15.あとがき

―カリキュラム改革と質の向上による教員養成教育の充実―

  平成17年度から「教員養成コア・カリキュラム」を実施しているが、その成果を検証するために平成22年度学部卒業生113人を対象とした「鳴門教育大学の教育に関するアンケート」を行った。その結果、「教育実践コア科目」についての設問では、肯定的回答がほぼ80%であった。また、平成22年3月卒業生の教員就職率は、78.3%(前年度65.5%)と大幅に上昇し、「国立の教員養成大学・学部(教員養成課程)」44大学中、第1位を獲得した。このことから、本学の「教員養成コア・カリキュラム」は、教員養成の質保証の観点からも一定の効果があると評価できる。今後は、カリキュラム評価を通して検証し、改善を図っていくことの必要がある。
  本年度は、学部教務委員会の下にカリキュラム・ポリシー策定専門部会を設置し、本学における教員養成教育の方針とその特色を明確にしたカリキュラム・ポリシーを策定した。
そして、予防教育の授業科目として「予防教育科学」(大学院)及び「予防教育科学と学校教育」(学部)を開設し、平成23年度入学生から実施することとした。
また、学部教務委員会の下に教職実践演習実行委員会を設置し「教職実践演習」(平成25年度開講予定)の開講に向けたアクションプランを策定した。その一つとして、学生個々の省察を促し、教員が効果的指導を行うために「学修キャリアノート」を導入した。このような方法によって、個々の学生の学習歴を把握した上で継続的で一貫した教育指導を行うこととした。
  平成22年度特別経費(プロジェクト分)として認められた「学校における子どもの健康と適応を守る予防教育開発・実践適応用研究事業」について、連携校と学校不適応等予防教育科学に関する共同研究を構築した。これらの研究を通して、新しい予防教育プログラムを開発するとともに、附属小・中学校及び鳴門市の小・中学校と連携し実践を進め、教育・研究の基盤を構築した。
  本年度は、昨年に続き、小学校英語教育センターにおいて、出張型研修、集合型研修シンポジウムを開催し、小学校外国語活動における支援を行った。
  以上、平成22年度は、教員養成コア・カリキュラムの検証、カリキュラム・ポリシー策定、予防教育の授業科目の開設、「教職実践演習」の開講に向けたアクションプランの策定、予防教育科学研究の推進、小学校外国語活動の支援等によって、教育研究のカリキュラム改革と質の向上を図った。
  最後に、これまでの教職員の方々のご尽力、ご協力に心からお礼申し上げる。
教育・研究担当理事,副学長 西園芳信

第2期中期目標・中期計画の順調なスタート

  平成22年度は,第2期中期目標・中期計画の初年度であり,執行部体制も新たになり,学長のリーダーシップの下,教職員一体となって課題に取り組んだ。
  特に,本学の長年の懸案事項である教員就職率や大学院入学者数において,めざましい成果を上げた。
  その他,教育支援講師・アドバイザー等派遣事業の実績が過去最高を記録し,公開講座にも多数の受講者を数えるなど,本学が地域社会に着実に根付き,教育という花を咲かせていることが実感できる。また,本学と附属学校との関係,本学と教育委員会との関係は,担当理事・副学長として,非常に良好であり協力的であると実感している。
  このように順調なスタートを切ったが,気持ちを引き締めて,今後とも目標に向かい,計画を着実に実行していきたい。
企画・社会連携担当理事,副学長 山下一夫

年度計画以上の成果の達成に向けたこの一年

  平成22年度は、第二期中期目標・中期計画期間のスタートの年として、新たな組織及び執行部体制により、目標達成に向けて一体で取り組み、大きな成果を揚げた1年となった。
主な成果は以下の通り。

効果的な教員就職率の維持向上対策

  教職員及び学生の努力と今まで積み重ねてきた教員採用試験ガイダンスや就職支援アドバイザー制度による支援体制の充実が、平成22年度の教員就職率全国第1位(78.3%)に結びついた。
  この成果を翌年以降も維持向上するため、例年にも増してきめ細かな支援策を講じた結果、平成23年5月1日現在で既に75.2%と高い数値を維持している。(因みに、中期目標における教員就職率の数値目標は、70%<進学者除く。>)
  教員就職率1位獲得は、教職員、学生等のステークホルダーに大きなインパクトを与えるとともに、その効果は、すぐに平成23年度の受験倍率(7.9倍)に反映され、、これも全国第1位となった。
  以上のように、教員就職率の向上が学生の質を高め、きめ細かな就職支援により、さらに教員就職率向上に結びつくという正のスパイラルが確立され、近い将来に「鳴門ブランド」を築くことができると考えている。

機動的な業務運営体制の確立

  第二期中期目標・中期計画を戦略的に推進するため、法人組織と大学組織を明確に区分し、法人組織には経営企画本部を置き、執行部との連携を強化し、経営上の意志決定の迅速化した。また、大学組織には新たに副学長制度を導入し、7名体制できめ細やかな大学運営に当たった。

重要課題に取り組む体制とその成果

  経営企画本部内に、重要課題に機動的・戦略的に対応するため、企画戦略室を設置し、「インターネット大学院検討委員会」「大学院定員確保検討委員会」「入学定員・教育研究組織等見直し検討委員会」を立ち上げ、各委員会での具体的な戦略の実施により、開学以来の大学院修士課程の定員(250人)を満たすとともに、22年度計画にはないインターネット大学院基本構想(案)の策定に至った。
(1)きめ細かな修士課程の定員充足対策
  過去の入学者の状況を分析した結果、志願者・受験者・合格者を増やしても辞退率が増えているため、入学者の数はそれほど増えずに定員に至らない状況であることが確認できた。そこで、合格者に対しては、来年度より大幅な授業料免除枠を拡大することやコース紹介・Q&Aの配布等を含めて、本学の特長を知ってもらうための情報を提供した。これにより、長期履修生の入学者が大幅に増え(79名→110名)たことと、辞退者数(82名→78名)に歯止めがかかったことにより、開学以来の定員充足を達成することができた。
  なお、来年度は、長期履修生が大幅に増えることによる教員等の負担増を解消するため、支援体制を整備(増員)することとし、さらに、支援体制・システム等の見直しを検討することとした。
(2)インターネット大学院基本構想の策定
  中期目標・中期計画に掲げた「入学定員の見直し」及びそれに伴う「教育・研究組織の見直し」をスタートさせた。まず、22年度には、入学定員の見直しの観点から、従来から検討してきたインターネットを等を活用した遠隔教育を導入し可能なものとするため、外部の調査会社による現職教員等に対するニーズ調査を行った。
  この調査により、現職教員の学習ニーズが強いことが確認されたことから、22年度計画には載せていない「インターネット大学院基本構想案」を策定し、さらに、学内の教職員への説明を通じて共通認識の定着に努め、翌年度以降の計画の前倒しを実現することができた。

その他

  教員選考において、応募状況及び選考過程のさらなる透明性を推進すること並びに模擬授業の導入による教育力・授業力を評価することを明確に教員選考基準に規定した。
  23年度の認証・登録を行う予定の「エコアクション21」の準備を着実に行った。
  リスクマネージメントについては、リスクの洗い出し並びに危機管理規則の制定及び危機管理基本マニュアルを作成した。
最後に、今年度の成果を反映させ、翌年度以降の年度計画を着実に実施するとともに、時の流れの速い時代に柔軟に対応する姿勢を持って進めていきたい。
総務・財務担当理事 清水勇行
最終更新日:2011年11月16日

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