2020(令和2)年度入学式告辞

「新しい時代を切り拓く強い意志と子ども達一人ひとりに寄り添う温かい心」

 

 学校教育学部111名、大学院学校教育研究科は留学生30名を含む205名、以上316名の皆さん、鳴門教育大学へのご入学おめでとうございます。
 また、これまで皆さんを温かく見守り、支えてこられました保護者の皆様に心から敬意を表しますとともに、お慶び申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症がパンデミック・世界的大流行となり、私たちがこれまで経験したことがない非常事態、まだこの先どうなるか見通しの立たない状況です。 本学教職員一同、入学式を挙行したいと願いあれこれ尽力してきましたが、学生の皆さんの健康を第一に考え、学長として入学式を中止するという苦渋の決断をしました。
 そして、4月7日現在、大学に入構することさえ禁止せざるを得ません。また、授業をどのような形で、いつから始めるのかも、確かなことが言えない状況です。
 どうか皆さん、ご理解下さい。

 例年なら、キャンパスの桜やワシントンヤシ、サツキツツジ、楠など多くの植物がここぞとばかり花を咲かせたり新緑に輝き、皆さんを迎えます。しかし、今年は未だ皆さんに会えず、植物たちもどことなく寂しそうに見えます。
 皆さんが本学に来られない間も、教職員が一丸となって、できる限り皆さんの学びの機会を保証しようと努めています。さらに今後、皆さんに対し様々な支援が必要になって来ると思われますが、皆さんを全力で支えることを約束いたします。

 鳴門教育大学は、教員養成の充実、現職教員の研修、教育に関する高度な研究、教育に関する社会貢献を目的としており、「新構想大学」の一つとして、つまり「教師教育のリーダー大学」として、昭和56年(1981年)10月1日に創設され、昭和59年(1984年)4月に大学院の1期生を、昭和61年(1986年)4月に学部の1期生を迎えました。そして、地元の鳴門・徳島を拠点に、四国、日本、世界へと活動を展開してきました。
 今では、名実ともにリーダー大学として、多くの実績を築き、教育界に様々な先進的モデルを提供するまでになりました。
 今回の非常時においても、前例がないときこそチャンスととらえ、本学から新たなモデルを発信し、教育界や社会に貢献したいと考えています。

 新たなモデルは、本学の教職員だけで作るのではありません。学生の皆さんとともに、そして学校現場の子ども達や先生方をはじめ多くの関係者の方々と協力し、作っていくものです。
 私は、きっと作れると思っています。なぜなら、新入生代表の学部の森下駿之介さんと大学院の居神篤史さんの入学式の宣誓の内容がとても素晴らしく、私は感動しました。新しい時代を切り拓いていこうとする強い意志と子ども達一人ひとりに寄り添おうとする温かい心が伝わってきます。

 鳴門教育大学は、キャンパスや大学周辺の環境が非常に美しくて魅力的な大学です。しかし、本学が何より美しくて魅力的なのは、より良い教師、より良いカウンセラー、より良い国際教育専門家というように、教育に携わる高度な専門職業人・プロフェッショナルを目指し、全国さらには海外から様々な経歴を持つ多くの人たちがこのキャンパスに集い、多くの出会いがあるということです。

 どうか、皆さん、教師教育のリーダー大学に入学したという自覚を持って下さい。そして、卒業・修了時に本学で学んだことが誇りに思えるように、様々な出会いと交流を経験し、人間として成長していかれることを切に願っています。
 鳴門教育大学で、ともに学びましょう。
 皆さんと一日も早く直接お目にかかれることを、楽しみにしています。

 

2020(令和2)年4月7日
                     鳴門教育大学長 山下一夫