4-4-6.教員教育国際協力センター

記載責任者 平成23年度教員教育国際協力センター所長 近森憲助
〈自然・生活系教育部 教授〉

(1)教員名簿

氏名及び専門分野職名

<教員教育国際協力センター所長,

理数科教育協力研究分野>

近森憲助.pdf(106KB)

教授

<国際教育開発研究分野>

小野由美子.pdf(100KB)
教授

<国際教育開発研究分野,ICT教育協力研究分野>

小澤大成.pdf(91KB)

准教授

<国際教育開発研究分野,ICT教育協力研究分野>石坂広樹.pdf(78KB)

准教授

*教員氏名は、当該教員の自己点検・評価報告書へリンク

 

1.実施事業の概要

  平成23年度の年度計画を踏まえ,教員教育国際協力センター(以下「センター」)が「理数科教育協力」,「ICT教育協力」及び「国際教育開発」の各研究分野あるいは分野横断的に実施した「JICA及びNGOなどの国際援助機関・団体等と提携協力し,引き続き途上国の教育向上に資する人材を育成する」及び「平成22年度に完成した国際教育カリキュラムを活用し,国際感覚を備えた人材育成に向けた活動を展開する」事業を実施した。なお,センターには現在,「理数科教育協力」「ICT教育協力」及び「国際教育開発研究」の3分野が置かれており(センター規則第5条),本要約においては,23年度の事業とこれらの分野との関連性についても示している。
  なお、実施事業の詳細については、「平成23年度鳴門教育大学教員教育国際協力センター事業実施報告書」(平成24年3月)を参照していただきたい。

(1)途上国の教育向上に資する人材の育成事業

ア 途上国教育関係者を対象とした研修受け入れ事業
  平成23年度には,理数科を主体とした授業改善をねらいとし,計6件,延べ研修実施期間135日の途上国(ケニア,エチオピア及びアフガニスタン,大洋州及びフランス語圏アフリカ諸国)の教育関係者(現職教員,校長,視学官,教員トレーナー,中央政府及び地方教育行政官,教員養成校教員等)を対象とする研修を(独)国際協力機構(JICA)からの委託を受けて実施した。受け入れた研修員の総数は69名,研修委託費の総額は17,402千円であった。このような研修の実施においては,昨年度から行われてきた事前・事中・事後をトータルに捉えた研修デザイン,実施,評価及びフォローアップ活動などが本格的に実施され,研修の質の向上につながりつつある。今後研修受け入れ数の増加が見込まれることから,研修実施関係者(センター事務員及び教員,研修指導に当たる理科,数学及び国際教育コース教員等)の負担増及び研修場所の確保が大きな課題となりつつある。なお,本事業は,理数科教育協力と国際教育開発の二分野を横断的に実施した事業として位置付けられる。
イ 国際教育協力専門家派遣事業
  アフガニスタン教師教育強化プロジェクトフェーズ3(STEP3)への専門家派遣は,アフガニスタン国の治安状況の悪化が懸念されたことから取りやめとなり、業務はすべて国内作業となった。2010年度に終了したアフガニスタン国への教育支援事業(アフガニスタン国教師教育強化プロジェクトフェーズ2)のフォローアップ事業においては,TV会議システムを介した指導・助言を行った。なお,本事業は,ICT教育協力及び国際教育開発の二つの分野にまたがる実践として位置付けられる。

 

(2)国際教育カリキュラムを活用した国際感覚を備えた人材育成に向けた活動

ア センター事業の成果を活用した国際教育コースの教育内容・方法の充実への支援
  平成24年度から実施予定の国際教育コース新カリキュラムを構成する16科目(課題研究を除く)の内,2科目(「教育研究・調査」及び「国際教育人間論」)を選定し,また,国際教育協力専門家派遣事業,受け入れ研修のデザイン,実施及び評価などセンター事業において得られた成果を活用し,教育内容に関する実験的試行を支援した。授業内容について支援した授業科目は,「国際教育IT活用研究」及び「現代教育人間論」である。また現行カリキュラムの授業科目における新たな授業提供方法の試みとして,「国際教育教材開発演習Ⅰ」及び「国際教育IT活用演習」におけるインターネット(学内)の及びTV会議システムの活用を支援した。これらの支援は,国際教育開発研究における原論に相当する「国際教育人間論」を除き,主にICT教育協力研究分野に関するものである。
イ ASPUnivネット(大学間ユネスコスクール支援ネットワーク)関連事業:日本/ユネスコ パートナーシップ事業
  本学は平成22年度にユネスコスクール支援の為に組織されたユネスコスクール大学間支援ネットワーク(ASPUnivネット)に参加した。平成23年度からは,センターが本学における実施主体として日本/ユネスコパートナーシップ事業を四国地区におけるユネスコスクールに関する普及・啓発をねらいとして,ユネスコスクール・フォーラム,遍路ウォーク,ユネスコスクール研修会,ユネスコスクールセミナーなどの開催,及び加盟申請への支援等を学内教員1名(人間形成コース 伴 恒信教授)とともに実施した。その結果徳島県内で4校の小学校が加盟申請することとなった。また,高知県及び香川県でも計3校が加盟申請し,四国におけるユネスコスクール加盟校の空白県が解消された。本事業は、センター規則第3条に規定された国際感覚を有する教員養成を目指した国際教育プログラムの開発に関すること」に関連した事業であると同時に、センターに置かれた3分野の基盤強化に資する事業である。
ウ 「被災児童生徒への国際支援」をテーマとした国際教育オープンフォーラムの開催
  平成20年度より継続的に開催してきた国際教育オープンフォーラムを本年度は「被災児童生徒への支援」をテーマとして、JICA四国支部との共催により平成23年12月17日(土)に本学地域連携センター多目的教室において開催した。第一部の講演では,被災児童生徒の支援を行う際の方針あるいは姿勢が示された。第二部のパネルディスカッションでは,被災地支援の一つのターゲットが,紛争や災害によって一旦は見えなくなってしまった「人々の連帯感」あるいは「絆」の復活あるいは再生であることが確認された。本事業も,センター規則第3条に規定された国際感覚を有する教員養成を目指した国際教育プログラムの開発に関すること」に関連する事業であり、センターに置かれている3分野の基盤強化に資する事業として位置付けられる。
エ 徳島県・大学連携による教職員研修
  小・中・高等学校における国際理解教育の推進,とくに,総合的な学習の時間を活用した実践に資することをねらいとして,「国際理解教育入門」と題する教員を対象とした10年次研修を平成23年8月23日午前10時より午後4時まで実施した。参加者は小学校教員1名,高校教員4名であった。本事業も国際教育カリキュラムの骨子の一つである「我が国関係者の連携強化」に関る事業として位置付けられる。

(3) 事業展開における学内外の機関・団体等との連携強化

  平成23年度の事業実施においては,従来と同様に、学内教員(人間形成,理科及び数学各コースの教員)及びJICA四国をはじめとする学外国際援助機関、地域の国際協力NPO(TICO:徳島県吉野川市山川町)の他徳島県教育委員会や学校など教育及び教育行政機関との連携により実施し,さらに,その実施を通して連携を強化した。このような成果は,今後のセンター業務の円滑な実施のための基盤強化に資するところが大きい。なお,(2)に示した「国際教育カリキュラム」は,センター規則第3条の業務に関する(3)において規定されている「国際感覚を有する教員養成を目指した国際教育プログラムの開発に関すること」の中での「国際教育プログラム」に該当する。今後、これまでのセンター事業の成果を踏まえて,より具体的な同カリキュラムの構築を試みる。

(4) その他の事業

  国際教育開発研究分野における研究の一環として,本年度に南部アフリカ地域の農村部において活動実績を有する非営利活動特定法人TICOと連携し,センター教員3名及び学外の国際教育開発研究者1名を研究分担者として『サブサハラアフリカ地域農村部における持続発展教育(ESD)の展開に関する実践研究』を企画・立案し,平成24年度文部科学省科学研究費補助金に申請した(研究期間:平成24年度~平成27年度,研究代表者:近森憲助,申請総額:4,950万円)。また,平成24年2月下旬より3月初旬にかけて現地にて予備調査を実施した。

2 平成23年度センター事業評価結果について

(1) 評価の概要

  本センターの平成23年度の事業展開に関して,その成果と課題について評価し,今後の事業計画とその実施の改善・向上を図ることねらいとして事業評価を行った。平成24年3月27日に示す学内・学外有識者(各2名、計4名)にセンター事業報告書及び評価シートを送付し同年4月20日までに回答するよう依頼した。4月25日のセンター会議における本センター教員による協議を通して事業評価報告書を作成した。なお、評価の観点([ ]内に表示)及び評価基準は、以下に示す通りである。
5:[目標の達成や事業の持続・発展にとって]非常に優れている。
4:[目標の達成や事業の持続・発展にとって]優れている。
3:[目標の達成や事業の持続・発展にとって]相応である。
2:[目標の達成や事業の持続・発展にとって]努力は見られるが,改善の余地がある。
1:[目標の達成や事業の持続・発展にとって]寄与が認められない(問題がある)。

(2)評価結果について

  評価の観点及びその評価基準による11件の評価対象事業項目の中で、6件が「4:事業の目標や事業の継続・発展にとって、優れている」、5件が「3:事業の目標や事業の継続・発展にとって、相応である」と評価された。さらに、学内外の有識者による評価をもとに、センター教員で協議した結果、平成23年度中期計画に示された「途上国の教育向上に資する人材育成事業」については「4:優れている」、また、「国際教育カリキュラムの活用」に関しては「3:相応である」と判断した。
なお、評価結果の詳細については、「平成23年度鳴門教育大学教員教育国際協力センター事業評価実施報告書」(平成24年4月)を参照していただきたい。

(3)評価結果を踏まえた今後の展望と課題

  平成24年度の年度計画においても、本センター事業に関しては、23年度の年度計画がほぼ踏襲されている。23年度の事業評価結果をみると、「途上国の教育向上に資する人材育成事業」に関しては、比較的評価が高いことから、23年度に実施した人材育成事業をさらに発展させていくことを提案したい。学内及び学外の評価者から高い評価を得たことには、事前・事中・事後をトータルに捉えた研修デザイン,実施,評価及びフォローアップ活動などが本格的に実施され,研修の質の向上につながりつつあることが反映されているものと思われる。今後はフォローアップ調査の成果等を踏まえながら、研修デザイン・実施・評価・フォローアップ活動などを益々充実させていくとともに、帰国後の効果的な研修成果還元を見通した教育省や学校管理職などの研修参加など、研修員の人選のあり方等についても検討を試み、実践していく必要があるものと思われる。
  「国際教育カリキュラムの活用」については、人材育成事業に比して全般的に評価が低かった。その最大の理由は、「国際教育カリキュラム」の具体的な姿が、未だ明確には示されていないことによるものと思われる。今後、様々な実践事例を総括することを通して、より具体的な国際教育カリキュラムの構築への努力が必要とされている。
最終更新日:2012年9月3日

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