自己点検・評価報告書(学校・学級経営コース) 岩永定
報告者 岩永定
1.学長の定める重点目標
1-1.大学教員としての研究活動
(1)目標・計画
- 全体構想としては,各地域の条件を加味した「地域教育システム」の構想及びその実現にある。特定の学校と協力関係を結び,継続して子どもの学習意欲・規範意識・自己肯定意識などを高めるプログラムを開発したい。
- 現時点では,その基礎となるデータを蓄積することが課題であり,これまで企画・実施・分析をしてきた保護者・教員の意識をベースとして,学校と家庭・地域の連携の有効性を実証することである。
(2)点検・評価
- コミュニティ・スクールを目指して「学校運営協議会」を設置している学校に対して実施した質問紙調査と収集した教育委員会規則をもとに,日本教育経営学会第48回大会において成果を発表した。
- 先導的に「学校運営協議会」を設置している京都市,岡山市,出雲市の教育委員会を訪問し,取り組みの背景,学校の活動内容,今後の方針等についてインタビュー調査を実施した。
- 上記3市の小学校の校長に対して,学校の取り組み,活動内容,成果と課題等についてインタビュー調査を実施した。
1-2.教育大学教員としての授業実践
(1)目標・計画
- これまで実践してきた「小テスト」方式に対する学生の反応が鈍くなっているが,妥協することなく,教育法規に関する徹底した知識の獲得を目指す。具体的には,4年生は予習テストを,3年生は復習テストを徹底し,最終試験はレポートではなく問題形式(150問程度)で行い,教採に必要な知識の獲得をめざす。
- 学習への動機づけとして,法的観点が希薄な教員(学校)において,いかに子どもの人権侵害が起こりやすいのかを授業の冒頭で実感させるとともに,国民の大学生に対する期待の大きさを(学生一人当たりの税金投入等)を理解させる。
(2)点検・評価
- 教員採用試験が間近な4年生でも,予習テストでは多くの学生が解答できずにいたために,途中から復習テストに切り替え,知識獲得の徹底を図った。最終テスト(136問)では多くの学生が100問を超えて正答していたが,3年の一部に5割ぐらいしか正答できない学生おり,課題を残した。
- 授業開始時に,国立大学の学生一人当たりにつき年間100万円以上の税金が投入されていること,授業料だけで大学が成立しているわけではないこと,受講生との競争に敗れて就職した他者の税金の一部でこの授業が成り立っていることを話した結果,一定の動機づけにはなった。私語は皆無である。
2.分野別
2-1.教育・学生生活支援
(1)目標・計画
- 旧カリキュラムの院生に対して,定期的にゼミを持ち,修士論文の作成と教員採用の両立のために助言,指導する。
- 教職大学院の学生に対して,可能な限り,その要望に応えるような授業展開を行いたい。
- これまで継続している大学院生(長期履修を含む)の教員採用のための学習会を,毎週1回実施する。
- 指導学生の生活状況を把握するとともに,問題があれば早急に対応し,学業に専念できる環境を整えたい。
(2)点検・評価
- 指導院生は,旧課程の修士2年が2名(現職1名),長期履修3年が1名であったが,3名とも充実した修士論文を仕上げ無事に修了した。学卒の2名は教員採用で正規合格を果たした。
- 教職大学院の授業では,授業開始時に院生の希望を書いてもらい,可能な限り事例を多く取り上げた。 また,授業ではTTや,シミュレーション,グループワーク等を取り入れたが,到達目標をもう少し具体的なものにする必要を感じた。
- 実習の主担当の院生は2名となり,各置籍校の課題をさらに掘り下げて分析し,解決のためのプログラムを置籍校に導入する手はずを整えた。1名は既に2月段階でプログラムを導入し,校長から評価されている。
- 教採の学習会は予定通り進めた。直前には45回ほど,毎日1時間程度,数学と理科の問題を解いた。
2-2.研究
(1)目標・計画
- 科学研究費補助金が採択されたので,1年目の文献検討をもとに考えた全体構想の一部である調査を分析し,6月の日本教育経営学会において発表する。
- 科学研究費基盤研究(B)の分担者として,最終年度であるので,報告書に分担執筆する。
- 日本教育行政学会が企画している「教育ガバナンス」に関する文献の分担執筆を行う。
(2)点検・評価
- 予定通り,日本教育経営学会において研究発表を行った。
- 科研の分担者として,研究会に参加するとともに,自分の研究に基づいて話題提供を要請され行った。
- 予定していた「教育ガバナンス」に関する文献の分担執筆は時間の関係上できなかったが,「学校と家庭・地域の関係」に関するテーマで,38の用語を選び解説を加えた(18頁)。
2-3.大学運営
(1)目標・計画
- 与えられた委員の役を的確に遂行し,教育部会議等の活性化に寄与したい。
- 可能な場で,大学全体の定員充足,長期履修生を含めた就職率の向上など大学改革について発言していきたい。
(2)点検・評価
- 教育部会ではできるだけ丁寧な報告と討論を心がけているが,参加率という点では課題を残している。
- 教員免許状更新講習では,「必修領域」についてほぼ全面的に企画を担当した。 また,日本教育大学協会の四国地区集会で,免許更新講習に関する話題提供を行った。
- 日々の作業に追われ,大学改革に関して積極的な提言を行うには至っていない。
2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等
(1)目標・計画
- 日本教育学会の理事に選出されたので,同会の発展に可能な限り協力したい。
- 講演依頼等には積極的に応じ,大学の広報に役立てたい。
- この間継続しているいくつかの県の事務職員研究会との交流を,今後も維持・発展させたい。
- 教育実践研究がなくなるので,教育研究支援プロジェクトに応募し,徳島県の公立小中学校事務職員研究会とともに取り組み,学校経営改善の一助としたい。
(2)点検・評価
- 『教育学研究』(日本教育学会発行)74巻で書評を担当した。また,理事会で役員選挙に関して意見を述べた。
- 日本教師教育学会の理事・編集委員に選ばれ,掲載論文の査読を行った。
- 文部科学省主催の「コミュニティスクール推進事業」において,分科会のコーディネーターを務めた。
- 教育研究支援プロジェクトに採用され,事務職員研究会のメンバーと共同研究会を持つとともに徳島県の教員・事務職員に対して質問紙調査を実施した。
- 県総合教育センターの依頼により,西部地区PTA研修会の講師を務めた。
3.本学への総合的貢献(特記事項)
教員採用対策については,引き受けたゼミ学生への責任と考え,自前で問題を作成しほぼ毎週,学習会を開催してきた。ここ3年間は,指導した学生・院生は100%(7/7)正規合格を勝ち取ってきている。
教採学習会については,教職キャリア開発オフィス長と事務担当に依頼され,その現物を提示しながら進め方を説明し,その後のオフィスの取り組みに役に立ったと考えている。
最終更新日:2010年02月15日