自己点検・評価報告書(幼年発達支援コース) 橋川喜美代

報告者 橋川喜美代

1.学長の定める重点目標

1-1.大学教員としての研究活動

(1)目標・計画
  1. 科学研究費補助金を受けた「ペスタロッチ・フレーベル・ハウスの保育・教育思想とアメリカへの導入」は2年目に入り,ドイツとアメリカでの資料調査を行う。昨年,ドイツで収集した資料を整理し,学会発表ならびに研究論文にまとめる。
  2. 昨年度の学内プロジェクト2つを「大学教員の職業性ストレス構造に関する研究」「『保育実践力』尺度作成に関する研究」として,学会発表ならびに研究論文としてまとめる。
  3. 平成16年度から継続して研究を重ねてきた『こだわりに寄り添う保育』をまとめ,フレーベル館から出版する。
(2)点検・評価
  1. アメリカでの資料調査が図書館の改築によって実現できなかったが,ドイツでの資料調査によって新たな事実が明確となった。また,ドイツ人幼稚園指導者マーウェデルの保育実践がアメリカ人幼稚園運動家ウィギンに及ぼした影響を大学紀要にまとめた。
  2. 「大学教員の職業性ストレス構造に関する研究」は『鳴門教育大学学校教育研究紀要』第22号にまとめ,「『保育実践力』尺度作成に関する研究」は日本保育学会において共同発表した。
  3. 共同研究者による『こだわりに寄り添う保育』の執筆と出版を援助した。

1-2.教育大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

保育・教育実践力を身に付ける観点から,以下のように授業内容・方法の改善を目指していく。

  1. 授業内容:理論と実践を結びつけることに留意しながら,歴史的な先人たちの実践例や,海外の保育・教育実践を紹介し,保育実践の動向を明確に位置づける。
  2. 授業方法:保育所や幼稚園での観察実習を取り入れ,その成果をグループ発表する。こうした取組みによって,乳幼児の観察力・乳幼児理解の育成,ならびにコミュニケーション能力の育成を図る。
  3. 成績評価:グループ発表を相互に評価することで,共同作業による学びを高める。

既に,2は取り組んでいるので,1と3の改善に力を注ぎたい。

(2)点検・評価

1~3の改善方法を学部ならびに大学院授業において努めてきた。特に,今年度は昼夜開講制の現職保育士に対する授業において,1~3の実績を上げることが出来たと考えている。学部では,2と3の効力がグループのリーダーの力に大きく左右された印象を持った。グループの共通理解と協働性を高める工夫が次年度の課題として残されたものの,その方向性は明確となった。

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

教育・研究の支援充実に加え,学生・院生が直面する生活面での支援も積極的に行う。

  1. 昨年の昼夜開講制大学院2名の指導では,論文指導の時間を確保することが困難であった。また,昼間の職務や人間関係などの疲れで,体調を崩したり,精神的ストレスを抱えたりする場面も見られたことから,指導生の研究・生活面にさらなる配慮を心がけていきたい。
  2. 学部学生と院生の学業・ゼミ指導の充実に加え,進路や悩みに関わる相談などに対応し,必要な場合は心理相談などの指導教員との相談体制をさらに整えていきたい。
(2)点検・評価

昼夜開講制大学院生3名の指導では,仕事の疲れや生活面を配慮した研究時間を設定し,精神面のケアにも努めており,院生たちの授業評価も高かった。
留年している学生の数が増え,抱えている問題も多様であることから,対応に苦慮する事態に直面することも多かった。自らが焦ることで余裕を無くし,混乱することもあったが,いろいろな方法を講じることで,わずかとはいえ支援する方向性も見え始めてきた。

2-2.研究

(1)目標・計画
  1. 従前から継続してきた保育形態論の歴史的研究をカリキュラムの観点から再考し,研究成果として発表する。
  2. 海外の乳幼児の保育実践研究を積極的に受け入れ,実践に移す研究を進める。
  3. 修了生達が学会発表をする予定になっており、現場の幼稚園教諭あるいは保育士に戻った後も,修士論文をまとめて学会発表をしたり,研究論文に仕上げられるよう共同研究を進める。
(2)点検・評価
  1. エマ・マーウェデルの幼稚園教員養成の実際とカリキュラムを手がかりに,「幼稚園教員の専門性としての共感」を本学研究紀要第24巻に掲載した。
  2. ニュージーランドの幼児教育課程である「テァリキ」の研究を進め,学部学生の「学びの実践記録から保育環境の改善を探る」と題した卒業研究に反映させた。
  3. 2人の修了生が日本保育学会に発表し,1人の論文は共同研究として全国誌への掲載を検討中である。

2-3.大学運営

(1)目標・計画
  1. 昨年に引き続き,学部教務委員として,コースが開講する授業の改善を図るとともに,幼稚園教員養成カリキュラムの在り方の検討を進める。
  2. 教育研究評議会の一員として,大学運営に努める。
(2)点検・評価
  1. 学部教務委員の副委員長として,委員会の運営に努めてきた。また,全国保育士養成協議会に理事として出席することで,幼稚園教員養成カリキュラムの授業科目の内容や科目の変更に係る情報をいち早く入手できたことなど,必要な役割を十分果たしたと考えている。
  2. 教育研究評議会に同席することで,評議員が大学と教育部の運営に果たすべき役割が認識できるようになった。評議会の会議内容から教育部に報告する内容をまとめ上げ,大学の運営状況を説明するということは想像以上に骨の折れる仕事であった。

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画
  1. 鳴門市の1歳6ヶ月健診の検査員として,発達健診事業の質的充実を図る。
  2. 徳島県幼稚園教育推進連絡協議会委員として,徳島県幼稚園教育の振興に資するとともに,「幼児教育の振興に関する政策プログラム(仮称)」の策定に関わる。
(2)点検・評価
  1. 発達健診事業は,改良した点も含め,順調に進んでいる。1歳6ヶ月健診と3歳児健診との検査結果を見ながら,改善策を講じることで,事業の質的向上も進んでいる。
  2. 「徳島県幼児教育振興アクションプラン」策定の調査研究委員会,ならびに検討会議の会長として「幼児教育振興アクションプラン」の全過程にかかわり,本県の幼児教育の現状を学ぶとともに,振興・充実に対する発言を行った。平成15年6月に策定された「徳島県幼稚園教育振興プラン」に続く策定作業であり,前回以上に県内の幼稚園教育への思いを盛り込むことが出来た。

3.本学への総合的貢献(特記事項)

今年度は学部教務委員会の副委員長が兼ねる委員会や,教育研究評議会といった学内の新しい業務に加え,全国保育士養成協議会の理事,教育委員会や文部科学省からの兼業などの外の仕事も増えた。かつ,昼間の学生・院生達の授業・論文指導に加え,昼夜開講制の院生らの授業と修論指導は精神的かつ肉体的に,ハードであった。休学や留年で卒業の遅れた学生に対する支援は次年度に持ち越される課題ではあるが,十分に本学に貢献したと考えている。

 

最終更新日:2010年02月15日

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