まえがき

-第2期中期目標期間の折り返しを迎えて-

 我が国は,平成23年3月11日の東日本大震災とそれに引き続く福島第一原子力発電所の事故により,筆舌に尽くしがたい未曾有の被害を被った。この原稿を執筆しているのは,平成25年12月である。東日本大震災から2年半以上経つが,復旧・復興は厳しい状況にあり,今なお被災された多くの方々の困窮の日々を思うと,痛切の念を禁じ得ない。本学としても,継続的に出来る限りの支援をしていく所存である。
  さて,本学は法人化以後大学憲章を定め,第2期中期目標の基本方針において,次のように機能別分化・機能強化を述べている。
 『鳴門教育大学は,「教育は国の基である」という理念のもとに,教員養成大学として時代の要請に応えるべく,高度な教職の専門性と教育実践力,かつ豊かな人間愛を備えた高度専門職人としての教員の養成を最大の目標とする。併せて,学校教育に関する先端的実践研究を推進し,我が国の教員養成における先導的な役割を果たす』
 本学は,この自己定義に従って,大学の機能別分化・機能強化を推進してきた。
  現在,全国の国立大学は,文部科学省が平成24年6月に公表した「大学改革実行プラン」を踏まえ,文部科学省と意見交換をしながら「ミッションの再定義」を行い,それに沿って各大学とも鋭意機能強化に取り組んでいることと思う。
  特に,第2期中期目標期間(平成22年度~平成27年度)の後半3年間(平成25年度~平成27年度)は「改革加速期間」として位置付けられ,これまで以上の機能強化に向けた取組が求められている。
  とりわけ,教員養成大学・学部については,「これからの大学教育等の在り方について」(教育再生実行会議・第三次提言)の中で,以下のような具体的な提言がなされている。
  1. 学校現場での指導経験のある大学教員の採用増
  2. 実践型カリキュラムへの転換
  3. 組織編成の抜本的な見直し・強化
  4. 大学と学校現場との連携強化
  全国の教員養成大学・学部は,これらの提言にスピード感をもって強力に取り組むことが期待されている。
  本学においても,文部科学省との協議を経て,平成25年12月にミッションを再定義し,広く社会に公表したところである。
  新たなミッションでは,本学の創設の趣旨・目的でもある「大学院(現職教員再教育)重点化を目指す大学」であることを明示するとともに,第3期中期目標期間を見通した教育課程別の教員就職率など具体的な数値目標を掲げている。
  「改革加速期間」と位置付けられているこれからの3年間は,第2期中期目標とともに,ミッショッンの再定義を踏まえ,さらなる機能強化に向けた取組を推進していかねばならない。
   さて,本学では,教育研究体制の充実や教育研究水準の一層の向上を図るとともに社会貢献等に資するため,大学運営全般について自己点検・評価を行い,その結果を大学運営に活用・反映することとしており,自己点検・評価結果については,ウェブページ上で公表している。
 平成24年度においては,第2期中期目標を達成するために,以下の5つの指針を定め業務に取り組んだ。
  1. 教育の質保証をより確かなものにするためのカリキュラムの検証と改善
  2. 学校現場の課題に即応した先端的教育実践研究の推進
  3. 学生のニーズにそった体系的かつきめ細かな就職指導の推進
  4. 社会のニーズをふまえた戦略的・効果的な教育資源の配分
  5. 社会のニーズをふまえた学生の学修支援と教育環境の整備
 主な取り組みの具体については,本文に譲ることとするが,これらの方針を踏まえた取組は,第2期中期目標達成に向けて順調に進んでいると判断している。
  なお,平成24年度の業務実績報告書では,年度計画75項目中,教育・研究に係る計画を除いた33項目について,4段階評価で自己点検評価を実施している。33項目全て,Ⅲ評価(年度計画を十分実施している。)とした。
 ここに平成24年度版「鳴門教育大学自己点検評価結果報告書」を刊行するにあたり,関係各位のご高覧に供し,本学発展のために忌憚のないご叱正,ご指導をお願いする次第である。
 最後になったが,本出版に多大なご尽力を頂いた関係各位に深謝申し上げる。

平成25年12月
国立大学法人鳴門教育大学長 田中雄三

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