15.あとがき

「教員養成のパラダイム・チェンジ -Evidence Based Educationを目指して-」

  平成20年3月25日,中央教育審議会大学分科会は「学士課程教育の構築に向けて」(審議のまとめ)を公表した。本学はすでに学部段階においては,教員養成コア・カリキュラムを開発し,平成17年度から導入している。それを基盤にして,授業評価スタンダードや知の総合化ノートの構築と授業映像アーカイブを有機的に関連づけた取組を行い,これが平成18年度の特色GPへと結実した。この取組も2年目に入り着実に成果を上げており,学士課程教育の出口を保証するための一翼を担うものとなるであろう。
  本年度は,現代GPと専門職GPの2件が採択された。誠に喜ばしい限りであるが,取組の実施にあたっては,それだけ教職員に負荷をかけている点は否めない。しかしながら,GPの取組は,全学挙げての取組であるという明確な共通認識のもとに実行に移していかねばならないと考えている。
  平成20年度に開設予定の教職大学院については,「教職大学院設置準備室」(平成19年3月設置)において,精力的に申請書類等の作成を行い,無事設置認可を受けた。それに伴い,既存の大学院修士課程のカリキュラム改革を行い,教職大学院との差異化を図るとともに,より教育実践学を志向したカリキュラム編成とし,目的大学としての性格を鮮明に打ち出している。この取組が,本年度専門職GPに採択された。
  FD推進事業では,昨年度に引き続いて,学生(学部生,院生)や学外の学校関係者の参加のもとにワークショップを10件(昨年は5件)に拡大し,活発な討論を行った。
  また,年次進行により,附属学校園や連携協力校の協力を得て,コア・カリキュラムを実施するとともに,本年度から長期履修学生の教育実習を,北島町,松茂町,藍住町の小・中学校に依頼し,実習を行うことができた。地元の学校現場や地域,教育委員会等との連携協力がしかっりと根付き,「開かれた大学」としての機能が果たされているといえる。その一例として,「遍路文化を活かした地域人間力の育成」が,現代GPに採択されたことが挙げられよう。改めて,関係諸機関の方々のご尽力・ご協力に厚くお礼申し上げる次第である。なお,長期履修学生のサポートシステムとして,次年度から教職キャリア開発支援オフィスを設置する予定である。
  本年度,本学は大学評価・学位授与機構の認証評価を受け,機構が定める大学評価基準を満たしているとの評価結果を得た。なかでも優れた点として,教員養成コア・カリキュラムの開発,FD推進事業,各種GPの採択等が挙げられている。日頃の教職員の地道な努力のたまものである。
  第一期中期目標・中期計画も余すところ2年となった。現在,来年度に実施される暫定評価に係る法人化後4年間の業務実績及び教育研究業績について,自己点検評価を行っている最中であるが,これまでのところ目標の達成状況は良好であると判断している。
  今後,本学は教員養成系大学の教員養成において,教育の理論と教育現場の経験知・実践知の往還を通して,Evidence Based Educationを目指していきたいと考えている。
  最後に,これまでの教職員の方々のご尽力・ご協力に心から深謝したい。
教育研究担当理事  田中 雄三

「学生支援のさらなる質の向上を求めて」

  教員養成を設置目的とする本学学部・大学院において,本学はその教育内容の改善に向けた不断の努力はもとより,快適な学習環境を保証し,手厚い教員就職支援を実施することによって,学生・大学院生を専門的な学力と授業実践能力を兼ね備えた教員として学校現場に供給する使命を担っている。
  学校現場における今日的な社会現象(いじめ,不登校など)に対応できる教員養成のためには,講義・実習などの正課に加えて,ボランティア活動や放課後学習支援活動などに代表される,養成段階での学生・大学院生の種々多様な社会体験活動が必要となってきている。このような活動を本学の学生・大学院生に紹介し,積極的な参加を推進するというより進んだ学生支援は一朝一夕でできるものではなく,大学と学校・地域とのより強固な連携に基づいた活動を通して成就されるものと認識しております。
  この使命・認識に基づいて,アドミッションポリシーに掲げた,教員就職への意欲あふれる学生を選抜し,養成教育していく過程において,課外活動や社会体験(ボランティアなど),協定大学への交換留学生の受入・派遣等による国際理解教育・国際交流の推進,きめ細かい教員就職支援対策講座の開設などを,学生支援活動として系統的に実施してまいりました。
  平成19年度における成果の一端として,中期計画・目標に掲げた教員就職率60%以上を4年連続して達成・維持・向上できたこと(平成19年度卒業生の教員就職率が国立教員養成系大学・学部で第5位に躍進したこと)や,20以上の公開講座・大学開放事業の開設・実施,附属学校教員による教育実践に関わる大学教育への参加や大学教員との共同研究体制の整備などを通した教員養成の質の向上などをここで紹介して,次年度以降への新たな展開への活力といたします。
学生支援担当理事  村田 博

「PDCAサイクルを徹底した大学運営の効率化に向けて」

  本学は、教育に関する専門的知識を深め、今日的課題に対応した優れた実践力と豊かな人間性を兼ね備えた教師の育成する「教員のための大学」として、常に、大学運営の責任と権限を明確にしつつ、積極的な業務改善を行うことを目指し、平成19年度の計画を着実に実行した。

(1) 業務運営の活性化

  学長補佐体制を充実・強化し、機動的な業務運営を行うとともに、自己点検・評価の結果を教員の給与、教育研究費配分及び優秀教員表彰(ベストティーチャー賞)に反映するシステムを導入し、教育研究活動の活性化に努めた。

(2)財務内容の改善

  収入面では、外部資金の獲得を大幅に増やすとともに、学生宿舎等の入居基準を見直し、宿舎改修を行うことにより、入居率を向上させ、施設の有効活用と併せて収入増を図り、一定の成果を上げた。

(3)自己点検・評価の充実

  評価委員会の下に、教育研究の質の向上や改善について検討する「教育評価部会」と「研究評価部会」を設置し、各部会の提言に基づいて必要な改善措置を講じる体制を整備した。
  このように、業務運営及び財務内容等の改善は、学長のリーダーシップの下、計画通り順調に進んでいる。
  今後は、PDCAのC(評価)、A(改善)をさらに強化し、教員養成大学としての機能を十分発揮できる業務運営体制の充実・強化を図っていきたい。
総務担当理事  清水 勇行

 

編  集  日  誌
年 月 日 事        項
H18.12.28 学長が,各講座・各教員に対し,平成19年度の目標・計画に対する点検・評価報告書の提出を依頼
H19.1.31 上記目標・計画設定締切
H19.6.12 各講座・各教員が設定した目標・計画について,適切であることを学長が了承
H19.10.2 自己点検・評価報告書(中間報告)の提出を依頼
H20.4.25 各講座・各教員に対する,平成19年度の目標・計画に対する点検・評価報告書提出締切
H20.6.10 第2回評価委員会において,「平成19事業年度に係る業務の実績及び中期目標期間(平成16~19事業年度)に係る業務の実績に関する報告書(案)」を了承
H20.6.11 第3回教育研究評議会において,「平成19事業年度に係る業務の実績及び中期目標期間(平成16~19事業年度)に係る業務の実績に関する報告書」を承認
H20.6.13 旧講座・各教員あてに平成19年度の自己点検・評価に係る評価結果を通知
H20.6.13 平成19年度業務監査実施
H20.6.23 第1回経営協議会において,「平成19事業年度に係る業務の実績及び中期目標期間(平成16~19事業年度)に係る業務の実績に関する報告書」を承認。平成19年度監事監査結果 pdf(118KB)を報告。
H20.6.27 国立大学法人評価委員会(文部科学省)に対し,「平成19事業年度に係る業務の実績及び中期目標期間(平成16~19事業年度)に係る業務の実績に関する報告書 pdf(2MB)」を提出
H20.7.8 各理事,各部長,各センター所長に対し,それぞれが運営する部局の平成19年度における自己点検に係る報告を依頼。事務局各課長に協力要請
各講座・各教員の自己点検・評価報告書を基に,平成19年度自己評価結果報告書(web)を作成開始
H20.7.28 旧各講座に対し,平成19年度の自己点検・評価に係る評価結果について面談(9月1日まで)
H20.8.1 「平成19事業年度に係る業務の実績及び中期目標期間(平成16~19事業年度)に係る業務の実績に関する報告書」に関する国立大学法人評価委員会のヒアリング(文部科学省)
H20.8.29 各部局に係る自己点検報告締切
H20.9.10 国立大学法人評価委員会から「平成19事業年度に係る業務の実績及び中期目標期間(平成16~19事業年度)に係る業務の実績に関する報告書」に対する「平成19年度に係る業務の実績に関する評価結果(案)」の通知
H20.9.19 上記評価(案)に対する申し立て締切
H20.10.9 国立大学法人評価委員会が「平成19事業年度に係る業務の実績及び中期目標期間(平成16~19事業年度)に係る業務の実績に関する報告書」に対する「平成19年度に係る業務の実績に関する評価結果 pdf(147KB)」を公表
H20.10.30~31 中期目標期間における教育研究評価に係る訪問調査(大学評価・学位授与機構)
H21.1.13 大学評価・学位授与機構から「中期目標の達成状況報告書」,「学部・研究科等の現況調査票(教育)」及び「学部・研究科等の現況調査票(研究)」に対する「教育研究評価に関する評価報告書(案)」の通知
H21.1.22 平成19年度自己評価結果報告書の素案完成。関係各位に校正・確認を依頼
H21.1.31 「教育研究評価に関する評価報告書(案)」に対する申し立て締切
H21.3.6 国立大学法人評価委員会が「中期目標期間(平成16~19事業年度)に係る業務の実績に関する報告書」に対する「中期目標期間に係る業務の実績に関する評価結果(原案)」の通知
H21.3.13 「中期目標期間に係る業務の実績に関する評価結果(原案)」に対する申し立て締切
H21.3.26 国立大学法人評価委員会が「中期目標期間(平成16~19事業年度)に係る業務の実績に関する報告書」に対する評価結果 pdf(830KB)を公表
H21.4.20 平成19年度自己評価結果報告書を公表
最終更新日:2010年02月17日

お問い合わせ

経営企画戦略課
企画・評価チーム
電話:088-687-6012