あとがき

カリキュラム改革と質の向上による教員養成教育の充実

 本学が平成17年度から導入した「教員養成コア・カリキュラム」は、平成21年3月に完成となる。そこで、このコア・カリキュラムの成果を検証するために、毎年学部卒業生を対象に「鳴門教育大学の教育に関するアンケート」調査を実施している。平成23年度学部卒業生113人を対象とした調査結果によると、「教育実践コア科目」についての設問では、「役立った」「どちらかといえば役立った」という肯定的回答が80%であった。また、平成23年3月卒業生の教員就職率は、77.9(前年度78.3%)となっており、前年度と同様「国立の教員養成大学・学部(教員養成課程)」44大学中、第1位を獲得した。これらの結果から本学の「教員養成コア・カリキュラム」は、教員養成の質保証の観点からも一定の効果があると評価できよう。
 そして、23年度は、教員養成教育の成果として学生に修得を求める資質能力を示したディプロマ・ポリシーを、アドミッション・ポリシー及びカリキュラム・ポリシーとの整合性を図りながら策定するとともに、5段階の成績評価基準を、学生に求める能力の到達基準として示した。
 専門職学位課程においては、現職教員や教育委員会のニーズを踏まえ、キャリアに応じた学校教育の諸問題について総合的・横断的に学べるよう、従来の3つのコースを統合して教職実践力高度化コースを新設することを決定し、カリキュラム改変に着手した。
 そして、予防教育科学研究センターと附属学校等が共同して予防教育に関する実践的研究を進め、その成果を踏まえた教育実践を徳島市・鳴門市の小学校で実施した。また、教員養成における教科専門教育の内容・方法に関する研究(いわゆる教科内容学研究)を、文部科学省先導的大学改革推進委託事業として、上越教育大学・兵庫教育大学と連携して進め、その成果をシンポジウムや報告書を通じて社会に還元した。
 長期履修学生の学修支援のために、長期履修学生支援アドバイザーを1名増員するとともに、支援業務のアンケート調査の分析・検証の結果に基づいて、長期履修学生支援演習と教職採用試験対策の内容の改善に着手し、きめ細かな就学支援を行った。
 以上、平成23年度は、主に教員養成コア・カリキュラムの検証、ディプロマ・ポリシーをカリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシーとの整合性を図りながら策定、専門職学位課程においてニーズとキャリアに応じたコースの新設、予防教育や教科内容学に関する先端的教育実践研究、長期履修学生の学修支援についての改善等によって、教育研究のカリキュラム改革と質の向上を図った。
 最後に、これまでの教職員の方々のご尽力、ご協力に心からお礼申し上げる。
教育・研究担当理事 西園芳信

年度計画を着実に実行

 平成23年度は、教職員が一体となって年度計画を着実に実行するとともに、緊急の課題に対しても適切に対応した。筆者に関わる事項で、特筆すべきことは以下のようなものである。

附属幼稚園、附属小学校の入学定員の見直し

 この数年、少人数学級の実現を目指してきたが、附属学校幼稚園1クラスを30人から26人へ、附属小学校1クラスを40人から34人となるよう入学定員を改めた。

鈴鹿市教育委員会との連携事業の立ち上げ

 本学と三重県鈴鹿市教育委員会との連携事業に関する協定書を締結した。学力向上や生徒指導等を目的として、本学教員が鈴鹿市の中学校を訪問し指導助言を行った。一方、教育委員会は本学教職大学院に教員を派遣した。

小学校外国語活動の推進

 小学校英語センターでは、言語系コース(英語)のスタッフを協力教員に加えることにより、各学校・地域の要請に幅広く応じられる体制を整えた。また、本学と鳴門市教育委員会との共催により、第8回全国小学校英語活動実践研究大会を開催した。

地域への教育支援活動の充実

 教育支援講師・アドバイザー等派遣事業では、派遣対象地域を徳島県内に限っていたが、日帰り可能な範囲で四国各県及び淡路島に拡大した。この結果、派遣実績が前年度の26%増の200件となった。
 以上、着実な大学運営を行ってきたが、これからも教員養成における教育研究のトップランナー大学としての使命を果たしていきたい。
企画・社会連携担当理事 山下一夫

さらなる飛躍へむけた着実な取組

 平成23年度の本学の取組は、第二期中期目標、計画の二年次にあたり、喫緊の課題に的確に対応するとともに期間中の目標達成に向け条件整備、体制整備を実施することも重要となっている。
 今年度の業務運営・財務内容等の状況にかかる主な取組は、

リスク分析とコンプライアンス基本方針の策定

 リスクマネージメントを効率的、効果的に実施するため、想定リスクを洗い出し、一覧を作成するとともに「鳴門教育大学コンプライアンス基本方針」を策定した。今後、当該基本方針のもと想定リスクへの具体的対応に取り組む必要がある。

学内予算配分の見直し

 毎年度実施している財務分析(リポート)を踏まえ、学生の教育環境充実のため平成24年度学内配分に際し、学生教育経費を増額した。

人件費改革及び業務コスト節減

 総人件費改革等を踏まえた人件費削減の目標を着実に達成するとともに限られた資産、財源を効率的に活用するために、光熱水量の計画的削減及びリユース・デイを開催し、器機の再利用に努めた。

エコアクション21の認証・登録

 本学環境方針、目標、活動計画に基づき、すべての大学構成員が環境負荷の低減に取組み「エコアクション21」の認証・登録を受けたことは特筆すべき実績である。
 今後、さらなる取組のために啓発・研修を実施することが必要となっている。
 最後に、第二期中期目標、計画の着実な実行とともに、平成24年度以降の国立大学を取り巻く状況は一段と厳しさを増している。国立大学としての存在理由が問われるなかで、今後も国民に必要とされる鳴門教育大学として全学一丸となって継続的な改革に取り組むことが求められている。
総務・財務担当理事 茶畠 豊
最終更新日:2012年10月3日

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