自己点検・評価報告書(田村隆宏)

報告者 田村隆宏

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての教育・研究活動①

(1)目標・計画

 本学の附属幼稚園が「保育の質の向上」に関するテーマを掲げて,月に2,3回の頻度で開催されている合同研究会(午前中は実際の保育を観察し,午後に午前中の保育実践に関わる研究会が行われる)に参加し,保育実践野専門家である幼稚園教員との討議を重ねる中で,自らの専門である心理学的視点から,保育者としての資質向上に必要な要因を探り,その研究成果を,附属幼稚園研究紀要に寄稿する。また,その研究成果を大学院の教育実践フィールド研究や学部の保育内容に関する講義で積極的に情報提供する中で,高度な教職の専門性と教育実践力を持つ教員養成に貢献することを目指す。

(2)点検・評価

 本学の附属幼稚園が実施している合同研究会に参加し,科学研究費補助金の採択に伴って設定された今年度の研究テーマである「保育者の資質向上を目指した保育実践データベース開発」に積極的に関わった。特に保育実践場面のデータベースを検索する時に必要となるキーワード(例えば,「子どもの興味や関心を焦点化する」「科学や新しい知識にせまる」など)の選定に関して心理学的視点からの検討を加えた。また,この成果を附属幼稚園・研究紀要第43巻に「保育の質的充実を目指すために大切なこと;保育実践テータベースとの関連から」と題した論文を寄稿し,掲載された。さらに,この研究成果を大学院の教育実践フィールド研究や学部の保育内容に関する講義で積極的に情報提供し,高度な教職の専門性と教育実践力を持つ教員養成に貢献した。

 

1-2.大学教員としての教育・研究活動②

(1)目標・計画

 教員養成と新任教師の保育の質の向上に資するデータベース開発に関する研究計画で科学研究費補助金を研究代表者として申請している。研究計画としては,本学の大学院生,学部生の実践力育成に役立てることを目的として,本学の教員5名が附属幼稚園教員3名を研究協力者として優れた保育実践場面の映像データベースを構築するというものである。 

(2)点検・評価

 申請していた教員養成と新任教師の保育の質の向上に資するデータベース開発に関する科学研究費補助金が採択され,当初の研究計画に基づいて,附属幼稚園との共同研究の成果のもとに保育実践データベースの基本的な枠組みが既に完成している。今後,科学研究費補助金が支給される残りの2年間で,多様な保育テーマに対応したデータの蓄積や,特に新任保育者や保育職を目指す学生にとって保育実践力の向上に結びつきやすいデータペースのあり方を探り,具現化する。

 

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

 就職活動については,講座が収集している採用試験に関する情報を学生に提供し,過去の卒業生,修了生の情報も積極的に提供し,就職に対する意識や意欲を高めた。その結果,指導した学部卒業生2名が幼稚園教員,保育所保育士として正採用され,大学院修了生が小学校教員,幼稚園教員として臨時採用された。課外活動については,フットサル同好会の顧問として活動をサポートした。また,本学フィルハーモニー管弦楽団の卒業・修了式の演奏に団友として賛助出演し,直接的に活動を支援した。

(2)点検・評価

 幼児の語彙獲得に関する研究論文を海外誌に投稿し,現在,審査中である。さらにこのテーマに関わる研究成果については日本心理学会第73回大会で発表を行った。さらに学内プロジェクトで実施したサークル活動の教育的効果に関する共同研究の成果が「大学における課外活動が心理的well-beingに及ぼす影響;鳴門教育大学フィルハーモニー管弦楽団の活動を中心として」と題した論文として鳴門教育大学研究紀要第25巻に掲載された。さらに,学内での共同研究の成果をまとめた大学院生の道徳的意識に及ぼす遍路体験の効果についての研究成果は「大学院生の道徳的意識に及ぼす遍路体験の影響」と題した論文として教育実践論集第10号に掲載された。

 

2-2.研究

(1)目標・計画

 現在学会誌に投稿中で審査段階にある幼児の語彙獲得に関する研究論文の掲載を実現するとともに,最近の成果をまとめる。さらに学内プロジェクトで実施しているサークル活動の教育的効果に関する共同研究を実施し,成果を論文にまとめ,投稿する。

(2)点検・評価

 語彙学習関係の論文は2008年8月発行の応用教育心理学研究誌(日本応用教育心理学学会編)第25巻第1号P3-14に「幼児と大人の相互排他性棄却に関わる語彙学習過程における状況依存性」と題して掲載を実現できた。サークル活動に関する共同研究の成果については,既に論文が完成し,学内紀要に投稿予定である。また,遍路体験と道徳性の関係検討した共著論文が教育実践論集に掲載予定で現在印刷中の段階にある。

 

2-3.大学運営

(1)目標・計画

 大学運営については,新年度に就任予定である教務,もしくは入試に関わる委員会委員として大学運営に積極的に関わる。また現在進行中の大学連携GPの運営委員としてGPの遂行に積極的に携わる。また,昨年度から継続中の日本教育大学協会評議員として,教育大学にとって重要な情報を収集し,本学の運営に役立てる。

(2)点検・評価

 大学運営に関しては,大学院教務委員会委員,及び学部入試委員として,大学院の教務関係,及び学部入試に関する業務に関わった。また東京学芸大学を主幹とする「教育支援人材育成事業」に取り組む大学連携GP(人材GP)の運営委員として特に地域の教育支援人材養成に関わるカリキュラム開発に関わっている。さらに,日本教育大学協会評議員として,教育大学にとって重要な情報を収集し,特に四国四県の国立大学法人の教員養成系大学間において,教員免許更新講習や教育実践演習等の情報交換を行った。

 

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

 附属幼稚園との連携については,月に3~4回開催される合同研修会に参加し,保育実践に関わる共同研究に加わり,その成果を附属幼稚園研究紀要にまとめる。社会との連携については,教育支援アドバイザーとして複数のテーマを掲げ,講演等の依頼に対して積極的に赴く。

(2)点検・評価

 附属幼稚園との連携については,年間を通して月に2~3回開催される合同研修会に参加し,保育実践に関わる共同研究に加わり,その成果を附属幼稚園研究紀要にまとめた。特に本年度は「保育の資質向上を目指す保育実践データペース開発」に関わる科学研究費補助金の採択に伴って,附属幼稚園の研究テーマを対応させての連携・協力体制をとっている。社会との連携については,5月に吉野川市保育士対象の「新保育所保育指針」に関する講演を行った。また,文科省からの委託事業である鳴門市幼児教育の改善・充実調査研究事業の運営委員長として,事業の運営にかかわり,保護者や保育者対象の保育カウンセラーも勤めた。さらに徳島市社会教育委員として,また市立図書館運営委員として地域の社会教育事業にも関わった。これらに加え,文科省からの委託されている幼稚園教諭免許取得試験の問題作成,及び採点にも携わった。

 

3.本学への総合的貢献(特記事項)

 戦略的研究開発検討部会の委員として本学の研究開発に積極的に関わっている。その一環として,本年度は文科省の「先導的大学改革推進委託事業」の運営委員として特に教員養成に関わるカリキュラム・マップ構築に携わっている。本字業は来年度も継続するため,引き続きカリキュラム・マップ構築の完成を目指す。

 

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