自己点検・評価報告書(藤村裕一)

報告者 藤村裕一

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての教育・研究活動①

(1)目標・計画

 本年度は,専門である校務情報化について,国内外の先進事例調査,文部科学省・総務省・経済産業省・民間企業の協力を得ての実証実験などを基に,SEIUS(Secure Educational Information Utilizing Sytem =高機密高付加価値教育情報活用システム)の技術標準化に焦点を絞り研究を進める。平成21年9月から2月には,東京工業大学に内地研究員として赴任し,本研究について,さらに高度な研究を進める。これら研究の成果については,積極的に論文執筆・学会発表等を行う。

(2)点検・評価

 平成21年度に,専門である校務情報化の先進事例調査を,アメリカ,韓国について海外実地調査を行うと共に,国内でも新潟県上越市,兵庫県三木市,岡山県倉敷市,静岡県伊豆の国市等で実地調査を行い,その成功要件を分析し報告書にまとめた。また,内地研究員として東京工業大学において日本最高レベルの教育工学について学びながら,文部科学省・経済産業省・NTTグループ各社の協力を得て,仙台市において実証実験を行い,高機密高付加価値教育情報活用システムの必要性・有効性と,改善点を明らかにし,最先端の研究を進めることができた。 また,これらの研究成果については,ワシントンD.C.で開催されたISTE(国際教育工学会)や東京・札幌で開催された国際シンポジウムで発表したほか,文部科学省,総務省等の教育情報化政策にも反映させることができた。

 

1-2.大学教員としての教育・研究活動②

(1)目標・計画

 実証実験及び国内・海外先進事例調査に関する費用は,文部科学省・総務省・経済産業省・各種公的団体の委員会に参加することで予算を獲得して行うと共に,民間企業と共同研究を行い,必要な研究資金を獲得する。 

(2)点検・評価

 平成21年度は,国等の委託研究その他の事業に積極的に応募し,当該委員会の委員長・主査・委員を務め,文部科学省・総務省・財団法人コンピュータ教育開発センター・財団法人全国地域情報化推進協会・NTT持株会社NTT東日本・情報通信総合研究所等における校務情報化・情報モラル関係で合計6,200万円,ティーチャーズ・ライブラリー,クリエイティブ・ライブラリー等のNHKにおけるデジタル教材開発で8,000万円,計1億4,200万円の外部資金を獲得して,研究活動を行った。(いずれも資金管理は,上記財団等公的団体)(※なお,本学では科学研究費補助金しか評価対象となっていないが,情報分野で一般的な上記のような外部資金獲得方法についても,評価対象としていただければ幸甚です。また,H21年度は東京工業大学に内地研究員として出向していましたが,科研費関係の書類が東京へ転送されてこなかったため,準備していた書類の提出が,学内締切に間に合わず,大変残念でした。)

 

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

○現代教育課題総合コース担当の他の教員と連携し,これまでの教員採用試験担当経験を生かして,大学院生の教員採用試験対策講座を実施する。

○現代教育課題総合コースの学生に対してだけでなく,全学部生・大学院生を対象に,パソコン利用相談 ・メンテナンスサービスを行って,学生の研究活動を支援する。

(2)点検・評価

○教育委員会における教員最小試験担当経験を生かし,本コースの大学院生を対象に,面接や模擬授 業対策,受験教育委員会別試験対策講座などを行った。また,本年度は,大学院生の求めに応じ,土日にも試験対策講座を行った。

○パソコンの不具合対応その他,パソコン利用相談・メンテナンスサービスを全学生分け隔てなく行い,頻繁に研究室における作業・相談業務を行い,大変好評であった。

 

2-2.研究

(1)目標・計画

○教育用デジタルコンテンツに関する研究を深化し,その成果を科学技術振興機構の「理科ねっとわーく」やNHKデジタル教材に反映させる。

○国内外の校務情報化先進事例の調査を行い,校務情報化,学校情報セキュリティのモデルを提言するとともに,実証実験を行ってその可能性と課題を明確にする。

○情報学に基づく「人間教育としての情報教育」の在り方について調査・研究を進め,実証実験等を行う。

(2)点検・評価

○ASP・SaaS型教育用デジタル教材提供及びその権利処理に関する研究成果を,科学技術振興機構「理科ねっとわーく」,NHK「ティーチャーズ・ライブラリー」「クリエイティブ・ライブラリー」「デジタル教材」に反映させた。

○校務情報化・学校情報セキュリティに関し,アメリカ・韓国・英国等の海外先進事例及び全国各地の国内 先進事例調査,実証実験をもとに研究し,「学校情報セキュリティ推奨仕様」「校務分野におけるASP・SaaS事業者向けガイドライン第1版」を作成すると共に,文部科学省・総務省の承認も得て発表することができた。

○「人間教育としての情報教育」については,遠隔教育大学院の科目等履修生によって実証実験を行うと共に,全国学校図書館協議会と連携し,普及・研究体制を整えることができた。

 

2-3.大学運営

(1)目標・計画

○大学院における遠隔教育を推進し,授業数・協力教員数を増やすと共に,積極的に広報活動を行って,全国各地から科目等履修生を募る。

(2)点検・評価

○平成21年度は,藤村の他谷村准教授にも遠隔教育を行ってもらったほか,遠隔教育推進室のeラーニング担当技術職員として年俸正職員1名を雇用し,遠隔教育の推進体制を整えることができた。また,北海道から沖縄まで全国各地から集まった16名の科目等履修生を,遠隔教育大学院で正式に修士を取れるようにした場合に備え,「eラーニング・メンター」として養成すると共に,新規に北海道と愛知県にメンターを加えることができた。広報活動については,札幌市でスクーリングを兼ねた遠隔教育大学院体験セミナーを開催し,本学遠隔教育大学院に関心を寄せる現職教員にその魅力を伝えると共に,北海道・青森県・愛知県・鳥取県・島根県・長崎県・仙台市など全国各地で教育長・教育センター長・研修担当指導主事・現職教員に対する説明・広報を行い,今後の定員確保につながるよう努力した。

 

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

○文部科学省,総務省,経済産業省,NHK,JSTの各種委員として,研究成果を社会に還元する。

○全国の教育委員会と共同で,デジタルコンテンツの活用,情報モラル,情報セキュリティ,校務情報化等の研修会を行う。

○徳島県立名西高等学校学校評議委員を務め,学校改善に寄与する。

(2)点検・評価

○文部科学省,総務省,NHK,JST,CEC等の各種委員会の委員長,主査,委員として活動し,前述の 具体例の通り,校務情報化,学校情報セキュリティ,デジタル教材の開発,情報モラル教育等における研究成果を,積極的に社会に還元した。

○徳島県教育委員会で情報教育・情報モラル教育に関する教職5年次研修会や授業力向上研究を行ったほか,四国ほか関西地区から現職教員を集めた免許更新講習を行ったり,鳥取県他全国各地の教育委員会・研究団体からの求めに応じて,研修会講師を務め,社会貢献を行った。

○徳島県立名西高等学校学校評議委員を務め,海外交流を通した英語教育の改善など,学校改善に貢献した。

 

3.本学への総合的貢献(特記事項)

 文部科学省・総務省による校務情報化に関する委託研究・委託事業のほとんどを主査・委員長として受託するなど,学会における評価・民間企業による評価も含めて,「校務情報化,学校情報セキュリティ研究は鳴門教育大学」との評価を受け,大学のブランド価値向上に貢献した。 また,「人間教育としての情報教育」についても,その理念に基づいた鳴門教育大学方式の情報モラル教育の新しい在り方提案が文部科学省によって評価され,文部科学省の指導者養成研修教材として採択され,当該分野における本学の評価も高めることができた。  さらに,「オンデマンド型による現職教員向け遠隔教育大学院は,鳴門教育大学」との評価も定着させることができた。

 

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