあろう。彼等に対し十分なケアーを施したい。また、指導面でも、近年課外で、特に漢文の読解に対して指導を求められることが増えてきているが、私にできることがあれば今後も依頼に応えるつもりである。

(2)点検・評価

 3年次以降は、学生の個別指導はゼミ担当教員に移るのが習わしであるが、これまで通り担任として学生の指導や相談に対応した。3年次生の教育実習には出来るだけ参観し助言と指導に当たった。また就職支援委員会主催の就職支援行事にも参加し、面接官等の任を果たし。

 

2-2.研究

(1)目標・計画

  「大学教員としての教育研究活動②」でも記したように昨年度完成させた『唐宋新春秋学の研究』の公刊をめざす。また宋末の儒者、王応鄰・家鉉翁・黄震らの春秋学と宋王朝の滅亡・元王朝の勃興という歴史的事件がどのように結びつき、それが当時の儒教の展開にどの様な影響を与えているかを見極めたい。

(2)点検・評価

 Ⅰー2とも関係するが、今年度は昨年度からの引き継ぎとしてでもあるが、4篇の論文を書き上げ、『唐宋新春秋学の研究』を補完することができた。その内の1篇「宋代新春秋学の政治的展開」(1頁1600字×53頁)が目標として掲げた計画の成果である。これまで知られることのなかった宋代儒学の1側面を明らかにすることができた。

 

2-3.大学運営

(1)目標・計画

 毎回言うが、私に与えられている職責を忠実に果たすということに尽きる。 また、大学の犯罪化を防ぐために、私が果たさなければならないことは、全て果たしてゆきたい。

(2)点検・評価

 与えられた職務はこれを忠実に果たしてきた。

 大学の犯罪化を防ぐということは、ここ数年目標に掲げてきたが、できなかった。それよりは私自身寧ろ犯罪者の犠牲になったことの方が多かった。正しさが大学運営の中に蘇ることを切望するのみである。

 

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

 現在学会活動として、役職についているのは、日本道教学会と中国出土資料学会の理事である。これらの学会から与えられた職務については忠実にこなしてゆくつもりである。また近年、中国の大学から研究発表や論文の投稿を求められることが増えている。今年度もそうした要請のあることは、予想されるところである。これらに対しても誠実に対応したい。

 地域や附属からの要請は、これまで行事以外目立ったものがない。あればその時に考えたい。

(2)点検・評価

 日本道教学会、及び中国出土資料学会の理事としての職責は、求められた職務についてその責務を果たした。中国の清華大学からの論文投稿の要請に答え、「揚雄与経学」を投稿し、審査の結果、清華大学人文学院歴史系経学研究中心から発刊されている「中国経学」に掲載されることになった。また中国厦門で開催された第3届中国経学国際学術研討会に参加して、「欧陽脩〈新五代史〉的春秋学」を発表し、大会総括の際、最も優れた論文として紹介された。

 

3.本学への総合的貢献(特記事項)

 

 

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