小学校英語教育センター 兼重 昇

報告者 兼重 昇

1.学長の定める重点目標

1-1.教育大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

  本年度の授業実践においては,まず教育実践との連携を深めることを重視していく。具体的には,各授業において,英語コミュニケーションでは,小学校英語 (外国語活動)を行えるような基礎的英語力と,実際に利用できる教具の作成などを通して,タスク型の授業を行う。英語教育関連授業では,実際に教壇に立つ者として必要な基礎知識や技能を高めるための手立てを演習形式で多く盛り込む。また,学校教育における授業実践者との交流を進めるような授業展開を行う。
以上の目標に基づいて,授業を展開し,評価においては結果だけでなくプロセスを重視した評価を行う。

(2)点検・評価

  • 英語コミュニケーションでは,全学の学生が,小学校英語(外国語活動)が体験できるような英語絵本の作成をねらいとしたタスク・プロジェクト型の授業を行った。その結果,単なる英会話とならない具体的な目的をもった活動で学生からの評価も高かった。
  • 英語教育関連授業では,自らの小学校での実践を具体的に授業に取り込んで紹介し,受講者が教育実習やボランティアなどで利用するきっかけを作った。

1-2.大学教員としての社会(地域)貢献

(1)目標・計画

  小学校英語教育センターとして,「集合型研修」「出張型研修(お遍路型研修)」を継続して行い,現在急務である,小学校英語(外国語活動)の担当者を養成・研修する事業をすすめる。
  特に,お遍路型研修では校内研修を活性化するために,実際に各小学校での授業実践を公開し,それに基づいた授業研究会・研修を行う。

(2)点検・評価

  • センター事業の一つである教員研修の充実を図った。集合型研修では,3セットの研修を企画,実施し,学外講師担当部分以外の2コマの講習を担当し,実際の小学校における外国語担当者との連携を図った。
  • 出張型研修(お遍路研修)は当初予定40回のところを,延べ60回を超える校内研修,地域での研修を実施し,地域との連携・協力体制を深めた。

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

  • 学生の課外活動として,野球部,ESSの顧問として学生の活動が円滑に進むように支援する。そのため,活動への積極的な参加や相談にも応じる。
  • 教育においては,ゼミや授業外活動における就職活動支援をおこない,教員になるために必要な最新の情報を提供すると共に,基礎学力を高めるための勉強会の場を提供する。

(2)点検・評価

  • 課外活動の支援としては,授業や先述のお遍路研修などで,活動に頻繁に直接的に関わることができなかったが,野球部でのリーグ戦や,ESSでの海外からの訪問者への対応など,学生活動が円滑にすすめられるように環境整備をおこなった。
  • ゼミ等による学生への就職活動支援は,採用試験勉強のために研究室の開放や参考図書の整備など場の提供を行った。結果として,学部では,研究生が1名,民間就職1名,臨時教員1名,大学院生では,私立小学校教諭1名,臨時教員1名の卒業後の進路となった。

2-2.研究

(1)目標・計画

  現在は,小学校英語教育センターとしての事業が中心となるが,そこでは,小学校英語(外国語活動)における教員研修のあり方が中心的課題である。
  また,小学校段階での外国語教育の海外の事例などを収集する中で,評価に関する研究をすすめていく。具体的には,アジアやヨーロッパで行われている評価方法の概要をまとめ,その日本での可能性について模索すること,英語力に関する客観的な測定方法の提案を行い,国別の比較を行う。

(2)点検・評価

  当初計画に関して,教員研修の確立は行えた。センターでの研修の事例が,独立行政法人実施の小学校英語活動に関する教員研修でも事例として取り上げられ,その講師も務めた。
  また小学校英語教育学会徳島大会の実施運営を行い,その場でのシンポジウム「小学校英語担当者に求められる資質とは何か」でシンポジストをつとめた。また,立命館大学で実施された小学校英語の評価に関するシンポジウムで,「小学生の英語能力測定への試行―SOPAテストを参考に」という題目でのシンポジストとしての役割を果たした。
  海外の事例収集については,達成されたが,実際の英語力測定(評価)については,十分に実施ができず,20年度も継続して行っている。

2-3.大学運営

(1)目標・計画

  国際交流委員会の委員として,留学生の派遣や受け入れに関する諸支援を行うと共に,小学校英語教育センターの事業を県内外にアピールすることで,大学の広告的役割を担う。

(2)点検・評価

  • 国際交流としての活動は,特にコンソーシアム形式での交流を活発にするための事業を行った。2度にわたる教員の鳴門訪問やそれに伴う附属小学校,総合教育センター訪問など,活発に行った。
  • 小学校英語教育センターの事業は,「小学校英語教育学会」を開催するなど,センター事業をベースにしながら,県内外での鳴門教育大学の広告をはかった。

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

  • 附属学校(特に小学校)での英語教育(外国語活動)の授業実践の支援を行うと共に,県内外の公立小学校での授業実践,校内研修などの事業を行う。
  • 国際交流については,積極的に海外の研究機関との共同研究を進める。具体的には,小学校英語教育に関する共同研究として,韓国,台湾,中国などとの情報交換や現地調査を進める。
  • 社会との連携としては,徳島県総合教育センター主催の教員研修・10年次研修,公開講座などに積極的に取り組む。

(2)点検・評価

  • 附属小学校では英語教育に関する支援として,旺文社との共同研究事業を行い,テキスト(副読本)の利用可能性などを経年調査した。
  • 国際交流としては,先述のコンソーシアム形式の国際交流協定校との具体的な事業連携(インターンシップや交換留学の促進)やESSの活動と連携した訪問者への徳島紹介などをおこなった。また,韓国,台湾の小学校英語実践者を招いての共同研究やセンター主催の国際シンポジウム(於大阪)などを行った。
  • 総合教育センター実施の教員研修,10年次研修,公開講座はすべて実施した。 この他,文部科学省関連の諸事業,「小学校外国語活動に関する会議」(初等中等局),「英語が使える日本人のためのフォーラム」(国際教育課),「小学校における英語教育の在り方に関する調査研究会」(国立教育政策研究所),小学校における英語活動等国際理解活動指導者養成研修(独立行政法人教員研修センター)などに講師・委員として参加した。

3.本学への総合的貢献(特記事項)

  平成19年度は小学校英語教育センターの3年目となり,事業のまとめや事業の継続的実施のための基礎固めを行った。特に3年間の実績は,文部科学省や地方行政での評価は高く,今後国や地方公共団体で進めていく,教員研修へのスキームを提供することができた。それが,国や地域での本学のイメージとして提供できた。
最終更新日:2010年02月17日

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