まえがき

-第二期中期目標期間の2年目-

 我が国は、平成23年3月11日の東日本大震災とそれに引き続く福島第一原子力発電所の事故により、筆舌に尽くしがたい未曾有の被害を被った。この原稿を執筆しているのは、平成24年9月である。東日本大震災から1年半たつが、復旧・復興は厳しい状況にあり、今なお被災されて困窮の日々を余儀なくされている多くの方々のことを思うと、支援できているのかどうか内心忸怩たる思いである。改めて、心からお見舞い申し上げるとともに本学としても、継続的に出来る限りの支援をさせて頂く所存である。
 さて、本学は法人化以後大学憲章を定め、第二期中期目標の基本方針において、次のように機能別分化、機能強化を述べている。
 「鳴門教育大学は,<教育は国の基である>という理念のもとに,教員養成大学として時代の要請に応えるべく,高度な教職の専門性と教育実践力,かつ豊かな人間愛を備えた高度専門職業人としての教員の養成を最大の目標とする。併せて,学校教育に関する先端的実践研究を推進し,我が国の教員養成における先導的な役割を果たす。」
 本学は、以上のごとく、自己定義し、大学の機能別分化・機能強化を推進している。 平成23年度は、基本方針に則して具体的に業務を遂行するために、4つの指針を定め業務に取り組んだ。4つの指針と主な取り組みの具体については、総論に譲ることとする。 ところで、平成22年6月3日に当時の川端文部科学大臣から「中教審」に対して「教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合的な向上方策について」諮問がなされた。
 「中教審」では、これを受けて「教員の資質能力向上特別部会」(委員30名)を設置し審議を開始した。諮問の要点は、一つは、大学4年間が基本となっている教員養成課程の期間延長について(いわゆる修士化の問題)、二つは、教員免許更新の在り方を含めた教員免許制度の見直しと教職の生涯にわたる質の保証について、三つは、教育委員会、大学、地域が一体となって教員を育てる仕組み作りでる。
 およそ2年掛けて特別部会で審議された後、この度(平成24年8月28日)「中教審」答申として示された。その概要は以下のようである。
1)教員養成は、大学における養成を基本原則とし、現行の「開放制」による教員養成を堅持するが、教員養成を修士レベル化し、高度専門職業人として位置づける。
2)教員免許状については、「基礎免許状」、「一般免許状」、「専門免許状」の三種類(いずれも仮称)を用意する。
3)「学び続ける教員像」の確立のために、教育委員会・学校と大学の連携・協働による教職生活の全体を通じた一体的な改革、新たな学びを支える教員の養成、学び続ける教員を支援する仕組みの構築を図る。
 今後、この答申に添って法制化が進むことを願っている。 
 本学としては、第二期中期目標期間の基本的な方針に則って、所与の中で改革を推進していかねばならないが、教員養成系大学・学部や教育委員会・学校とのより一層の連携・強化を図り,答申内容を実質化していきたい。
 なお、平成23年度の業務実績報告書では、年度計画75項目中、教育・研究に係る計画を除いた33項目について、四段階評価で自己点検評価実施している。33項目全て、Ⅲ評価(年度計画を十分実施している。)とした。
 ここに平成23年度版「鳴門教育大学自己点検評価結果報告書」を刊行するにあたり、関係各位のご高覧に供し、本学発展のために忌憚のないご叱正、ご指導をお願いする次第である。
 最後になったが、本出版に多大なご尽力を頂いた関係各位に深謝申し上げる。
平成24年10月
国立大学法人鳴門教育大学長 田中雄三

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