自己点検・評価報告書(小西正雄)

報告者 小西正雄

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての教育・研究活動①

(1)目標・計画

 教育目標として,より実践に即した内容の授業展開を工夫することをあげておきたい。ここで「実践に即した」とは,たとえば「明日の授業に役立つ」というようなハウツー志向のことではなく,現在の学校現場の実践課題について,学校現場からの「常識的な」発想ではなかなか改善できない視点,あるいはそもそも問題視されないような視点に焦点をあてることで,実践に有効でしかも大学院「ならでは」の視点にたった授業が可能になるであろうという仮説を意味している。具体的には「現代の諸課題と学校教育」「現代の諸課題と社会認識教育」「総合学習総論」において,近代教育や戦後民主主義,教科教育研究方法論などをある程度相対化した視点からの授業内容構成を追求したい。

(2)点検・評価

 教職共通科目「現代の諸課題と学校教育」において,環境,食,規範,国際化などの話題を取り上げ,学校現場や教育ジャーナリズムの世界に流通している言説のなかに怪しいものがいかに少なくないかを多くの実例をあげて紹介し,教師としての幅広い視野の必要性,目先のテクニックに走らないことの重要性などについて強調した。今年度は「食」に関する画期的な授業についてのさまざまな観点からの評価をつきあわせる「ジグソー方式」による受講生全員の話し合いの会をもったのが,効果的な授業として印象に残っている。 「現代の諸課題と社会認識教育」は今年度で最後となったが,例年通り,わが国の少なからぬ平和教育の偽善性について論証することを中心に授業展開を行い,台湾問題に造詣の深い修了生(徳島市内中学校教諭)をGTとして迎えるなどの企画も実施し,多様な観点からの接近を試みた。

 

1-2.大学教員としての教育・研究活動②

(1)目標・計画

 上記の教育活動を進めていくに際して,特段の予算を必要とするものではないが,ここしばらく落選状態が続いている科学研究費補助金の獲得に向けて引き続き努力したい。 

(2)点検・評価

 今年度は準備不足から科学研究費補助金の申請には至らなかったが,研究の内容が,それほど多額の費用を要するものではないので,通常のコース等経費でそこそこまかなうことができ,特段の支障は生じなかった。

 

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

 21年度は諸般の事情によりコース担当教員の実働体制が大幅に制限される。このようななかで,担当するゼミ生(M1,L2)数は逆におよそ20人と増加する見込みである。現代教育課題総合コースとしては一種の非常事態宣言を発せねばならぬ状況にある。したがって新たな事業展開は望むべくもなく,ゼミ生の教育研究指導体制の最低限のサービスレベルをしっかりと維持することが最大の課題となる。

(2)点検・評価

 小ゼミには2名のM1が配属された。いずれも現職教員で,1名は香川県,1名は栃木県からの派遣である。現職教員ということで指導にもそれなりの配慮が必要ではあったが,人数的には,コースの他の教員が多くの新入生を受け入れてくれたので,おおいに助けられた部分がある。上述のように「コース担当教員が実働3名という非常事態の1年間であったが,委員会活動,就職支援行事への参加などは積極的に手分けして分担しあったので,とくに大きな支障はなかった。無事乗り切れて幸いであった。

 

2-2.研究

(1)目標・計画

 22年12月に,これまでの著作に加筆修正を加え『教育文化人間論』(仮題)というこれまでの研究の集大成の単著を刊行する予定であり,21年度はその準備作業にとりかかる。

(2)点検・評価

 仮称『教育文化人間論』の内容構成をほぼ決定し,過去の著作をデジタル化するためのソフトを購入し,作業の一部を開始できた。ほぼ順調に予定を消化した。

 

2-3.大学運営

(1)目標・計画

 引き続き入試広報担当学長補佐として大学院定員確保のための活動に積極的にとりくむ。20年度の終わりに一応の完成をみる『ガイドブック』の再改訂に備えて必要な映像資料の確保に努める。

(2)点検・評価

 入試広報担当学長補佐として,春には12日間で教委,私学を合わせて30カ所訪問するなど,粉骨砕身の努力を傾注した。因果関係は証明のしようがないが,今年度の大学院充足率が前年度を上回る結果となり安堵している。『大学院ガイドブック2011』については,11月下旬から準備をはじめ,3月末に無事納品のはこびとなった。制作原稿執筆,写真撮影,企画,編集をほぼ一人でこなした。もっとも,この作業は今後は所要の対価を支払って専門業者に委ねられべきとの思いは変わらない。

 

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

 附属小学校との研究連携は,21年2月7日の研究発表大会講演で一応のくぎりを迎える。21年度以降の附属小学校の研究テーマは現時点では未定であるので,どのようなかたちでの協力が可能かをここで明示することはできないが,いずれにせよ,子どもをトータルにとらえる小学校現場の発想からすれば,教科縦割りの支援体制では効果に限界があり,その意味で現代教育課題総合コースへの協力期待は今後も強いと思われるので,現場のニースをもとに具体的方策を考えていきたい。

(2)点検・評価

 鳴門教育大学附属小学校については,2月の研究発表大会に向けての研究授業の指導を数回にわたって実施し,当日は指導助言の任にあたった。お茶の水女子大学附属小学校については,夏の校内研究会の講師を務め,その際に提案した「研究発表会の改善方策」の一部が2月に実現し,かなりの効果を得ることができ,関係者から感謝された。 平成23年度版小学校教科用図書の編集作業は無事終了し,3月10日に検定合格通知を得た。 3月にホノルル日本人学校を訪問し,授業研究面での支援の可能性について,校長等と研究協議を行った。

 

3.本学への総合的貢献(特記事項)

 特記するならば,やはり大学院定員充足のための諸活動があげられよう。前述の教委・私学訪問のほか,県関係者,修了生その他あらゆる機会を見つけてはPRにつとめた。 また,徳島県庁から学長に依頼があった「10年後の徳島」プランニングの仕事を下請けし,学生約130人分のプランを県に提出し感謝されたことも記憶に新しい。

 

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