あとがき

教育の質保証を確実にするための教員養成教育の充実

 本学の学部の「教員養成コア・カリキュラム」の成果を検証するために,毎年学部卒業生を対象に「鳴門教育大学の教育に関するアンケート」調査を実施している。平成24年度学部学卒業生113人を対象とした調査結果によると,「教育実践コア科目」についての設問では,「役立った」「どちらかといえば役立った」という肯定的回答が66.7%であった。前年度は80%で,約13ポイント低くなっている。コア授業の趣旨や指導方法について教員の再確認が求められる。
また,平成24年度3月卒業生の教員就職率は,80.0%(前年度77.9%)となっており,「国立の教員養成大学・学部(教員養成課程)44大学中第1位を3年連続で達成した。
 そして,平成24年度は,教育の質保証を確実にするために教員養成モデルコア・カリキュラムの開発に取り組み,「カリキュラムマップ・ガイドライン研究」「評価規準・評価方法開発」「教科内容学研究」を柱に検討し,その成果として,モデルコア・カリキュラムの編成と評価に関する理論的枠組み及び教科内容学研究の成果に基づく小学校教科専門科目の教科書編成のモデルを策定した。
 専門職学位課程においては,キャリアに応じた能力開発に対応するために,現職教員対象の3コースを教職実践力高度化コースに統合するとともに,カリキュラムにおける授業内容を見直した。
 そして,予防教育科学センターと徳島県下の小・中学校が連携して,不適応や不健康の問題への対応等,予防教育に関する実践的研究を進め,県内の小学校15校並びに中学校1校において,予防教育授業を実施した。
 また,多様なキャリアとニーズを持つ学校教員養成プログラム受講者(長期履修学生)をより体系的かつ実践的に支援するために従来教職キャリア支援センターに位置付いていた長期履修学生支援オフィスを格上げして,長期履修学生支援センターを設置し,センター運営方針を策定することにより,全学的なサポート体制を確立した。さらに,平成26年度からインターネットを活用した遠隔教育プログラムを修士課程の現代教育総合コースにおいて開設することに伴い,当該コースの募集人員を15人から20人に変更し,平成26年度入学生より適用することとした。
 以上,平成24年度は,主に教員養成コア・カリキュラムの検証,教員養成モデル・コアカリキュラムの開発,専門職学位課程のコース変更,予防教育科学の実践的研究,長期履修学生支援センターの設置,インターネットを活用した修士課程遠隔教育プログラムの学生募集等によって,教育の質保証を確実にするための教員養成教育の充実を図った。
 最後に,これまでの教職員の方々のご尽力,ご協力に心からお礼申し上げる。
教育・研究担当理事 西園芳信

教員養成系大学の先導役を果たす

 平成24年度は,第0期中期目標・中期計画の3年目,前半最後の年度である。
 田中学長は就任当初より「教職員間のシナプス・連携の大切さ」を説いているが,シナプスも確立されてきて,学長のリーダーシップの下,教職員一体となって課題に取り組み,教員養成大学として先導役を果たしていると思う。
 筆者は,社会連携,入試,評価,附属学校,国際交流などに関わっているが,どれもが順調に成果を上げた。その中でも,今年度の特色ある取組として次の2つが挙げられる。
 1つは,「第1回うずしお講演会」である。本学同窓会と協働により,本学の教育研究成果を学校現場や社会に積極的に還元するため,和歌山県教育委員会の後援を得て,8月4日に和歌山市内で開催され,46人の参加者を数えた。そして,これを機に「きのくに鳴門会」(本学同窓会和歌山支部)が設立され,同窓生間のネットワークの構築が図られた。
 もう1つは,「第5回中日教師教育学術研究集会」である。国際学術交流協定締結校である北京師範大学との共催で,9月15,16日に,北京師範大学で開催された。参加者は100人を超え(日本からは9大学42人),学術交流を深めた。
 このように順調に教育研究や大学運営が行われているが,変動が激しく舵取りの難しい時代にあって,気持ちを引き締めて職にあたりたい。
企画・社会連携担当理事 山下一夫

教員養成改革を見据えた大学運営の強化

 今年度の業務運営・財務内容等の状況にかかる主な取組は,

「遠隔教育プログラム」の開設準備

 平成26年度から修士課程人間教育専攻現代教育課題総合コースに遠隔教育プログラムを開設するの伴い,学生受入準備,教材開発など迅速的確な対応を行うため「遠隔教育プログラム開設準備室(平成25年度以降推進室)を設置した。

事務職員の人事評価制度見直しとSD研修

 平成23年度に見直しした人事評価について評価者研修を実施するとともに評価結果を給与等へ反映させた。また,的確な事務処理,窓口対応の充実のためにタイムマネジメント研修,クレーム対応研修を実施した。

エコアクション21の認証・登録

 本学環境方針,目標,活動計画に基づき,すべての大学構成員が環境負荷の低減に取組み昨年度,鳴門サイト(大学)で「エコアクション21」の認証・登録を受け,引き続き徳島サイト(附属学校園)の認証を受けた。その際,附属学校園の環境教育活動が高く評価されたことは特筆すべき実績である。

個人情報漏洩に対する全学的な取組

 本年度に発生した個人情報漏洩に対し,その被害を最小限にとどめるべく迅速かつきめ細やかに対応した。さらに,教職員の意識の高揚を図るため講習会を複数回実施しおおよそ9割の研修実績を得た。また,個人情報漏洩防止マニュアルをより具体的な対処方法が明確になるように見直した。
 
 平成24年度の本学の取組は,第2期中期目標,計画における中間期にあたり,喫緊の課題に的確に対応するとともに,今までの取組をレビューするとともに第3期を見据え国民の期待に応える教員養成改革の準備期間として重要な時期である。法人評価委員会における実績報告においても平成22年度以降の取組を国立大学の「共通の観点」に基づく報告を求められているため,参照されたい。
総務・財務担当理事 茶畠豊
最終更新日:2013年12月24日

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