あとがき

教育の質保証を確実にするための教員養成教育の充実

 本学の学部の「教員養成コア・カリキュラム」の成果を検証するために,毎年学部卒業生を対象に「鳴門教育大学の教育に関するアンケート」調査を実施している。平成25年度学部学卒業生110 人を対象とした調査結果によると,「教育実践コア科目」についての設問では,「役だった」「どちらかといえば役だった」という肯定的回答が66.5%であった。昨年度は,66.7パーセントでほとんど変化はないが,一昨年度(79.8%)より 減少している。コア授業の趣旨や指導方法について教員の再確認が求められる。
 また,平成25年度3月卒業生の教員就職率は,91.2%(保育士・進学者除く)となっており,「国立の教員養成大学・学部(教員養成課程)44大学中第Ⅰ位となった。これは,学部カリキュラムと就職支援室,そして学生の就職への意欲等の総合的な結果と言えよう。
 平成25年度は,教育の質保証を確実にするために教員養成モデルコア・カリキュラムの開発(2年目)に取り組み,その成果としてカリキュラムの体系と授業の関連性及び学修の順序性を学生の視点から可視化するために「カリキュラム・ガイドブック」を作成した。また,本学が先導する教科内容学研究の成果をもとに小学校教科専門科目の教科書を10教科について作成した。大学院については,専修免許状の実質化を図った修士課程教員養成カリキュラムの開発にも取り組み,育成すべき資質能力の明確化を図るとともに,それらの資質能力を育成するコア・カリキュラムの策定に取り組んだ。
 また,ディプロマ・ポリシーに従った学位論文に係る評価基準を策定し,平成26年度から適用することとした。そして,学生からの成績評価の異議等に関する申し立てに組織的に対応するため「成績評価の異議申し立てに関する申合せ」を制定し,平成26年度から実施することとした。
  予防教育科学センターにおいては,予防教育の授業実践力を育成する研修方法を開発し,この研修を徳島県内での10校行い,その上で実際の予防教育の授業を実践した。また,「鳴門教育大学遠隔教育プログラム推進室」を設置し,授業の録画・配信の試行及び教材開発等を行い,カリキュラム及び授業内容の充実を図った。そして,学生の利便性を高めるために,これまで大学構内に点在していた学生サービスのための窓口を集約した総合学生支援棟(コアステーション)を完成させた。
 以上,平成25年度は,主に教員養成コア・カリキュラムの検証,教員養成モデルコア・カリキュラムの開発,専修免許状の実質化を図った教員養成カリキュラムの開発,学位論文に係る評価基準を策定,「成績評価の異議申し立てに関する申合せ」制定,予防教育科学の実践的研究,「鳴門教育大学遠隔教育プログラム推進室」の設置,総合学生支援棟の完成等によって,教育の質保証を確実にするための教員養成教育の充実を図った。
 最後に,これまでの教職員の方々のご尽力,ご協力に心からお礼申し上げる。
教育・研究担当理事 西園芳信

順調な航海ながらも,大学淘汰の荒波に備えて

 少子化により大学生の急激な減少および教員採用の減少は,近い将来必至である。大学,特に教員養成大学は淘汰の時代に入った,と言われている。鳴門教育大学も淘汰の荒波から逃れることはできず,生き残りのためには,教員養成におけるトップランナー大学としての使命を果たすとともに,地道な日々の教育研究が大切である。
 大学としてした方が良いことは多々あるが,大学執行部は教職員の負担を考慮に入れて,本当にすべきことは何かを見極め優先順位を明確にし,教職員が一体となるように凝集性を高め,改革と淘汰の荒波に対して舵を取って行かねばならない。執行部の一員として,その責任の重さに身が引き締まる思いがする。
 25年度も,私が関係している企画,社会連携,評価,入試,大学院の定員充足,国際交流,付属学校などにおいて,教職員が一体となり職務を果たしてくれた。この場を借りて,教職員の皆様にお礼申し上げたい。
 一つ一つ取り上げたいが,ここでは特に次の2点を取り上げることにする。

認証評価

 認証評価は,大学の教育研究水準の向上に資するため,教育研究,組織運営及び施設設備の総合的な状況に関し7年以内(本学では評価規則により6年以内)ごとに,文部科学大臣が認証する評価機関の実施する評価を受けることが義務づけられている。
 本評価は,認証評価機関が定めた基準及び観点に基づき,大学が自己評価を行い,その自己評価に対し,教育研究活動に関し識見を有する者によるピュアレビューを中心とした評価を実施するというものである。
 本学では,平成24年度からワーキンググループを編成し,全学体制で自己評価を行ってきた。そして,25年10月に認証評価機関(大学評価・学位授与機構)の訪問調査を受け,26年3月に大学評価基準を満たしているとの評価結果が確定した。
 認証評価は多くの教職員に負担を強いることになったが,大学での自己評価も含め,機構による適切な指摘事項により,本学の教育研究活動等の質的充実に向けた改善に繋がったと考えている。今後も,本認証評価に限らず,適切な各種評価を実施し,大学運営の維持・向上に努めていきたいと考える。

JICA理事長表彰

 途上国の教育向上に資する人材を育成する目的で,JICA(国際協力機構)が日本に受け入れた途上国の教育関係者の研修および途上国への専門家派遣を,本学はこれまで受託事業として実施してきた。平成25年度には,JICAより,このような本学の教育面における途上国支援・国際貢献が評価され,理事長表彰を受けた。
 理事長表彰という栄誉は,長年にわたる本学の地道な取り組みに対し与えられたものであり,簡単ではあるが振り返ってみたい。
 まず,本学が世界に目を向けるようになったのは,平成11年から17年(1999年~2005年)に実施されたJICAの南アフリカ「ムプマランガ州中等理数科教員再訓練計画」に,本学の理科および数学コースの教員を短期専門家として派遣するとともに,研修員の受け入れを行ったことがきっかけである。以来,本学はJICAと協力連携しながら途上国の教育支援事業に携わってきた。そして,17年度には「教員教育国際協力センター」を設置し,20年度には「国際教育コース」を開設した。また,22年度には国際交流担当の副学長職を新設した。
企画・社会連携担当理事 山下一夫

大学改革の推進,教育研究の充実のための支援

 今年度の業務運営・財務内容等の状況にかかる主な取組は,

戦略的・重点的予算配分

 「国立大学改革プラン」及び「ミッションの再定義」に基づく第二期中期目標期間後半の「改革加速期間」における重点施策を推進するため,学長のガバナンス(内部統制機能)強化を図る観点から本学の取り組むべき方向を明確に示し,可視化した効果的でメッセージ性のある予算編成方針を策定した。

学生の学習支援と教育環境の整備

 学生の学習環境全般を総合的に支援するために,かねてからの計画であった総合学習支援棟(コアステーション)が完成した。これにより大学構内に点在していた学生サービスのための窓口が集約されるとともに,学生セミナー室,就職支援セミナー室を確保し学生が自主学習できる環境を整えた。更に,従来から学生の要望が高かったトイレの改修について計画的な整備を開始した。

エコアクション21の取組

 昨年度より,大学,附属学校のすべてがエコアクション21の取組を推進している。本年度はすべての大学構成員が様々な環境負荷の軽減に取組み,その結果を環境活動レポートとして取りまとめている事が評価され,環境省による「第17回環境コミュニケーション大賞」奨励賞を受賞した。
総務・財務担当理事 茶畠豊
最終更新日:2014年12月26日