自己点検・評価報告書(前田一平)

報告者 前田一平

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての教育・研究活動①

(1)目標・計画

研究活動
1.20年度に審査を受けた博士論文を研究書として出版する。
2.科研の成果をもとに日系アメリカ文学研究に比重をかける。この研究を、異文化理解やアイデンティティをキーワードにして、「読解力」と「想像力」を育成する教育実践に結びつけるべく工夫する。

(2)点検・評価

1.計画どおり、10月30日、単著『若きヘミングウェイ―生と性の模索―』(南雲堂)を出版した。本書は書評新聞『週刊読書人』(平成22年1月15日付)の書評において高い評価を受けた。

2.平成19年度~平成21年度科学研究費補助金基盤研究(C)「米国日系及び白人コミュニティにおける作家の形成と受容の調査研究」を終了し、研究成果報告書を冊子体で作成した。授業でも学部「英米文学研究Ⅱ」および大学院「英米文化研究Ⅱ」において日系アメリカ文学を講読した。課題研究として1名の学生が日系文学で、もう1名がベトナム系アメリカ文学で修士論文を作成した。目標・計画どおり日系アメリカ文学の研究を進め、これを授業と課題研究においても実践した。

 

1-2.大学教員としての教育・研究活動②

(1)目標・計画

 現在3年計画で受けている科研補助金が来年度(21年度)で終了するので、22年度以降の研究資金獲得のため科研を申請する。 

(2)点検・評価

○本年度分科学研究費補助金基盤研究(C)の交付を受けた。

○目標・計画どおり、科学研究費補助金基盤研究(C)平成22年度~平成24年度「米国先住民オジブワ族の同化とヘミングウェイ文学の相関に関する調査研究」を申請した。

 

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

○基礎学力(大学入試レベル)養成に、これまでと同様に努める。特に、ゼミにおいてリメディアル教育を実践する。

○授業のテーマを「読解力」とし、著しく劣っていると思われる本学学生の「読む力」と「想像する力」および「表現する力」の養成に努める。

(2)点検・評価

○ゼミにおいて学部生と大学院生を対象にリメディアル教育を計画どおり行った。具体的には週1回の割合で大学入試参考書『チャート式基礎からの総合英語』をテキストにして学習した。大学入試レベルの英語理解が十分ではない本学学生にとって、このようなリメディアル教育は有用であるし、好評であった。

○文学の授業で、どう思うか、何を感じるか、何を思い描くか、なぜそうなのか等々、常に受講生の自発的な読解力を刺激し、表現を促した。児童・生徒のみならず、学部、大学院、現職教員を対象にした読むこと、よく考えること、しっかり表現することの教育の必要性を改めて感じた。目標は達成できた。

 

2-2.研究

(1)目標・計画

Ⅰの1.とは別に、

○日本アメリカ文学会の編集査読委員として学術誌の編集と書評に取り組む。

○日本ヘミングウェイ協会の評議員、大会運営委員長、論文査読委員として、日本におけるヘミングウェイ研究の発展に貢献する。また、同協会が作成中の『ヘミングウェイ事典』(北星堂)(予定)の編集委員として編集作業を継続する。

○中・四国アメリカ文学会の評議員として、同地区のアメリカ文学研究に貢献する。

○日本英文学会中国四国支部の理事として、同地区の英文学研究に貢献する。

(2)点検・評価

○目標どおり、日本アメリカ文学会の編集査読委員として学術誌の編集と書評を行った。

○目標どおり、日本ヘミングウェイ協会の評議員、大会運営委員長、論文査読委員として責務を果たし、同協会に貢献できた。また、同協会が作成中の『ヘミングウェイ事典』の編集作業を継続した。

○目標どおり、中・四国アメリカ文学会の評議員として同学会およびアメリカ文学研究に貢献できた。

○日本英文学会中国四国支部の理事として、同学会および英文学研究に貢献できた。以上、学会活動は個人としてかなり多数の役職に就き、その職務を目標どおり実施しできた。研究としてはI-1のとおり、十分な成果を得た。

 

2-3.大学運営

(1)目標・計画

○各種委員会の仕事に尽力し、本学の運営に貢献する。 ○小学校英語教育センター所長に任じられているので、これに誠実にあたり、同センターの運営に尽力する。

(2)点検・評価

○学部入試委員会副委員長および総括班長としての職務を無難に果たした。また就職委員会委員として特に就職支援室が実施する模擬面接や模擬授業に面接官としてほとんどの機会に参加した。目標以上の貢献ができたと判断する。

○小学校英語教育センター所長として、同センターの運営にあたった。ただ、他の職務、研究、身内の不幸などに時間を割かざるを得ず、必ずしも本センターに発展的な貢献ができたとはいえない。

 

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

○附属教員との交流を講座として、これまで以上に実施する。

○教育実習を参観して、研究授業などで助言をする。

○教育支援講師として、依頼があれば進んで授業、講演を実施する。

○国際交流については、学生に留学を勧める。また、大学の国際交流事業については、特に英語教員としてできることには積極的に協力する。

(2)点検・評価

○附属との交流は教育実習で授業参観、研究授業後に意見を交換した程度で、十分なものではなかったかもしれない。

○教育支援講師としては、本年度は依頼がなく、実施していない。

○国際国流については、大学院ゼミ生がウェスタン・カロライナ大学に留学するにあたって、助言・指導および書類作成などの支援を行った。クラス担任をする学部学生に留学を勧め、ひとりがオーストラリア留学(高等学校の日本語教育補助)に正式決定した。

 以上、附属学校との交流は最低限にとどまったが、国際交流についてはゼミ生とクラス学生の留学が実現したことは目標以上の成果として評価したい。

 

3.本学への総合的貢献(特記事項)

○以下の2点を挙げたい。

1.研究:単著の研究書を、英米文学関係では中心的な出版社である南雲堂から出版できたこと、また同書が有名な書評新聞で高い評価を受けたことにより、広く全国の研究者に本学教員としての私の存在が認識されたものと思える。

2.教育:修士修了年度生3人のゼミ生は、それぞれアメリカ留学、連合博士課程合格、現職教員として現場復帰という結果であった。学部卒業年度生2人のゼミ生は、ひとりが兵庫県高等学校英語教員として正採用、もうひとりは山口県小学校教員として正採用された。優れたゼミ生に恵まれたという幸運も幸いしたが、ゼミ指導を通じて彼ら/彼女らのキャリア形成に幾分なりとも貢献でき、それが本学への貢献につながったのではないかと自負している。

 

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