自己点検・評価報告書(生活・健康系コース(保健体育),心身健康研究教育センター,予防教育科学教育研究センター) 廣瀬政雄

報告者 廣瀬政雄

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての研究活動

(1)目標・計画

  • 教育面の研究として,医学と教育学は共に人間を相手とする分野である。先進諸国の医学教育システムを我が国のものと比較研究し,先進的な医学教育のなかで教師教育に生かせるものがないか検討する。
  • 学生の心身の健康の面では,学生の年代が生涯で最も健康な年齢帯に属していることにより,身体疾患は軽症なものがほとんどを占める。しかし,精神保健面では心身症や抑うつなどに悩む学生が少なくない。これの診断と治療に関する研究を行う。
  • 医師の偏在による地域医療の問題,特に,小児救急医療の崩壊がクローズアップされている。そこで,小児遠隔診療支援システムの意義について検討する。

(2)点検・評価

  • 教育面の研究として,主要先進国の医学教育の制度の違いについて比較検討し,教員教育に役立つ内容とするべく考察している。
  • 精神保健の面で悩みの大きさと治療効果を定量的に測定する研究を推進するために,測定機器を購入する目的の科学研究費を申請した。
  • 保護者教育による診療支援のあり方について,小児保健教育の観点から教育方法の検討を行なっている。
  • がん細胞の生物学的特性に関する研究論文2編(英文)が受理された。
  • 研究論文2編(和文),依頼総説原稿2編(和文)および学会プロシーデイング1編(和文)が掲載された。

1-2.教育大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

  私の担当する授業は,心身の健康に関するもので構成されているが,必修科目と選択科目に分けられる。必修科目は,必要な知識に関して確実な基礎と自在の応用ができるように指導することを目標とする。そのため,必須の授業においては達成度を適切に評価する。
  選択科目あるいは教養的な授業においてはできるだけ多くの学生に授業に参加してもらい,生涯の健康づくりや学校や地域社会での指導に役立ててもらいたいと考えている。本学の学生は厳しい評価をする授業を避ける傾向があるので,多くの学生に聴講してもらえるように,このような授業においては評価を超えた指導を行ないたいと考えている。

(2)点検・評価

  必修科目は,必要な知識に関して確実な基礎と自在の応用ができるように指導することを目標とする。そのため,必須の授業においては達成度を適切に評価した。
  大学院の健康科学研究・演習は選択科目である。積極的な参加と発言を促し,レポートには直接の指導あるいはメールによる講評を行い,授業内容が印象深いものとなり,実践的な理解と知識が習得できるように努めた。

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

  学生の心身の健康を考える立場から,学生支援委員会の委員を継続して務めている。教員採用率が低かった頃には,学生のさまざまな問題が提案され,学生による問題行動や不祥事の件数も多かったように思う。しかし,教員採用率の向上と逆相関するように,最近は学生の不祥事が減少してきたように感じる。学生に目標を持たせて,やる気を起こさせることが学生生活を充実させる最も大きな力になると思うので,そのような支援となるような指導を心がけたい。

(2)点検・評価

  学生が学業やクラブ活動あるいは交友活動に積極的に参加できるよう,健康面で受診した学生や心理面で相談に訪れた学生には,健康と病気の原理を説明したり,心理面の問題を克服できるように,健康維持増進面での指導とサポートに努めた。また,平野看護師や新規に委嘱した三輪カウンセラーにも学生の支援に十分な力を発揮して当たってもらえるようにセンター内の雰囲気つくりに努めた。また,教務課の学生支援担当者と協調して,学生のケアにあっている。新規に委嘱した三輪カウンセラーの人気が高く,相談したい学生が増加して,週1回だったものを週2回担当してもらうようにした。最近は,私に直接間接に相談する学生もみられるようになり,私はカウンセリングの専門家ではないが,身体面に加えて心理面の相談も行なっている。

2-2.研究

(1)目標・計画

  • 先進諸国の医学教育システムについて研究し,我が国の医学教育の問題について検討する。医学教育も教員教育もともに人間を対象とするので,医学教育領域で実践されていることで,教員教育に参考になることが見つかるかもしれない。結果を鳴門教育大学研究紀要に投稿する。
  • 心身症や抑うつは学生生活や現代社会のストレスから来るものである。ストレスを受け止める学生の反応は,個人によるところが大きい。しかし,これを正確に判定する方法は今のところ無い。心身症や抑うつに対する治療は,精神保健薬とカウンセリングによるが,効果が顕著なときもあればみられないときもある。ストレスは脳の視床に集約されて,大脳や脳幹及び下垂体に影響を与え,自律神経系,内分泌系および免疫系など全身的な健康上の問題を引き起こす。その影響を受ける自律神経と体性神経の反応を定量化することで,ストレスが引き起こす心の痛みを定量的に測定できる可能性がある。そうすれば,診断と治療に有用な手段となろう。
  • 派生的な研究として,「四国遍路を歩く」事業における,参加者の自律神経系の働きの変化に関する研究なども面白いと考えている。
  • 小児救急医療の崩壊の問題がクローズアップされている。地域にいながら専門医のチームにアクセスし,診療を受けられるような小児遠隔診療支援システムの開発について検討する。

(2)点検・評価

  • 先進諸国の医学教育システムについて,最新の資料を収集している。
  • 「ストレス反応による心の痛みの定量化に関する研究」を科学研究費に申請した。
  • 以下の論文が掲載または受理された。
  1. 鳴門教育大学学生の麻疹と風疹抗体保有状況」学校保健研究雑誌50,1. 27-33, 2008.
  2. 総説「ムンプス」インフルエンザとキャンパス感染症。107-114,2009.
  3. 総説「風疹」インフルエンザとキャンパス感染症。115-1121,2009.
  4. 「選択的治療停止と終末期医療」鳴門教育大学研究紀要第24巻(2009.3)。
  5. 「鳴門教育大学の学生における部活動とスポーツ心臓」第38回中国四国保健管理研究集会報告書43-47,2008.
  6. 「The process behind the expression of mdr-1/P-gp and mrp/MRP in human leukemia/lymphoma」Anticancer Research(accepted in Feb. 2009)
  7. 「Identification of tumor-initiating cells in malignant rhabdoid tumor of the kidney and associated metastatic potential」 Human Cancer Research(accepted in Jan. 2009).

2-3.大学運営

(1)目標・計画

  • 学校医として,学生の心身の健康の増進に関する指導を行なう
  • 産業医として,学内の労働安全衛生環境の確保に貢献し,学生と職員の健康の維持と増進の活動を展開する。
  • 所属する委員会の委員として大学の運営に貢献する。
  • 大学の諸活動において救護担当者として参加できる。

(2)点検・評価

  • 学校医として,法律に基づいて,学生の心身の健康の増進に関する指導を行った。
  • 産業医として,法律に基づいて,学内の労働安全衛生環境の確保に貢献し,学生と職員の健康の維持と増進の活動を展開した。
  • 所属する委員会の委員として大学の運営に貢献した。
  • 大学の諸活動において救護担当者として参加した。

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

  • 附属学校の職員に対する定期健康診断,特殊健康診断および肝炎感染防止事業などを通じて,健康面での支援を行う。
  • 外国人学生の本学での医療と健康面での指導を通じて,勉学と研究を側面から支援し,国際交流に貢献する。

(2)点検・評価

  • 附属学校の職員に対する定期健康診断,特殊健康診断および肝炎感染防止事業などを通じて,健康面での支援を行った。
  • 外国人学生数は以前より減少しているが,外国人学生の本学での医療と健康面での指導を通じて,勉学と研究を側面から支援し,国際交流に貢献した。

3.本学への総合的貢献(特記事項)

  全国大学保健管理施設協議会が発行する学生の健康に関するガイドブック2009「インフルエンザとキャンパス感染症」は全国の大学生および保健管理センターが利用している。このなかで,私は「ムンプス」と「風疹」について,我が国および世界の現況について解説し,鳴門教育大学の名前が全国に広まるように努めた。

最終更新日:2010年03月15日

お問い合わせ

経営企画戦略課
企画・評価チーム
電話:088-687-6012