自己点検・評価報告書(田中淳一)

報告者 田中淳一

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての教育・研究活動①

(1)目標・計画

 本年度の研究では、特に科学技術教育における主要概念の教育課程編成上の取り扱い方(何をいつ頃、どのように教えれば/学べばよいのか:「教授-学習の適時性」)を解明するため、脳科学や認知科学が明らかにしてきている脳認知発達の予測と単元や教材の配列を適合させる方法について検討する。また、「教授-学習の適時性」に影響を与える諸要因(教育内容のみならず感受期前後に対応した教育方法/学習形態などを含む)を明確化することによって、最適な学習環境や教育課程の仮説的なモデルを構築したいと考えている。

(2)点検・評価

 脳の発達と科学教育の学習との関連性について検討し、いくつか結果が得られた。就学前において、自由に物に触れさせることや自然に遊ばせることが感性を養うのに大切であることが、脳波等の結果より示唆された。小学校の低学年においては、興味ある科学教材を提示し、その形状や存在する意義等について考えさせることが、脳の発達との関係において適していると推測された。小学校高学年では、物事の共通性についての気づき等を考慮することの重要性が示唆された。中学校、高等学校については検討中である。小学校までについての結果において、個人間の差が大きいが、年齢におけるパフォーマンスの限界値を配慮した教育課程が必要であると考えられた。

 

1-2.大学教員としての教育・研究活動②

(1)目標・計画

①研究経費の確保のため、科学研究費補助金「新学術領域研究(研究領域提案型)」に、「応募領域名:創造的知の創出を育む先進的科学技術教育と教育課程」の研究組織の一員として応募する。

②企業等の外部の研究助成金等に応募を試みる。 

(2)点検・評価

①研究経費の確保および教育・研究活動を進めるために、科学研究費補助金「新学術領域研究(研究領域提案型)」応募領域名「欧米亜の科学教育、英才教育政策と国際競争力豊かな卓越性の科学教育課程の構築」に、研究代表者として「For ExcellenceからFor All の学びと課題探究の脳認知科学的解明」という研究課題名で申請した。

 

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

①教員を志望する学生に対して、基礎知識の獲得や学習意欲の維持等を目的とした指導を行う。教員採用試験にむけた目標を設定し、一定期間の進行状況を評価させることで、常に一定以上の努力が行われるような指導を行う。

②授業内容の理解を促すため、授業の終了時あるいはオフィスアワーに、分からないことについて積極的に質問をするように指導する。

③専攻の教員と連携し、学生からの相談に随時応じたい。

(2)点検・評価

①大学院生に教員採用試験にむけた指導を行った。その指導院生は、京都市の教員採用試験に合格した。

②毎回、分からないことについて質問をするように指導を行った。授業の終了時に、質問する学生が多くなった。

③学生から1件の相談に応じた。

 

2-2.研究

(1)目標・計画

①「学習-教授の適時性」の脳認知科学解明について、学外の研究者と共同研究を開始する。

②数年間行ってきた「体液量維持のための神経機構に関する研究」の成果をまとめ、学会誌に投稿する。

③現職教員とともに進めている研究「心理的ストレスと脳内神経機構」の成果を、神経科学関係の学会で発表する。

④学外の研究助成の公募に積極的に申請し、外部からの資金の調達を試みる。

(2)点検・評価

①「学習-教授の適時性」の脳認知科学解明について、浜松学院大学緩先生と共同研究を開始し、若干の結果を得た。現在進行中である。

②体液量維持のための神経機構に関する研究の一つとして、「GABAergic modulation of serotonin release……」というタイトルで、Neurochemistry Internationalに投稿した。

③現職教員とともに進めている研究「心理的ストレスと脳内神経機構」の成果を、マイクロダイアリシス研究会で発表した。

 

2-3.大学運営

(1)目標・計画

①学部入試委員会、安全管理委員会(副委員長)、臨床研究倫理審査委員会(副委員長)、及び就職委員会の委員として、本学の運営に貢献する。

②本学が計画する大型研究プロジェクト「新学術領域研究(研究領域提案型)」に研究代表者として申請を行う。

(2)点検・評価

①学部入試委員会、安全管理委員会および臨床研究倫理審査委員会(副委員長)の委員として、本学の運営に参加した。

②本学が計画する大型研究プロジェクト「新学術領域研究(研究領域提案型)」応募領域名「欧米亜の科学教育、英才教育政策と国際競争力豊かな卓越性の科学教育課程の構築」に、研究代表者として「For ExcellenceからFor Allの学びと課題探究の脳認知科学的解明」という研究課題名で申請した。

 

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

①附属学校における研究発表会および地元で開催される研究会等に参加し、意見交換等を行う。

②昨年に引き続き、教育支援講師として登録し、要請があれば現地において支援(講演等)を行う。

③公開講座を開催し、地域の方々と交流・連携をはかる。

④外国人留学生、教員研修留学生を受入れる。

(2)点検・評価

①附属支援学校の多くの教員が参加された「徳島特別支援教育事例検討会第2回大会」を開催した。また、「発達障害シンポジウム2009」の開催に寄与し、多くの方と意見交換を行った。

②教育支援講師として、徳島県立富岡東高等学校羽ノ浦校の校内研修会で講演及び意見交換を行った。

③公開講座「脳科学・認知心理学からの学習者支援」と「特別な支援を必要とする子どもたちについて」を開催した。

④外国人留学生、教員研修留学生としての希望者はいなかった。

 

3.本学への総合的貢献(特記事項)

 本学が計画する大型研究プロジェクト「新学術領域研究(研究領域提案型)」応募領域名「欧米亜の科学教育、英才教育政策と国際競争力豊かな卓越性の科学教育課程の構築」に、研究代表者として「For ExcellenceからFor Allの学びと課題探究の脳認知科学的解明」という研究課題名で申請を行った。

 

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