自己点検・評価報告書(現代教育課題総合コース) 藤村裕一

報告者 藤村裕一

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての研究活動

(1)目標・計画

  本年度は,校務情報化について,国内外の先進事例調査,文部科学省・総務省・経済産業省の協力を得ての実証実験などを基に,現状と課題・今後のあり方を明らかにすると共に,教育CIO,ICT支援員,学校情報セキュリティなどの,校務情報化を推進するために必要な諸要素についての研究も深め,論文執筆・学会発表等を行う。

(2)点検・評価

  校務情報化について,連合王国,韓国,アメリカ合衆国と,上越市・仙台市・倉敷市などで政府調査団代表として現地調査を行い,現状と課題・今後の在り方,教育CIO,ICT支援員,学校情報セキュリティなどの具体的方策について研究を深めた。また,インドネシア共和国・ジャカルタで開催された Government Leaders Forum,アメリカ合衆国・シアトルで開催されたSchool of the Future World Summit 2008などの国際シンポジウムをはじめ,日本教育工学会などでの論文発表,学会発表,招待講演を数多く行い,「学校情報セキュリティ対策支援ソフト」も開発して,各都道府県教育委員会,市教育委員会で導入された。

1-2.教育大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

  1. 情報教育に関する授業において,ICT関連の最新動向,連合王国や韓国における調査・研究内容,全国の学校現場における情報教育・教育の情報化の動向を授業に反映させ内容改善を図る。
  2. 科学技術振興機構やNHK等からゲストティーチャーを招いてより説得力・迫力のある授業にるとともに,問題解決型の授業を増やし,学生・院生の積極的参加を促す。
  3. 到達度評価を実施し,そのための評価規準を明確にする。

(2)点検・評価

  1. 学部の「基礎情報教育」及び大学院の「現代社会と情報・思考・コミュニケーション」などの授業で,最新の情報教育・教育の情報化の動向を紹介すると共に,アメリカ合衆国シアトルとインドネシア共和国ジャカルタから,テレビ会議システムを活用して生中継遠隔授業を行うなど,臨場感のある授業を行った。
  2. 平成20年度は,上記授業ほか各授業で,科学技術振興機構,NHK,全国地域情報化推進協会,NTT 東日本,NEC,富士通の各本社・本部からゲストティーチャーを招聘し,学生との対話場面も設定すると共に,愛媛県の小学校教員による模擬授業も行って,説得力・迫力のある授業を行った。
      また,学生主体の問題解決型の授業を数多く行い,学生の積極的参加を促して,高い評価を得た。
      さらに,総合演習では,日本航空,大塚国際美術館,ホテルGranXIV等々の協力を得て,職業体験を含む,貴重な経験・学習の場を学生たちに提供し,学生たちから「一生忘れない授業」との評価を得た。
  3. 基礎情報教育などの授業において,学生に評価基準をプリントを配布して明示し,それに基づいた到達度評価を行った。その結果,学生の積極的努力を促し,具体的知識・能力の向上が見られた。

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

  • 現代教育課題総合コースの他の教員と連携し,これまでの教員採用試験担当経験を生かして,大学院生の教員採用試験対策講座を実施する。
  • 総合学習開発コースの学生に対してだけでなく,全学部生・大学院生を対象に,パソコン利用相談,メンテナンスを行って,学生の研究活動を支援する。

(2)点検・評価

  • 現代教育課題総合コースの小西教授・近森教授らと連携し,本コースの院生を対象に教員採用試験対策講座を実施した。
    また,2次試験対策については,教員採用試験担当経験を生かして,休日である土日にも学生の要望に応じて行い,指導した院生全員を合格させた。
  • 全コースの学生・院生を対象に,パソコン利用相談,パソコン修理等を随時行い,学生・院生・教員から頻繁に利用されている。

2-2.研究

(1)目標・計画

  • 教育用デジタルコンテンツに関する研究を深化し,その成果を科学技術振興機構の「理科ねっとわーく」やNHKデジタル教材に反映させる。
  • 国内外の校務情報化先進事例の調査を行い,校務情報化,教育CIO,ICT支援員,学校情報セキュリティのモデルを提言するとともに,実証実験を行ってその可能性と課題を明確にする。
  • 情報学に基づく「人間教育としての情報教育」の在り方について調査・研究を進め,実証実験を行う。

(2)点検・評価

  • 教育用デジタルコンテンツに関する研究を深化し,その成果を科学技術振興機構の「理科ねっとわーく」のインターフェイス開発,新教材開発等に反映させた。また,NHKでは,環境教育番組「ど~する地球のあした」のホームページ設計及び電子掲示板の運用を行い,具体的な実践を通して,参加型Wisdom  Baseの研究を進めた。さらにNHKアーカイブスと共同で教材DVDを開発し,ガイドブックも作成した。
  • 校務情報化の先進事例調査,民間企業の先端技術調査を行い,校務情報化,教育CIO,ICT支援員,学校情報セキュリティのモデルを APPLIC,JAPET,文部科学省の報告書等を通して提言するとともに,実証実験を行ってその可能性と課題を検証した。また,校務情報化のモデルを SEIUS(School Educational Information Utilizing System)としてまとめると共に,指導要録等校務文書の全国標準化案を,文部科学省・総務省と連携し,発表した。学校情報セキュリティに関しては,学校教育DSS(Data Security Standard)を,アメリカ合衆国の民間企業用PCI-DSSを参考に開発し,発表した。
  • 情報学に基づく「人間教育としての情報教育」の在り方について,米子市立福米西小学校において実証実験を行い,10月に成果発表会を行うとともに,2つの雑誌でその成果を発表した。また,これまでの全国各地の学校における実証と,藤村の理論を『情報教育マイスター入門』として著書にまとめ,情報教育研修会のテキストとして利用できるようにした。

2-3.大学運営

(1)目標・計画

  大学院における遠隔教育の在り方について実証実験を行うとともに,積極的に広報活動を行い,正式発足・科目等履修生募集へ向けての準備作業に寄与する。

(2)点検・評価

  遠隔教育推進室長として,北海道から沖縄まで全国各地で広報活動を行い,北海道4名,東京都1名, 鳥取県2名,徳島県2名,福岡県1名,宮崎県5名,沖縄県1名,計16名の科目等履修生を得て,遠隔 教育大学院の授業を正式発足させた。これによって,遠隔教育授業のノウハウを蓄積すると共に,16名の科目等履修生が指導主事や研究団体事務局長等であることから,平成21年度後期からの履修生 増員へ向けた広報支援体制も整えられた。
  また,カリフォルニア大学バークレイ校等でも採用している遠隔教育履修生に対するアドバイザー・相談者である「メンター」として,16名の科目等履修生を育てることができ,履修生増員へ向けた学生支援体制も整えることができた。宮崎市と札幌市でのスクーリングも行い,その際の評判から,北海道,仙台市,宮崎県等,各地の教育委員会から,21年度後期からの大量派遣についての打診も来ている。
  11月8日には,総務省の全国イベント「ICT未来フェスタ」において,本学遠隔教育大学院の授業を公開し,新聞等でも報道され,さらなる広報を図ることができた。

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

  • 文部科学省,総務省,経済産業省,NHK,JSTの各種委員として,研究成果を社会に還元する。
  • 徳島県教育委員会と共同でデジタルコンテンツの活用,情報モラルについての研修会を行う。
  • 徳島県スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール運営し同委員会委員を務め,ICTを活用した英語教育について助言する。
  • 徳島県立名西高等学校学校評議委員を務め,学校改善に寄与する。
  • ゼミ生を引率して韓国を訪問し,韓国の大学生と交流する機会を設定した。

(2)点検・評価

  • 文部科学省,総務省,経済産業省,NHK,JSTの各種委員として活動し,政府の政策や予算案にも取り入れられ,研究成果を社会に還元することができた
  • 8月に徳島県教育委員会と共同でデジタルコンテンツの活用,情報モラルについての研修会を行った。
  • 徳島県スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール運営し同委員会委員を務め,ICTを活用した英語教育について助言した。
  • 徳島県立名西高等学校学校評議委員を務め,学校改善に寄与した。
  • 徳島県立盲学校で情報セキュリティ研修会を行ったり,NHK徳島局と協力して情報モラル教育特集を組んでもらったりして,地域の情報セキュリティ・情報モラルの向上に寄与した。

3.本学への総合的貢献(特記事項)

  従来,「校務情報化・学校情報セキュリティ研究は鳴門教育大学」との評価を学会・政府・民間企業などから得て,本学のブランド化に寄与したが,国際シンポジウムで政府代表として研究発表を複数行ったり,政府調査団代表として文部科学省審議官らを引率したりして,「校務情報化・学校情報セキュリティ研究は鳴門教育大学」との評価を国際的にも広げ,海外からの各種共同研究依頼も来るようになって,本学の国際ブランド化にも寄与した。
  また,遠隔教育推進室長として,「現職教員向け遠隔教育大学院は鳴門」とのブランド化をさらに図ると共に,授業実践と将来構想の構築,広報活動を行い,平成21年度後期からの科目等履修生の大幅増員へ向けての活動を行い,本学の将来的な定員確保へ向けた活動に寄与することができた。
  研究資金確保については,校務情報化等の研究に必要な藤村分の研究経費約2000万円(事業経費全体だと数億円)は,すべて政府とコンピュータ教育開発センターなどの政府系財団法人,NHK,民間企業等から得て(資金管理は政府系財団法人),本学の研究費への負担を少なくした。

最終更新日:2010年03月29日

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