1.総論

 国立大学法人鳴門教育大学は,大学の機能別分化の方向性をふまえ,第2期中期目標に高度専門職業人としての教員の養成を掲げた。その目標を達成するため,平成24年度には,以下の具体的な業務遂行に係る方針を定め,業務に取り組んだ。
  1. 教育の質保証をより確かなものにするためのカリキュラムの検証と改善
  2. 学校現場の課題に即応した先端的教育実践研究の推進
  3. 学生のニーズにそった体系的かつきめ細かな就職指導の推進
  4. 社会のニーズをふまえた戦略的・効果的な教育資源の配分
  5. 社会のニーズをふまえた学生の学修支援と教育環境の整備
  平成24年度の主な取組については,以下に記載する。

 1.教育研究等の質の向上の状況

教員養成モデルコア・カリキュラムの開発研究

 モデルコア・カリキュラムの策定に向けて,連携大学との協働の下,「カリキュラムマップ・ガイドライン研究」,「評価基準・評価方法開発」,「教科内容学研究」の各協議会において検討を進め,モデルコア・カリキュラムの編成と評価に関する手立て及び教科内容学研究の成果に基づく小学校教科専門科目の教科書編成のモデルを策定し,その成果を報告書にまとめた。また,2回にわたりシンポジウムを開催し,モデルコア・カリキュラムの趣旨の普及を図るとともに,実践課題について検討した。

先端的実践研究としての予防教育科学の推進

  徳島県下の小学校15校(小学校3年生~6年生)並びに中学校1校(1年生)において予防教育授業を実施し,効果評価結果の統計分析を行った結果,「学んだこと,はやく使ってみたい」,「正直になれた」など有意な教育効果を多数確認した。また過去3年間にわたる教育効果を総合的にまとめた冊子『予防教育科学に基づく「新しい学校予防教育」』を刊行し,教育目標とした自己信頼,他者信頼,感情の理解と対処,向社会性などの達成率が全体として94.1%に上がり(悪化ゼロ),極めて良好な効果評価結果を得たことを公表した。

カリキュラム等の改編

  専門職学位課程において,キャリアに応じた能力開発により一層対応するため,現職教員対象の従来の3コースを教職実践力高度化コースに統合するとともに,カリキュラムにおける授業内容の見直しを行い,平成25年4月より実施することとなった。

遠隔教育プログラムの開設に向けて

  平成26年度からのインターネットを活用した遠隔教育による大学院プログラムの開設に向け,「遠隔教育プログラム開設準備室」を設置し,募集人員,教員配置及び教育支援体制の整備について検討を行った。

長期履修学生の学習支援

  多様なキャリアとニーズを持つ学校教員養成プログラム受講者をより体系的かつ実践的に支援するため,従来教職キャリア支援センターに位置付いていた長期履修学生支援オフィスを格上げして長期履修学生支援センターを設置し,センター運営方針等を策定することにより,全学的なサポート体制を確立した。

就職支援・就職指導

 学部における70%を上回る教員就職率を維持するため,本学教職員が各都道府県教育委員会から収集した情報と学生のニーズを踏まえ,教採対策ガイダンスや2次試験対策ガイダンスを年間を通して計画的に実施し,教員就職率80.0%を達成した。
 また,修士課程においては,学生のニーズに沿った就職指導を推進するため,アドバイザーとの相談・指導を実施するとともに,平成23年度に引き続いて大学院生就職研修会を実施した。

経済的支援の充実

  本学独自の経済的支援の拡大策として,大学院修学休業制度による現職教員に対する授業料免除を実施し,前・後期を通じて,延べ4人が免除対象者となった。通常の授業料免除については,「鳴門教育大学授業料免除選考基準」を充たした者全員に対して基準相当の免除を行い,前・後期を通じて,全額免除者が延べ169人,半額免除者が延べ110人となった。
  また,東日本大震災の影響により授業料の納付が困難となった学生に係る平成24年度授業料免除を募集したが,当該年度での申請者は無かった。
 

2.業務運営・財務内容等の状況

事務職員の人事評価制度とSD研修

  平成23年度に見直しを行った新たな人事評価制度について,評価者研修を行った上,人事評価(9月中間評価・3月期末評価)を実施した。
  評価結果(中間評価)を処遇への参考とし,平成24年12月期の勤勉手当及び平成25年1月の昇給に反映させた。
  また,SD研修については,平成24年12月にタイムマネジメント研修(受講者 10人)及びクレーム対応研修(受講者20人)等を実施し,両研修ともに事後のアンケート結果において,内容を「良く理解できた」「理解できた」と回答した者が100%に達した。
  平成25年2月のSD委員会において,平成24年度研修の成果を踏まえ,新たなSD研修の実施について検討・企画を行った結果,異文化コミュニケーション研修については,平成25年度も同様の形式で実施することとした。

 人件費抑制

 国家公務員の給与減額支給措置に準じ,役員については平成24年5月1日から,職員については平成24年6月1日から減額支給を実施した。

 評価体制の改善

 教員養成等推進会議の検証結果に基づき,総務委員会の下に,地域教育委員会関係者,大学等機関の専門家及び学内選出教員から構成される教育・研究評価部会を新設し,本学の教育研究活動及び学生による授業評価やFDの在り方について外部・内部から忌憚のない意見・提言を収集することで,評価の実質化と効率化を図るようにした。そして,教育・研究評価部会の平成24年度評価結果を学長に報告した。

エコアクション21の認証・登録

  「鳴門教育大学環境方針」・「環境目標及び環境活動計画」に基づき,徳島サイト(附属学校園)を含む大学の構成員である学生・教員・事務職員等が環境負荷の低減に取り組み,その結果を環境活動レポート及び記録に取りまとめた。そのレポート等に基づく審査により,「エコアクション21」の認証・登録について,平成23年度の鳴門サイト(大学)に続き,平成25年3月27日に徳島サイト(附属学校園)の認証が認められた。

コンプライアンス等の内部統制の確立

 大学が保有する個人情報の管理について教職員の意識の高揚を図るとともに,具体的な対処の仕方を明確にするため,個人情報漏えい防止マニュアルについて,平成25年2月開催の所掌委員会で検討するとともに,学内教員に意見照会し,成案を得て平成25年度から運用することとした。
 また,コンプライアンス基本方針を平成24年5月に制定し,各教職員あてのメール及び学内ポータルサイトにおいて周知するとともに,内部統制の確立を達成するため,学外有識者に指導を受け,次年度以降に策定するリスク対応計画の取組手法及び完成イメージ等を明確にした。
 ほかに,リスク対応に関する能力の向上及びコンプライアンス意識の高揚を図るため,危機管理及びコンプライアンスの推進に関する研修会を事務職員(リーダー・チーフクラス)を対象に開催した。

防災対策基本計画に基づく安全対策

 平成23年度に策定した備蓄・整備計画に基づき,防災関連物資及び資機材等を整備した。また,防災対策基本計画の見直しに基づき津波による避難場所,防災関連物資及び資機材等の設置場所等を防災地図に取りまとめ,関係各課に配布するとともにウェブページにより周知した。
 ほかに,平成24年9月に本学を会場として行った鳴門市防災訓練へ参加するとともに,平成24年11月に地域住民と連携した高島地区防災訓練を実施した。
 さらに,衛生委員会による安全・衛生パトロールの指導事項に基づいて,地盤沈下箇所の穴埋めなどの安全対策を講じた。
 
最終更新日:2013年12月24日

お問い合わせ

経営企画戦略課
電話:088-687-6032