学長×吃音当事者で教員を目指す学生対談(2024(令和6)年2月21日)

2024(令和6)年2月21日(水)、佐古学長と、吃音当事者で教員を目指している学校教育学部3年生(対談当時2年生)の安藤瑞輝さんが対談を行いました。

 

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(左から、佐古学長、安藤さん)

 

佐古学長≪以下、学長≫:本日は、学部2年生の安藤瑞輝さんに来ていただきました。安藤さんは、話し言葉がなめらかにでない障がい(吃音)をもっていますが、教師を目指して本学で勉強をしています。さらに、クラウドファンディングで資金を集め、吃音のある仲間と共に、「号令に時間のかかる教室」という模擬授業を企画実施するなど、積極的な活動を展開しています。安藤さんが、自分の特性をどのように理解し、教師を目指し行動しているのかについて、話を聞かせてもらうことにしました。
まず、「号令に時間のかかる教室」のことから教えてください。

 

安藤さん≪以下、安藤≫:今回、大学で開催させていただいた『号令に時間がかかる教室』について、説明させていただきます。
1ヶ月前のちょうど今日、1月21日に開催をしたんですけど、準備段階として昨年の8月から動いて色々と打ち合わせをしていました。色々と調整をしていって、クラウドファンディングとかも開催をしましたし、色んな先生方に協力をいただいた次第です。
12月上旬から、参加者の募集も始まり、中旬には愛媛県の高校生が教師役として参加をしてくださることが決まり、その高校生と一緒に作り上げていき、1月に入っても最終調整をしたりしました。
クラウドファンディングが本当に大変で、一応15万円の額が目標としてはあったんですけど、なんとか16万4,000円という金額を達成して、本当に色んな先生方には感謝してもしきれないです。

 

学長:どんな方が生徒になられたんですか?

 

安藤:一般からSNSで募集をして、中には鳴教大の先生も参加をしてくださったり、あとは自分の友達とかも参加をしてくれたりしました。学長×安藤さん×速水先生.png
当日はラーニング・コモンズ室を使って、本当に楽しく50分間の授業をしました。金子くんという高校生と一緒に進めていって、あとは参加者の方と話しながら、吃音について一緒に考えていきましょうという時間を作りました。
終了後に参加者の方がコメントをくださったので、非常に励みにもなったかなと思います。こういう形で同じ吃音のある人と一緒に作ることが初めてだったので、開催できてよかったと思います。
あと、新聞とかテレビとかのメディアで本当に幅広く取り上げていただいて、SNSの反応は本当にすごかったですね。本当に大きくて、「挑戦する姿に勇気をもらいました」とか、「自分ももっと挑戦することが大事なんだ」ということも色んな方々に言っていただけたので、よかったなと思いました。
開催するきっかけは、吃音のある他の教育大学の人と何気ない会話をした時に「模擬授業が不安だよね」という話が出て、「そうだよな」と。じゃあ、何かそういう場があったら吃音のある方も、ちょっと安心してできるかなと。
私とは違うんですけども、教員を目指している大学生の人が大学の教員に「吃音があるなら、教員の道はちょっとよろしくない」みたいなことを言われたみたいで、その方が今回のイベントに協力してくださった奥村さんと相談して、じゃあこの号令教室をしてみようという話になって、自分はそこに乗っかったというところで、一緒に作っていきました。
あとは、さっきもお話したんですけど、「勇気が出た」とか、「行動に移すことの大切さを学びました」とかいう風なことを言っていただけて、吃音だから諦めてほしくはないという風に私は常々思うので、今後も色々挑戦はしていきたいなというところです。『号令に時間がかかる教室』の紹介としては、以上です。

 

学長:ありがとう。なりたい自分に向かって積極的に行動している安藤さんの姿に改めて感心しました。この『号令に時間がかかる教室』というのは、どういう思いを込めたテーマなのですか?

 

安藤:吃音で「起立・気をつけ・礼」に時間がかかったりするので、それを『号令に時間がかかる教室』として開催しました。吃音のイベントとして『注文に時間がかかるカフェ』というのが、昨年の3月に四国大学の方主催であったのですけど、それの学校バージョンということです。

 

学長:学校版ね、そうですか、なるほどね。今日は、防災教育の関係で安藤さんとも活動されている速水先生にも同席いただいています。

 

速水教授≪以下、速水≫:彼とは去年から、本学と連携協定を結んでいる南あわじ市の防災教育の関連で色々やっているんです。彼は防災教育の方でも活躍してくれているので、ちょっと紹介させてもらおうと思います。
南あわじ市の「ユース防災プロジェクト」に、本学の学生5人が実行委員としてて参加していて、そのうちの1人が安藤さんです。
本学の学生たちは、「防災食を作ろう」というプログラム、「防災すごろく」を活用して小・中・高校生の防災の学びを深めるプログラム、防災リュックに何を入れたら良いのか考えるワークショップを企画しました。
また、この「ユース防災プロジェクト」を通して出会った、県立石巻西高校の齋藤幸男元校長先生を大学に招いて、「初等家庭科教育論」の授業で、先生になる人たちに向けて防災の話をしていただきました。これは、安藤さんを含めた5人が齋藤先生の話をみんなにも聞いてもらいたい、という思いから実現しました。

 

学長:これは必修科目?

 

速水:はい。小学校教育専修の必修科目です。その授業では、5人のメンバーが昨年の8月初旬に参加した、2泊3日の東日本防災研修(南あわじ市主催)の報告会をしました。バスで行ったんです。朝4時半集合だったかな?

 

安藤:朝、集合が4時半で、宮城県の東松島市に着いたら夕方の6時とか。

 

速水:2日目は丸々1日、大川小学校とか色んな所を見学させてもらって、3日目は、朝から1日バスに乗って帰ってきて、淡路に着いたのは夜8時か9時でした。

 

学長:元気やな笑

 

速水:この5人がこんなことを体験してきました、というのを授業の最初に報告してもらって、その後に齋藤幸男元校長先生にお話をしていただきました。彼は今までに、本当に色んなことをしています。

 

学長:ありがとうございます。

 

安藤さん×速水先生.png

速水:私自身も吃音というものがよく分からなくて、彼に「どういうものなの?」と聞きました。吃音の種類だとか、自分はこうなんだとか、だからどういう風にしてほしいんだということをきちんと教えてくれるんです。「こういうことをみんなに知ってほしいんだ」と言って、南あわじ市のイベントでも彼は中心になって動いてくれて、参加者の前に立ってマイクを持って説明とかを上手にします。皆すごく一生懸命聞いてくれます。吃音の種類とか、ご存じですか?

 

安藤:吃音は、「連発」と「伸発」と「難発」という3つの症状に大きくは分けられます。
「あ、あ、あ、ありがとう」とか、「あ、あ、あ、安藤です」みたいな形で言葉を繰り返してしまうのが「連発」という症状です。「あー、ありがとう」みたいな形になってしまうのが「伸発」という症状で、言葉が詰まってなかなか出にくいというか、「……、ありがとう」みたいな形でなかなか言葉が出にくいような症状が「難発」です。自分も小学生の頃は連発だったんですけど、徐々に成長するにつれて、今はちょっと難発になっていて、吃音のある方でもそういう風に、例えば元々は連発だったけど難発になった人もいますし、幼児期に吃音になって、今は治っているという人も、もちろんいます。
「特別支援教育概論」の授業を1コマ先生からいただいていて、自分は吃音の体験談と、あとは吃音についての紹介をしました。そういう授業をした後に、コメントで「実は私も吃音だったんです」とか。

 

学長:あるでしょうね。

 

安藤さん.png安藤:「今も吃音です」とか、あとは大学の先生も「実は私も吃音だったんです」と言ってくださる先生もいらっしゃったので、身近に吃音のある方がいたんだなというのは、すごく嬉しかったです。
あとは、吃音のある人には結構よくあるんですけども、上手く話せる時期と、そうでない時期があって、自分もたまに、「今日は上手く喋れているな」という時期もありますし、でも最近はちょっと調子が悪かったりするというのはあるので、そういうのは自分でも、いつ出るのかがわからないですね。
当事者としては、支援をしてくださる人が必要(な支援)だなと思い支援した、というところが最良の支援とか配慮です。結構そこでためらってしまう人もいるのが現状なのですけど、自分が思った配慮方法をしていただけると、当事者もそういう風にしてくれているんだなという風に感じるところはあるのかなと思っています。

 

学長:そうですか。あのね、いくつか私、ぜひお聞きしたいなと思うことがあったのですけど、今お話しがあったように子どもの頃から吃音があって、ずいぶん安藤さんも気にされていましたよね。
こんな言い方をすると変だけど、それにも関わらず、喋る仕事である学校の先生になろうと思ったのはどうしてですか?

 

安藤:そうですね。一番の最初は小学校の2年生の時に、本当に素直な気持ちだったんだけど、ただ「カッコイイな」と。
で、自分も将来そういう仕事に就きたいと思っていて、吃音と出会ったのが小学校4年生だったんですけど、でも何か吃音が、まだその時は「先生になれるんじゃない?」みたいな、本当に軽い気持ちで中学校に上がって。
中学校の終わりから高校になるにつれて、吃音のことを自分で知っていきますし、「本当に教員になれるのかな?」というのはあったんですけど、その不安よりも教員になって吃音のことを伝えていきたいとか、自分は社会科なので社会科の魅力を伝えていきたいという気持ちの方が自分の中で大きかったので、じゃあそのまま突き進もうという風に思いました。
あとは、周りが「教員でもいいんじゃない?」という声もあったので、小学校2年生から思っていることだし、じゃあこのまま進もうという風に思ったのが、教員になろうと思ったきっかけです。

 

学長:将来の進路、やっぱり悩むよね。その時に自分の抱えている不安よりも、自分がなりたい先生に向かって前に進もうと、よく思えたね?

 

安藤:それも本当に先生のおかげだったんですよ。中学校3年生の時に、高校進学に当たって、からかわれたりとか、という不安があったので、先生に相談しました。「吃音があるので、どうしたらいいのかが分からないです」という風に先生に相談したところ、先生からは「吃音を受け入れたらどう?」と言葉をいただいて、まさかそんな言葉が来るとは思っていませんでした。
その当時の自分では、吃音を受け入れることはできないという風に思っていて、すごくマイナスなイメージがあったり、周りに吃音のある子がいなかった状況もあって「なんで自分だけ?」というのがすごくあって、そんな自分がちょっと嫌いだった自分がやっぱりいて。
そういうこともあって、中学生の頃は本当に「吃音を受け入れる」という、その言葉の意味もちょっと曖昧な部分があったんですけど、その先生が言うには、「自分、吃音だけどそれがどうした」みたいな形で高校の友達にも紹介したらいいんだよと、アドバイスをいただきました。
自分は、それがすごく胸に刺さったというか、最初は本当にその言葉自体もよく分からなかったんですけど、高校からそういう風に実践をしたというか、色んな人と話したり関わってみることに挑戦をしました。
その時に初めてこの言葉の意味も分かりましたし、この言葉が持つ力というのはすごいんだな、というのは高校の時に気付かされたというのがあるので、たぶん教員になるという方向性を決定づけたのは、この中学校3年生の時の先生の言葉が一番大きかったですね。

 

学長:でも、受け入れようと言っても、なかなか受け入れられないよね。

 

安藤:受け入れられないですね。自分の周りの吃音のある人とも、たまにお話しするんですけど、やっぱりなかなか受け入れることは難しい。

 

学長:やっぱり難しいよね。そこは色んなことに挑戦することで吹っ切れたんですか?

 

安藤:そうですね。たぶんずっとここの不安のループと言いますか、吃音があるからできないんじゃないか、挑戦したいけど、でもみんなからどう思われるか、みんなから変に思われたらどうしようというような、この繰り返しがずっと続くなぁという風に自分は思ったので、じゃあちょっと一歩違う道に、そのループから抜け出そうと思いました。
いざ当事者の側から前に進むと、結構、周りの友達の関わり方も変わってきて、意外と「そんなの別に自分は気にしないよ」とかと言ってくれて、大学の友達でも「自分は気にしないよ」と言ってくれる子がいるので、それはすごく自分にとっては嬉しいというか、大きな支えになっています。

 

学長:どんな先生になりたいと思うの?

 

安藤:まずは、なかなか人前でも話せなかったりとかするのが、今まで苦しかったので、そういう人でも教員にはなれるし、あとは教員になればそういうことが伝えられると思うんですよね。吃音でもそうですし、色んな障害を持っている方がいらっしゃると思うので、そういうのをリアルに伝えられるのが教員だと思っています。
自分は1つのロールモデルとして、それを生徒たちに伝えていきたいですし、できないことはないと自分は思っているので、それを言葉として、あるいは1つの行動として、それを伝えていきたいなという風に思っています。

 

学長:なるほど。あえて踏み込んで聞くけども、不安はないですか?

 

安藤:そうですね。多少はありますけど、でも同じ吃音で教員になる人は私の友達にもいっぱいいるので、その子と一緒に頑張っていきたいなと思っています。
もし吃音のある教員を目指す人が自分だけなら、たぶん不安でいっぱいだと思うんですよ。「どうしようかな」と友達にも言ったり、「本当に教育実習が怖いんだよね」と言っていると思います。
でも、教員になろうとしている吃音の方もいますし、また吃音があって実際に教員になられている方もいらっしゃるので、だったら自分もその1人になりたい、というのが一番の思いかなと思っています。

 

学長:色んなことをやってこられたから、色んな思い出があると思うんですけど、大学生活の中で、嬉しかったことは何かありますか?

 

安藤:そうですね、やっぱり嬉しかったことは吃音のことでもそうですし、防災でもそうですけど、色んな人とつながれたことが一番大きな嬉しかったことかなと思っています。普段出会えるはずのない人たちと出会えたことも大きいですし、あと自分はNPO法人にも入っているので、そのNPOでも本当に色んな方と出会うことができたので、自分はそれが一番嬉しいかなと思っています。

 

学長:そうですか。おそらく吃音のない大勢の学生さんよりも、安藤さんはきっと多くの人と出会ってますよね。さっき勇気とおっしゃったけど、それはどこから出てくるのかな?

 

安藤:自分でもわからないです。本当に人とのつながりだと自分は思っているので。例えば先生から力をもらったりとか、色んな先生とお話する機会があるんですけど、その先生もどこかで苦労されているという気がするんです。
色んな先生がいて、最初は上手くいかなかったけど、でも色々と挑戦したり繰り返していくと、今の自分ができたというお話を結構、私も先生とします。その時に、自分も色んなことをこれから伝えていく立場になると思うので、だったら色んな経験をした方が自分のためでもありますし、今後のためでもあると思っているので、自分はなぜ今、前に進んでいるのかというと、たぶん“人の力”だと思っています。

 

学長:人の力。

 

安藤:そうですね。人がチャンスを自分にくれているというか、それこそ防災でも先生からそういうチャンスをもらったので、たぶんその先生と私が出会わなかったら、チャンスはたぶん来なかったのかなと思います。
例えば防災の活動に参加していなかったら、宮城教育大学や兵庫教育大学の人と関わったりとか、南あわじ市の小・中・高生と関わったりする機会は、おそらくなかったのかなと思います。私は吃音があっても人とつながることができたし、逆に吃音じゃない人にそう伝えていくこともできました。
防災の活動を通してマイクを持って話したんですけど、そういう風に吃音のことを伝えられる場があったのかなというのは、ある種、一石二鳥になったというか、1つのことが2つになったというのが、大学の中では非常に大きなものかなと思っています。

 

学長:そうですか。今、人のつながりということで、色々得るものがあったというお話をされたんだけど、我々みたいなオールド・ジェネレーションの繰り言みたいな愚痴だけども、よく「今どきの学生はなかなか自分で前に出ていかない」というようなことを年寄りはよく話題にする訳ですね。学長.png
結局チャンスは、今の話でもそうだけど、結構皆さんにチャンスは開かれてあるはずなのに、なかなかそこに自らやってみようというような人がそんなに多くはいないように思っています。そこで前に出ていく力みたいなものが安藤さんはすごいなと思って話を聞いていました。
だから、私なんか考えると、吃音が気になって、人前に出ていくことはちょっと遠慮する方向に働くのかなと思うんだけども、そうではなくて、吃音を伝えるということで人前に出たり、積極的につながりを求めて自分の世界を広げていくということをやっていくのは、どうしてだろうね?

 

安藤:自分でもわからないんですよ。本当に先生方のおかげというか…。

 

速水:彼が初めて私の研究室に来て、「吃音なんです」と言った時に、頭に浮かんだのは、重松清さんの『青い鳥』で、なんかふと「ああ先生か」と思ったんです。
私は、よく進路講話とかで高校生に話をするのですが、色んなタイプの人がいるけど「先生に向いてない人はいない」と思うんです。

 

学長:面白いね、その考え方。

 

速水:先生に向いてない人はいない。ただ、人と接するのが嫌いと言われてしまうと、ちょっと苦しいなと思ういますが、コミュニケーションを取るのが苦手というのは、それは全然、気持ちさえあれば克服できると思っていて、だから向いてない人はいない。
生徒も子どもたちも、学校には色んなタイプの人がいます。おとなしい子からにぎやかな子まで、悩みがある子もいれば、すごく活発な子もいて、だから先生自身も色んなタイプの人がいて良いと思うので。
彼なんかは高校の社会の先生を目指していますが、この人柄で、何でも挑戦しようという気持ちがありますし、本当に良い先生になってくれるんじゃないかなと思います。彼は他の学生にも、「自分の喋り方はこうだから」とマイクを持って上手に説明しています。
本学の学生は将来、教員になるから、自分たちの教え子にも、もしかしたら吃音の人がいるかもしれないし、だから「こういう風に接してもらいたい」ということを上手に説明しています。私もびっくりしたのは、ついつい「いいよ落ち着いて、ゆっくり喋って」と言いたくなるけど、それが一番ダメなんだってね。

 

安藤:そうです。

 

学長:それ、ダメなのですか?

 

安藤:当事者の側からすると、ゆっくり話しているつもりなんですよ。
ゆっくり話しているつもりで、別に落ち着いていない訳ではないので、そうやって言われてしまうと、何かちょっと「うん?」と引っかかる部分があるので、自分としては「うんうん」と頷きながら聞いてくださると、すごくありがたいです。
もちろん、人によって変わってくるので、本人と話をして「じゃあ、こうしていこう」と決めるのが本当は一番なんですけど、そういう「落ち着いて」とか、「ゆっくりしていいよ」と言うのはいけないというのは、吃音の本にも書かれていることなので、皆さんにも紹介したところです。

 

学長:そうですか、なるほどね。
今日、私も話をお聞きして反省しているけれども、やっぱり吃音を受け入れて、しかもそれを人に伝えて前に進もうという、その力ですね。そういう力は、安藤さんは吃音ということを自分自身で受け入れるところから入っていったんだけど、もっと他の学生にもそうなってほしいと思っています。どうすればいいかな?

 

安藤:自分もそうなんですけど、結構、隠してしまうんですよ。

 

学長:うん、普通隠すよね。知られたくないよね。

 

安藤:知られたくなくて、それはそれで僕は良いなと思っていて、隠すのならとことん隠した方が僕は良いと思う。割り切って隠して、でもたぶんいずれどこかでは、それに対して悩んだりとかすると思うので、それについて先生でも良いですし友達でも、色んな人に打ち明けることができれば一番いいなと思っていて。
割と大学の先生の中でも結構、「もし何かあったら相談に来てね」という風におっしゃってくださる先生もいるんですけど、その先生でさえも悩んでいることはやっぱりあるのかなと思うので。

 

学長:ありますよね。

 

安藤:一番は、先生・学生という関係ではなくて、大人対大人という形で色んなことを打ち明けられるような関係ができれば、自分をもっと知ったりとかもできますし、あとはそもそも自分が何に興味があってとかを知らなかったりする人が結構いて、いっぱいあるチャンスを逃してしまうと自分は思っています。「こんなのがあるから、みんな行ってね」と教育だけに限らず、色んなジャンルのチャンスを大学側から聞けると嬉しいです。

 

学長:ありがとう。本当に今日の話は、安藤さんから教えられることがたくさんありました。これは余計な話だけども、採用試験を通って先生になったら、教師としてこれからのこと、伝えたいことが実現するもんね。自信はありますか?

 

安藤:今はとにかく頑張るしかないなというところですね。

 

学長:ぜひ頑張ってくださいね。それとね、私、この話は色々学生に伝えたいと思うんですよ。安藤さんに了解していただければ、構わないですか?
先ほどちょっと言いましたけど、みんなそれぞれ色んな個性を持っているんだけど、それを後ろ向きではなくて前向きに捉えて、挑戦するというような気持ちを強く持って学生生活を迎えてほしいということを、他の学生にも伝えたいと思いますが、それは了解してくれますかね?

 

安藤:ぜひ。たぶん将来それを生徒とか児童に伝える立場だと思っているんですよ。「色んなことに挑戦してね」という立場の人が、それを大学時代でしていないと説得力がないというか、たぶん児童・生徒には響かないと思うので。それは、ぜひ新入生の方にも伝えていただきたいなと思っています。

 

学長:わかりました、あ学長×安藤さん(握手).pngりがとう。本当に貴重な話を聞けました。この歳になって、勉強になりました。本当に貴重な時間、ありがとうございました。

 

安藤:こちらこそ、ありがとうございました。

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