2-7.監事監査

 学外のサイトへ移動します国立大学法人法(平成15年法律第112号)第10条に規定される役員のうち,監事は,第11条第4項の規定により国立大学法人の業務を監査し,同条第5項の規定により監査の結果に基づき,必要があると認めるときは,学長又は文部科学大臣に意見を提出することができる。
 平成24年度の業務について,監事は学長に次のとおり監査結果を報告した。

監事監査結果報告書

平成26年6月20日

 

国立大学法人鳴門教育大学

学長 田中 雄三 殿

国立大学法人鳴門教育大学

監事 若井 彌一

監事 原   孝仁

 

 私ども監事は,学外のサイトへ移動します国立大学法人法(以下「法人法」という。)第11条第4項の規定に基づき,平成25年度における国立大学法人鳴門教育大学の業務執行について監査した。その結果を,法人法第35条において準用する学外のサイトへ移動します独立行政法人通則法第38条第2項及び国立大学法人鳴門教育大学監事監査規程第12条の規定に基づき,次のとおり報告する。

 

1.監査結果の概要

 両名で定めた「平成25年度監事監査計画(52KB)」及び職務の分担等に従い,役員会,経営協議会及び教育研究評議会に出席するとともに,重要な決裁書類等を閲覧した。さらに,役員から業務運営の報告を受け,各部門責任者からは業務処理の状況を聴取するとともに,業務及び会計の状況を調査し,書面・証拠書類の査閲等によりこれを確かめた。
 役員と当法人との利益相反取引並びに役員の当法人業務以外の業務の実施に関しては,必要に応じて役員から報告を求め調査した。                        
 会計監査人から報告及び説明を受け,財務諸表(貸借対照表,損益計算書,キャッシュ・フロー計算書,国立大学法人等業務実施コスト計算書,利益の処分〔損失の処理〕に関する書類及び附属明細書。以下,「財務諸表」という。),事業報告書,決算報告書について検討を加えた。

 

〔業務監査〕

(1)業務の遂行に関し,法令等に従い適正に処理され,法令等に違反する事実は認められない。
(2)役員と当法人との利益相反取引及び役員による当法人以外の業務の実施は,認められない。
(3)第二期中期目標・中期計画については,前文に大学の機能別分化に関する記述を行うとともに,第一期中期目標期間の成果等を踏まえるなど,適切に設定できている。
(4)「平成25事業年度に係る業務の実績に関する報告書」は,当法人の業務運営の実績が正しく記載されていると認める。

 

〔会計監査〕

(1)会計監査人「有限責任あずさ監査法人」の監査の方法及び結果は,相当と認める。
(2)財務諸表(利益の処分〔損失の処理〕に関する書類を除く。)は,当法人の財政状態,運営状況,キャッシュ・フローの状況及び国立大学法人等業務実施コストの状況を適正に示していると認める。
(3)利益の処分〔損失の処理〕に関する書類は,法令に適合していると認める。
(4)事業報告書及び決算報告書は,当法人の予算区分に従って決算の状況を正しく示していると認める。

 

2.是正又は改善を要する事項

 学長のリーダーシップにより,第二期中期目標達成に向けて,本学の進むべき方向性,具体的な方策,新たな管理運営組織についても検討していることが理解できた。その上で,本学の教職員が,それぞれの力を結集し,トータルな将来ビジョンに向けた目標意識を共有し,教職員の持てる力を活かしつつ,組織体制を充実させ,より一層円滑な業務遂行が図られ,第二期中期目標が達成されるべく,業務監査結果及び会計監査結果に基づき,次のような意見を述べたい。

 

(1)日本社会におけるこれからの児童生徒数並びに初等中等教育教員定数の減少に加え,教員養成大学の教職大学院化や修士課程の再検討,運営費交付金の配分方法の見直し等,鳴門教育大学を取り巻く環境には大学経営にとってきわめて厳しいものがある。これらの状況を克服するためには,学長のより一層のリーダーシップが求められると共に,教職員がこの状況について共通の認識に立ち,鳴門教育大学の特徴を活かしつつ新たな業務基盤を再構築するために,教職員が一丸となってスピード感のある大学改革をより一層推進していく必要がある。
 

(2)法人業務と大学業務を区分した結果,生じる情報の分散等の課題を解決するために,機能強化と調整機能を付与することにつとめてきたこと,さらに平成26年度からは,これまでの法人と大学の業務区分の問題点を克服すべく大幅な事務機構改革を行い,経営の一体化を図る試みを実施したことは高く評価できる。

 今後とも,学長がより一層のリーダーシップを発揮して大学の目標を達成し,より円滑な管理運営が遂行されるべく,引き続き事務体制並びに事務分掌の見直しを図るとともに,役員・教員・事務職員相互の緊密な連携・協働体制の構築に努められたい。

 

(3)学長,理事は,個別の改革や施策を実行するに当たり,それらが目指す方向性を大学全体が向かうべき中・長期ビジョンやその下で策定された具体的な経営計画の中に明確に位置づけ,本学の経営上への効果等について幹部職員を含め教職員に十分説明し,理解を図ることに留意されたい。

 

(4)平成25年度の業務遂行指針として掲げられた「教育研究等の質の向上」については,平成25年度においても不断なく取り組み,高い実効性を挙げてきていることは高く評価できる。中でも平成25年4月より「鳴門教育大学遠隔教育プログラム推進室」を設置し,遠隔教育プログラムの推進と実施に向けて体制づくりが進んだことは大いに評価できる。情報化の進展する社会状況はもとより,大学の立地上不利な点を抱えている鳴門教育大学にとって,今後とも重要な教育資源の1つとなるプログラムであり,引き続き,その一層の充実・整備が望まれる。

 

(5)平成25年度の業務遂行指針として掲げられた「学校現場の課題に即応した先端的教育実践研究の推進」については,大学のミッションに基づき,全学を挙げての鳴門教育大学の特色づくりと教育・研究の質の向上に取り組む姿勢方針として大いに評価できる。なかでも「予防教育科学」の国際的な拠点作りに向けた研究と実践を展開していることは高く評価できる事業であった。しかし,この事業は平成26年度で文部科学省予算は終了する事業である。今後は,引き続き,この事業の継続性を図るとともに,我が国における先導的な研究と実践の拠点としての内実を整え,より一層の発展を目指して拡充・整備を図るよう努められたい。

 また,「小学校英語活動」については,ますますその重要性が高まってきており,教員養成大学としての先導的な役割を担うべく引き続き努力を重ねられたい。

 なお,社会の情報化の急速な発展等に伴い,我が国では,情報通信技術を最大限活用したハード・ソフト両面にわたる教育の整備充実が求められている。そのためには,新たな教員養成カリキュラムの開発や効果的な履修体制の構築などを進めていくことが必要であり,引き続き具体化に向けた検討を重ねられたい。

 

(6)平成25年度の業務遂行指針として掲げられた「学生のニーズに沿った体系的かつきめ細やかな就職指導の推進」については,その多様な取り組みの成果として,「国立の教員養成大学・学部(教員養成課程)」44大学中第1位という特筆すべき実績を上げたことは,高く評価できる。また,学生・院生に対する「学修支援」に関しても,本学独自の経済的支援の拡大策を打ち出したこと,学生のニーズに沿ったワンストップサービス化に取り組む体制を整備し,「総合学生支援棟(コアステーション)」の新営工事が平成25年度に完了し,平成26年度から開設されることとなり,学生の利便性だけでなく学習面での支援も充実されることができたことは十分に評価できる。今後とも,学習支援策をより一層充実整備することによって,教育課程の内外にわたる学生の自主学習の一層の活性化を図り,ほかの諸施策との関連づけを図りつつ,引き続き学生の資質・能力の向上に努められたい。

 

(7)大学院生の入学定員の確保については,本学を取り巻く厳しい状況にもかかわらず,これまでにも努力を重ねてきたが,今後とも検討を行い,定員充足に向けた方策の一層の展開に努められたい。

 

(8)「コンプライアンス等の内部統制」の確立に向けて,「個人情報の漏洩防止マニュアル」の見直しや「コンプライアンス基本方針」の取り組みを適切に進めてきたことは理解できた。次年度以降についても,引き続きコンプライアンス等の内部統制の一層の確立を目指し力を注がれたい。

 

(9)本学が設立当初の理念を実現し社会的な期待に応えていくために,本学の教育・研究成果を地域社会の教育力の向上並びに地域の活性化に向けて還元するとともに,教育委員会との連携・協働を強化してきたことは大いに評価できた。引き続き,これらの活動の推進に臨まれたい。

 

(10)科学研究費助成事業については,引き続き採択率の向上に努めるとともに,新規申請については,近年の本学の申請状況に鑑み,さらなる対応策の検討を願いたい。

 

3.その他必要と認める事項

 特になし。 
 
 
 
最終更新日:2014年12月26日