自己点検・評価報告書(藪下克彦)

報告者 藪下克彦

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての教育・研究活動①

(1)目標・計画

 私の専門は,理論言語学(形式意味論)で教科教育学ではないが,従来より専門内容の現場での応用可能性,特に,文法指導に関心があり,研究論文も書いている。今年度も研究を継続し,科研の申請に結びつける計画を立てている。

(2)点検・評価

○英語教育の現場では,英語の主語を日本語のいわゆる「主語」と同様のものであるかのように教える慣習がある。しかし,言語学的にみると,英語の主語と日本語の「主語」は,同一のものでないばかりか,日本語には英語の主語に相当するものがないことを明らかにした論文「日本語の「主語」とは?—英語の主語との比較—」(鳴門教育大学英語教育学会機関誌『鳴門英語研究』第21号(平成22年5月発行予定)に掲載)を書いた。

○上で述べた英語の主語を日本語でいうと「は」か「が」が付くもの,また英語の目的語を日本語では「を」が付くものというような教え方、一般的に言って,英語の文法を日本語の文法で教えるような文法指導によって不都合が出てくることは容易に察せられる。日本人が最も苦手とする文法項目の1つである英語の関係代名詞と関係副詞が学習困難である理由もそのような文法指導の結果であるとする卒業研究を指導した。

○上で述べたような文法指導の問題点とその是正方法を研究する科学研究費申請書の準備を始めた。

 

1-2.大学教員としての教育・研究活動②

(1)目標・計画

1.目標・計画①で述べたように,自分の専門である理論言語学,特に,形式意味論・語用論の知見を生かした文法指導に関する研究題目で科研申請を予定しており,既に研究計画案を作成中である。 

(2)点検・評価

 残念ながら平成22年度科学研究費補助金の申請をすることができなかったが,I-1の「点検・評価」のところで述べたとおり,英語の文法指導に関する科研申請への準備は進んでおり,平成23年度の科研申請は必ず行う。

 

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

 ゼミ生に対する論文指導を中心に,勉学はもちろんのこと,進路に関する相談,教採対策など,幅広く学生の教育・生活支援を行っていきたいと思っている。

(2)点検・評価

○学部4年生一人の卒業研究 (論文題目:Preliminary Findings about Teaching of English Relative clauses in Japanese Secondary Education and their Implications (日本の中等教育における英語関係詞節の指導に関する予備的調査結果とその示唆)を指導した。

○上記の学生の学生の進路に関する相談にのった。(因みに同学生は現在兵庫県立武道館の職員をしながら,平成22年度の教採の受験準備をしている)。

○上記の学生だけでなく,ゼミ生以外の学生のために,教採の英語による面接の指導を行った。

○研究室だけでなく,時には,コンパの席で,学修,生活上の相談にのった。

 

2-2.研究

(1)目標・計画

①現在行っている日本語の「も」の様々な用法の統一的分析に関する研究を継続して行うが,その成果を内外の研究発表大会,学術誌で積極的に発表する予定である。

②科学研究費補助金などの研究助成の公募に申請し、学外資金の調達に努める。

(2)点検・評価

①「も」の用法の統一的分析に関する研究は当初の予定より進行が遅れ研究成果を発表することができなかったが,以下の二つの論文を出版することができた。 “A New Approach to Contrastive Topic: Partition Semantics and Pragmatics” Proceedings of the Semantics and Linguistic Theory XVIII (SALT 18), T. Friedman and S. Ito (eds.),CLC Publications: Ithaca, NY: Cornell University. “On the Cross-linguistic Correlation between the Usages of YES/NO Particles and the Presence/Absence of Negative Quantifiers” In Contrastive Meanings in Languages of the East and West, Dingfang Shu and Ken Turner (eds.) Peter Lang AG: Berlin.

②科学研究費補助金の申請は準備が遅れたため,平成21年度に行うことができなかったが,平成22年度には行うことができる見通しである。

 

2-3.大学運営

(1)目標・計画

 今年度、言語系コース(英語)のコース長に就任予定であるので,コース長,また,学部教務委員,そして,中期計画策定プロジェクトチームの一員としての業務を中心に大学運営に貢献する。

(2)点検・評価

○言語系コース(英語)長としてコース運営の統括を行った。

○学部教務委員会委員としてコースの学部教務関係の業務だけでなく,副委員長として委員長の補佐業務も行った。

○中期計画策定プロジェクトチームの一員として,その業務に当たった。

○研究開発検討部会の委員として,平成21年度先導的大学改革推進委託事業「教員養成に関するモデルカリキュラムの作成に関する調査研究」(採択)の申請書作成作業に関わり,さらに,モデルコア・カリキュラム開発チームの一員として,初年度の取組に従事した。

 

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

①授業(「教科教育実践」、研究授業)などの機会に、附属学校教員との交流を深め、共同研究の環境づくりに務める。(附属学校)

②大学と地域・社会また留学生との交流、相互理解を図りたい。特に,海外の学術交流協定大学との交流事業に積極的に参加したいと思っている。(社会連携、国際貢献)。

(2)点検・評価

①研究授業で附属中学校,「初等中等教科教育実践I」の授業で附属小学校に訪問し,附属教員と交流したが,共同研究の環境づくりまでは達成することがでできなかった。

②本学への留学生とテニス,パーティーなどの形で交流を行った。微力ではあるが,国際理解の役に立てたと思っている。 また,第4回日中教師教育学術研究集会準備委員会委員を務めた。

 

3.本学への総合的貢献(特記事項)

○平成21年度言語系(英語)コース長として,コース運営の統括を行った。

○平成21年度学部教務委員会副委員長として,学部教務委員会委員長の補佐業務を行った。

○研究開発検討部会の委員として,平成21年度「大学教育・学生支援推進事業」大学教育推進プログラム申請(不採択)の申請書作成作業に参加した。

○研究開発検討部会の委員として,平成21年度先導的大学改革推進委託事業「教員養成に関するモデルカリキュラムの作成に関する調査研究」(採択)の申請書作成作業に関わり,さらに,モデルコア・カリキュラム開発チームの一員として,初年度の取組に従事した。

 

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