4-4-5.予防教育科学センター

記載責任者 予防教育科学センター所長 山崎勝之
〈基礎・臨床系教育部 教授〉

1.教員等名簿

氏名職名専門分野

<センター所長>
山崎勝之.pdf(124KB)

教授 発達健康心理学
葛西真記子.pdf(100KB) 教授 臨床心理学
廣瀬政雄.pdf(140KB) 教授 小児科学
前田英雄.pdf(123KB) 教授 食品科学
吉本佐雅子.pdf(100KB) 教授 学校保健学
佐々木恵.pdf(90KB) 准教授 行動医学
内田香奈子.pdf(98KB) 講師 学校心理学
安藤有美 研究補佐員  
佐々木智美 研究補佐員  
森優貴 研究補佐員  
本田周二 研究補佐員  
福田衣利子 研究補佐員  
安田小響 研究補佐員  

 

※教員氏名は、当該教員の自己点検・評価報告書へリンク

 

2.センターの活動状況,今後の課題等

 平成24年度のセンターの活動は,主として,概算要求 平成24年度特別経費(プロジェクト分)「学校において子どもの適応と健康を守る予防教育開発・実践的応用研究事業」に沿って実施された。この概算要求事業の3年目の年度であった。
 以下に,その活動を事業の内容別に記述する。

(1)学校における予防教育の開発と実践

 昨年度に引き続き,学校において実施する予防教育を,大きくベース総合教育とオプショナル教育に分け,それぞれ授業開発と実践を行った。とりわけ本年度は,その効果の高さと持続性より教育の柱となるベース総合教育に焦点を当てた。また,来年度より全面的に学校教員がこの教育を実施する予定であり,そのための最終準備として,授業と授業実施技法の開発を進めた。
 ベース総合教育は,健康と適応を総合的に守り,向上させる予防教育で,本学附属中学校,鳴門市10小学校,北島町2小学校,藍住町2小学校,阿南市1小学校並びに阿南市1小学校,合計16小中学校で開発を兼ねて実施した。その結果,小学3年~中学1年までの授業が完成し,翌年度に学校教員が全面実施する準備が整った
 さらに本年度は,過去3年にわたる予防教育の実施についてその教育効果を総合的に検討する節目の年になった。教育を実施した3,000名を越える児童生徒の教育効果を,量的並びに質的側面より分析した。量的側面は,自記式の質問紙を使用し,教育の大きな目標の達成度を,自分自身,自分が所属する小グループ,そしてクラス全体について教育による変化を調べた。質的側面は,学校側が自主的に提出した予防教育を受けた授業の感想文を複数の評定者を設定けて客観的に他側面にわたって効果を数値化した。その結果,質問紙による量的効果評価では,全体的に94.1%の教育目標達成率となり,悪化ゼロという結果となった。また,作文分析による質的評価でも,子どもたちが教育に喜々として参加し,没頭し,目標にそって伸びていく姿が鮮明に描き出された。

(2)国際並びに国内共同研究

 本年度は,第3回目の国際専門家会議を大阪にて開催した。海外より,社会感情学習(social and emotional learning)のメッカといえる米国シカゴのキャセル・センターから,プレジデントのDr. Roger Weissbergと研究員のDr. Celene Domitrovich ,そして,いじめ予防教育では世界的に著名な,フィンランド,テュルク大学のDr. Christina Salmivalliを招聘し,それぞれの活動について講演を行ってもらった。その後,日本から集まった50名ほどの予防教育の専門家とともに,世界の予防教育について討議を重ね,現状の問題と今後の発展について広く意見を交換した。
 また,国内では,琉球大学で開催された日本教育心理学会において「世界の学校予防教育」と題したシンポジウムを開催した。そこでは,アメリカ,ヨーロッパ諸国,オーストラリアなど,海外での予防教育の現状と日本で独自に展開される予防教育が紹介された後,今後の日本並びに世界の予防教育について展望が行われた。
 こうした世界的な共同の中で予防教育の開発と実践が進み,その教育は世界的ニーズを反映した教育になっていることが強調される。

(3)大学並びに大学院での授業

 今年度より,学部の「学校と予防教育科学」,大学院の「予防教育科学」の授業がそろって開講され,大学並びに大学院において同時に授業が実施される計画が完全実施の段階に入った。予防教育に関しては,これまで現職教員は,大学の教職課程を含めて学習した経験がなく,実施に際しては最初から理論と方法を習得して行く必要がある。それはある程度困難な仕事となるので,あらかじめ将来教員になる学生へ予防教育の授業を実施し,学校現場に出る前から予防教育という新教育の理論,目的,方法を学ばせることは,予防教育の今後の発展にとってもきわめて重要になる。
 授業は,理論面に関する講義と実際に学校で行われている授業の実習からなり,机上の空論に終わらない講義内容が展開された。

(4)広報,その他

 予防教育科学センターでは,これまで多面にわたり,開発してきた予防教育の広報を広く実施してきた。それらは,ウェブサイトの充実はもとより,研修会や講演会など多彩な広報活動となった。また,多くのテレビや新聞などのメディアに多数回紹介され,その広報活動はきわめて効果的に展開された。このため,今年度の後半より,県外からの問合せや視察が相次ぐ状況となった。
 また今年度は,センターの予防教育を広く紹介し,理解を促すための冊子を3冊,教育の理論編,共通教育方法編,教育の効果評価編を出し,この教育の全般にわたる紹介に力を入れている。

(5)今後の課題等

 上述のように,平成24年度の後半から県外からの視察が増え始め,平成25年度からは本事業の範囲を超えて県外での普及の途に就くことが予想される。これは,本事業の展開範囲が徳島県に限定されていた当初の目的からすれば,大幅な事業展開の拡張となる。当初は,この事業終了後に全国普及を考えていたので,嬉しい誤算になっている。それほどに,この教育の効果が大きく,学校が抱える問題の救世主として期待されている側面がうかがえる。
 この全国普及を見込んで,その準備は早急に進める必要がある。予防教育コーディネーターの設置,学校主導で予防教育を実施する方途などの整備が急務となる。細部に至るまで細心の計画が施され,豪華な運営と教材からなるこの教育の学校主導による実施には大きな障壁が予想される。教育の開発の次は,この難題を短期で解決することが求められている。
 
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最終更新日:2013年12月24日

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