4-4-5.予防教育科学センター

記載責任者 予防教育科学センター所長 山崎勝之
〈基礎・臨床系教育部 教授〉

1.教員等名簿

氏名職名専門分野

<センター所長>
山崎勝之.pdf(117KB)

教授 発達健康心理学
葛西真記子.pdf(100KB) 教授 臨床心理学
廣瀬政雄.pdf(121KB) 教授 小児科学

吉本佐雅子.pdf(102KB)

教授 学校保健学
皆川直凡.pdf(118KB) 教授 教育認知心理学
高原光恵.pdf(101KB) 准教授 心理学
内田香奈子.pdf(110KB) 講師 学校心理学
村上祐介 研究員 教育心理学
安藤有美 研究補佐員  
安田小響 研究補佐員  
佐々木智美 研究補佐員  
賀屋育子 研究補佐員  
橫嶋敬行 研究補佐員  
内山世璃名 研究補佐員  

 

※教員氏名は、当該教員の自己点検・評価報告書へリンク

 

2.センターの活動状況,今後の課題等

 平成25年度のセンターの活動は,主として,概算要求 平成25年度特別経費(プロジェクト分)「学校において子どもの適応と健康を守る予防教育開発・実践的応用研究事業」に沿って実施された。この概算要求事業の4年目の年度であった。
 以下に,その活動を事業の内容別に記述する。

(1)徳島県内における予防教育の展開

  昨年度に引き続き、本センターで開発した予防教育の授業を徳島県内の学校で実践した。今年度から学校が主導で予防教育を実施する段階に入り、そのため、実施教員の研修方法を開発し、実際に研修を行った上での実践であった。この研修の位置付けは重要で、学校教員にとってこれまで体験したことのない授業であるので、理論の説明から授業スキルの育成まで周到に手順を踏んでの研修であった。
 徳島県では、今年度から徳島県教育委員会による予防教育実施のための事業「いじめ等問題行動の予防に関する実践研究指定事業」が開始され、9つの小学校が事業に参入した。この事業では、センターによる全面支援はもとより、県教委より実施経費等で十分な支援が行われた。実施した教育は、予防教育のうち「ベース総合教育」で、自己信頼心(自信)の育成、感情の理解と対処の育成、向社会性の育成の各教育であり、小学校3年生~6年生において授業が実施された。
 この事業における予防教育実施の効果は、徳島県教育委員会との共著で冊子として公表され、徳島県下の全小中学校に配布された。効果は多数の尺度を用いて、統制条件や統制クラスを設定した上で科学的に実施された。つまり、授業を実施した結果が真に授業の実施による効果なのかどうかを科学的な手続きを経て確認した。その結果、自信が高まり、他者への思いやりが培われるなど適応面での効果は大きく、加えて、学習意欲の高まりが確認され、この教育が健康や適応面のみにかかわる教育ではなく、学習面でも効果を発揮する教育であることが明らかになった。

(2)徳島県外における予防教育の展開

 兵庫県、京都府、静岡県において、予防教育科学センターによる出張授業を実施した。とりわけ京都府では、京都府教育委員会による「いのちとこころのコミュニケーション事業」のもとで予防教育の出張授業が実施された。各出張授業においては多数の参観者を得て、多くの学校関係者にこの教育にふれていただく好機となった。また出張授業では、予防教育の理論についての講演や研修も同時に実施され、理論から授業の実際までを伝えることができ、あわせて質疑の時間の設定により、学校教員側の疑問にじっくりと答える時間を設けることができた。
 この試みにより、徳島県以外でも、京都府と三重県では各教育委員会による次年度の事業化が決定し、予防教育実施のモデル校が多数設定される運びとなった。次年度から全国普及を本格化させる予定だけに、この徳島県外での活動はそのための効果的な布石となったと言える。

(3)学界での活動

 学校・教育界のみならず、日本の研究界においてこの教育を広めるために、日本発達心理学会において、また海外でもヨーロッパ精神医学会において予防教育の研究発表を行うことができ、多くの研究者と交流し、情報交換を行うことができた。
 また、国内外の雑誌に論文を発表し、紙上においてもこの教育の内容と成果を公表することができた。

(4)大学ならびに大学院での授業

 学部においては「学校教育と予防教育科学」、大学院では「予防教育科学」の授業を順調に終えることができた。学部は3年目、大学院は2年目の授業開講であった。実習を行う必要から、いずれの授業も抽選で受講者を決定しなければならないほど盛況であった。授業評価も高く、受講生の参加度を極力高めた実践的授業とすることができた。

(5)広報、その他

 予防教育科学センターのウェブ・サイトは更新頻度を高め、日本語と英語の両言語で情報を発信し続けた。これにより、全国47都道府県よりアクセスがあり、予防教育の情報が多方面にわたって提供されていることがうかがえる。
 今日では、このインタ-ネット上のウェブ・サイト等による情報発信は重要で、頻繁な更新はもとより、より多くのサイト訪問者が生まれるようデザイン面でも工夫を凝らしている。
 また、各教育委員会等の依頼により講演や研修会を開き、上述のように出張授業とセットで講演や研修会を開催することも多く、よい機会となった。

(6)今後の課題等

  予防教育にとって今年度は全国普及の準備段階となり、次年度から本格的に全国に展開を始める予定である。そのため、学校側の主導で主体的に予防教育を実施する手順を示した冊子等は作成済みで、また教材送付のためのDVDや教材作成、授業実施などのセンターによるサポート体制も確立しつつある。
 しかし今後は、全国普及の進展とともにきめ細かいサポート提供への障壁が多々生まれることが予想され、その解決のため万全の準備を整える必要がある。ことにこの教育がこれまでの学校教育にはない新規教育で、授業運営や教材作成などには授業者に新たな技能の育成が必須であるだけに、その点からの障壁が予想される
 また、従来の各教育7から8時間版に加えて4時間版をそろえて、学校側が負担なく実施に着手でき、効果を体感しながら時数を増やして行く方途を柔軟に拡充する必要があろう。まずは実施していただくことに重きを置き、実施により効果が体感できれば、自ずと教育の広がりが加速するものと期待される。
 
 
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最終更新日:2014年12月26日