自己点検・評価報告書(伴 恒信)

報告者 伴 恒信

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての教育・研究活動①

(1)目標・計画

 報告者は、ここ数年来アメリカの「サービス・ラーニング(Service-Learning)」に基づいて、地域社会の教育に奉仕しながら学ぶ教育実践を、本学の広領域コア科目「子どもの規範意識の形成と授業経営」や「教育実践研究」等の授業のシステムに組み入れ、さらには、こうしたサービス・ラーニングの実践方式を、社会学でいうエスノグラフィー的調査研究方法と融合させ、各種研究課題の究明や修士論文等の作成にも役立てる研究方法を開発してきた。 本年度も引き続き、上記広領域コア科目においては、藍住町のボランティア団体と小学校が連携して実施する教育実践に院生とともに協力参画していくとともに、現代GPにも、藍住町教育委員会および小学校と連携協力して「遍路ウォーク」プログラムなどを介して貢献していく予定である。

(2)点検・評価

 上述の計画通り、本学の広領域コア科目「子どもの規範意識の形成と授業経営」では、藍住町のボランティア組織「正法寺川を考える会」代表米田博氏の協力を得て、同氏が藍住北小学校と連携し進めている学社連携プログラムに学生が実際に参画しながら、同時にフィールドワークの観察研究法を実践的に身に付ける試みを行った。授業を通して、学生達の明確な教育実践力と意欲の高まりが見られ、成功裏に終わったといえる。 また、現代GPの一環として実施された「遍路ウォーク」のプログラムでも、「遍路ころがし」と呼ばれる最難関の遍路道を子どもと共に歩むなかで、参加学生達は地域に根ざした文化伝統を体験的に理解すると同時に子ども支援の実践的方法論を学ぶことができたとその意義を報告している。

 

1-2.大学教員としての教育・研究活動②

(1)目標・計画

 報告者は、すでに平成19年度から21年度まで科学研究費補助金を受領し、「地域コミュニティ参画型道徳教育実践プログラムの実効性に関する日米中比較研究」の研究代表者として調査研究を実施している。平成21年度は、上記研究の最終年度にあたり、20年度までに実施した調査をしっかりまとめて成果を示すことが次年度以降のさらなる外部資金の獲得につながることと考える。 

(2)点検・評価

 上記平成19年-21年度科学研究費補助金を受けた「地域コミュニティ参画型道徳教育実践プログラムの実効性に関する日米中比較研究」を引き続き実施するとともに、こうした国際比較研究の実績がかわれて、日本子ども社会学会理事会より、同学会の平成21-22年度の学会共同研究「子どもの抱く達成動機・自尊感情に関する国際比較研究」の研究代表者になるよう招請があった。こちらの研究も鋭意進めているところである。

 

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

 報告者は、先述の藍住町など地元の協力校と連携しながら指導学生をサブティーチャーとして学校に派遣し、学部生や学部卒院生の教職意識や子どもとの実際的なコミュニケーション能力を高めるだけでなく、学校からは感謝されて長期履修生の教育実習校としての便宜をはかってもらったり、教員採用試験の面接でも現場実践活動を評価されて採用試験に合格するなど、学生にも多くのメリットをもたらしている。この学校および地域の教育委員会やボランティア団体との間で築いているこの信頼と連携を一層確固たるものにしていく。

(2)点検・評価

 上述の通り、指導学生達がサブティーチャーとして入っている藍住町の2つの小学校からは、彼らの貢献ぶりに高い評価が与えられ、修士論文の調査においても全面的な協力が得られた。学生達も子ども達から慕われ、先生方とも良好な人間関係が築かれたようで、彼ら自身大いに人間的成長を遂げることができた。21年度の修了・卒業生の2人は、宮崎県および堺市の採用試験にも合格している。

 

2-2.研究

(1)目標・計画

 上述の科学研究費補助金プロジェクトは、報告者自身のライフワークとも言える各国の道徳教育および子どもの道徳的社会行動の国際比較研究の延長線上にあるもので、2年間の実証的質問紙調査やヨーロッパ、アメリカ、中国などでのフィールド調査のデータを集大成して研究論稿にまとめていきたい。

(2)点検・評価

 1-2の項で先述したように、科学研究費補助金プロジェクトに加えて、学会共同研究研究代表者、さらには、昭和女子大学押谷由夫氏代表の科学研究費補助金基盤研究(B)「学校・家庭・地域連携型道徳教育推進プログラムの開発に関する総合的研究」の連携研究者として、同時並行的に多くの研究を実施した。研究実施に多く時間を費やす分、いささか研究の集大成をはかる時間が十分確保できなかったきらいがある。

 

2-3.大学運営

(1)目標・計画

 本学が文部科学省から受領した現代的教育ニーズ取組支援プログラムの「四国遍路」プロジェクトチームメンバーとして、平成21年度にも前年度に続き地元の学校の子ども達をプロジェクトに参加させる学校との連携協力と、その実施の任に当たる。

(2)点検・評価

 上述の現代的教育ニーズ取組支援プログラムのメンバーとして役割を果たし、成果をまとめるとともに、本学の外国人客員研究員として招聘した檀傳寶教授を介して平成22年度に本学で開催される日中教師教育学術研究集会への橋渡しをすることができた。本学の研究面での実績づくりに陰ながら貢献できたと思う。

 

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

 ○平成21年7月から半年間、北京師範大学市民・道徳教育センター長檀傳寶教授を本学の外国人客員研究員として招聘することになっている。檀教授は中国全土の道徳教育施策ならびに研究の中核的存在として活躍しており、同氏との共同研究は本学のみならず、日本の道徳教育の研究ならびに日本と中国との研究上の交流に大きく貢献することと確信している。

 ○平成20年度に開催された第三回中日教師教育学術研究集会の際に、北京師範大学附属小学校を訪問し、附属小学校副校長および北京師範大学関係者から本学の附属学校との交流関係の推進を依頼された。少しでも、附属校同士の交流の実を挙げる方向で貢献できたら幸いと考える。

(2)点検・評価

 上述の通り、平成21年7月から半年間、北京師範大学市民・道徳教育センター長檀傳寶教授を本学の外国人客員研究員として招聘した。同氏を通じて中国と日本の道徳教育関係者との研究交流が大いに進展し、平成22年3月23日には北京師範大学において「日中徳育対話研究集会」を開催するに至った。また、先述のように、本学と北京師範大学とで一年おきに開催している「日中教師教育学術研究集会」も、同氏を客員研究員として招いていたことで、いったんは相互交流の窓口が途絶えてしまった本学と北京師範大学の新しい教育学部執行部との連携が維持されたというのが実情である。

 

3.本学への総合的貢献(特記事項)

 前述の北京師範大学との交流をはじめ、報告者が文部科学省の大学設置審議会教職大学院専門委員を拝命していたり、文部科学省の初等中等教育局から講演等を依頼されたりすることで、間接的ではあるが鳴門教育大学の運営評価に多少なりとも貢献していると思われる。また、そうした貢献の仕方が、大学の研究者としては正攻法であると自認している。

 

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