自己点検・評価報告書(松井敦典)

報告者 松井 敦典

1.学長の定める重点目標

1-1.教育大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

  1. 授業内容について、受講者自ら情報収集し、学び、討議することに適した題材を選択する。
  2. 授業方法について学習の手段としての環境(IT環境等)を構築させ、それを利用した情報交換を授業の必須とする。
  3. 成績評価について、学生の発議や発表、それを題材にしたディベートを重視し、その過程や成果を受講生自身あるいは受講生相互が評価する余地を含める。

以上を実行することにより、学生が主体となった授業展開と成績評価のスタイルを構築する。

 

(2)点検・評価

  1. 講義の形式について、情報提供はプレゼンテーションソフトなどを活用してなるべくシンプルなかたちで短時間に行い、受講生が発話・討議する時間をつくった。これに伴い、授業内容の一部をより実践的な教材に変更した。
  2. ほとんど授業において、受講生に電子文書としての課題作成と電子メールによる提出を求めた。また、その課題の解決策として、ネット環境を利用した資料収集に導くような示唆を与え、またその方法の実例を紹介した。
  3. 受講生に予め説明した上で、受講生相互によるプレゼンテーションの評価や受講生自身による「自己評価」項目を加え、授業に対する意欲を高めようとした。

以上のことなどにより、一方的な知識提供スタイルから受講生が自ら気づき学ぶスタイルへと変えようと努力した。未だ不十分な点も多いが、この姿勢を継続していこうと考えている。

 

1-2.大学教員としての社会(地域)貢献

(1)目標・計画

以下の立場と方法により、社会貢献を実施する。

  1. スポーツ科学の専門家として、徳島県体育協会と連携をとりながら、各種競技の普及や強化におけるバイオメカニクスの方法と実践について、各種セミナーや講習回答を利用して啓蒙していく。
  2. 体育実技指導の専門家として、徳島県教育委員会と連携をとりながら、学校教育における実技指導の方法について啓蒙していく。また、例年主催している「学校水泳研究会」において、学校水泳の指導法等について啓蒙していく。
  3. 水泳競技の専門家として、徳島県水泳連盟、日本水泳連盟と連携をとりながら、競技の普及と強化に貢献する。

 

(2)点検・評価

  1. 徳島県体育協会スポーツ医科学委員会委員として、各種スポーツ競技を支援する事業を担当した。砲丸投げ・走り幅跳び・ピッチング(ソフトボール)の動作画像解析を行い、協会にフィードバックした。ビクトリーサミットの企画運営を担当し、スポーツ科学の啓蒙に務めた。国民体育大会  徳島県選手団役員として各競技をスポーツ科学者の立場から観察評価し、その結果を県体協にフィードバックした。
  2. 体育実技指導の専門家として、徳島市教育委員会と連携をとりながら、学校教育における実技指導の方法について啓蒙した。また、「第7回学校水泳研究会」を主催し、本年は特に水泳プールの維持と安全管理に関する情報提供を行った。
  3. 徳島県水泳連盟、日本水泳連盟と連携をとりながら、選手の意識調査とビデオ撮影による動作分析に着手し、競技の普及と強化に貢献した。

 

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

  • 研究室ゼミを定時に開催し、学生の課題を探るとともに、問題解決の方策について学ぶ。
  • 学生には授業等では賄いきれないIT技術や情報リテラシーの獲得を促すための学習も行わせ、その成果を確認しながら次なる課題を与えていく。
  • 動作分析システムを発展させ、学生が自らのパソコンで手軽に実行できるようなシステムの開発を目指す。これにより、個人レベルで課題を柔軟に設定し、自由に技術分析を実施できる学習・研究環境を整備する。

 

(2)点検・評価

  • 3人の学生(M1,L1,U4)の研究指導を担当し、それぞれの課題とペースに合わせながらゼミ活動を展開した。特に、得難い情報に触れる機会を確保すると共に研究学習への意欲を高めるため、大学外で実施される各種プログラムに引率したり派遣したりした。これにより、特に大学院生に意欲的で自立的な学習スタイル・生活スタイルがみられるようになり、地域社会に貢献する活動に自ら発案して取り組むような事例が見られた。
  • 動作分析システムは、導入してから2年が経ち、ようやくその利用法に慣れて、授業・学部生院生の研究にも活用されるようになってきた。また、授業「スポーツ・バイオメカニクス演習」でも受講生全員にビデオによる動作分析を課し、実践学習させた。学生らの自発的・自主的な利用が今後の研究活動の展開を加速するものと期待している。

 

2-2.研究

(1)目標・計画

  • 手軽に利用できる安価な動作分析システムを構築することにより、各種スポーツの動作分析の事例を増加させ、データを蓄積する。
  • スポーツの指導や競技力向上に貢献できる研究支援体制を構築し、徳島県体育協会や各競技団体に対する科学的・技術的サポートを実施する。
  • 徳島県内の水泳の指導に関する歴史資料に関する研究(科研申請中)を進め、教材としての水泳の価値やその方法の見直し作業を進める。

 

(2)点検・評価

  動作分析システムは、導入してから2年が経ち、ようやくその利用法に慣れて、授業・学部生院生にも活用されるようになってきた。研究室として分析処理能力が向上したため、徳島県体育協会や各競技団体からの技術分析の依頼に応え得る環境が整いつつある。手始めに水泳のスタート動作分析や水球投動作の分析等に着手した。 また、科学研究費補助金「水泳教育に活かす阿波泳法の復元」(基盤研究C)に研究費の配分が認められ、県内の水泳指導の歴史的資料の収集に着手した。国会図書館で歴史資料を探り、熊本・鹿児島・和歌山・愛媛の古式泳法資料を収集し、阿南市椿泊や伊島の水辺活動についての証言を得る等、3カ年研究の1年目の計画を全うした。

 

2-3.大学運営

(1)目標・計画

  • 保健体育講座の教官定員の削減に対応するため、少人数で機能できる講座システム作りのために協力する。
  • 旧来行って来た業務のIT化をさらに押し進め、事務手続等の簡素化に貢献する。
  • 各種委員等、与えられた任務及び責務を全うする。
  • 体育施設の保守・点検に協力する。学生生活支援室、学生生活係と連携しながら、授業や課外活動等が円滑に行われる環境整備に留意する。

 

(2)点検・評価

  • 2名あった助手定員が削減され、従来助手が担っていた諸業務が講座の各教員に分散したが、大過無く講座運営が実施できた。これは、本講座が過去20年程にわたって情報伝達・コミュニケーションのIT化・ネットワーク化にいち早く着手し、それを講座業務に活用してきたことによるところが大きい。講座内IT委員会担当者として、今後も講座システムの維持管理に務めたい。
  • 大学院教務委員会委員を担当するとともに、保健体育コース大学院生の教務的な指導を実施した。また、諸体育施設、特にプールと艇庫廻りの維持管理を担当した。プールの安全管理に関しては、社会的に注目された年でもあり、特に慎重に取り扱った。

 

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

  • 附属学校における教育支援(授業補助、LFT担当等)を実施する。学部授業である「運動方法実習」において附属学校での実技指導研修を義務づける等により、学生が教育実習では不可能な種目の指導研修の機会を確保する。
  • 教育アドバイザー、徳島県教育委員会実技指導補助者派遣事業、徳島県体育協会(医科学委員会および各種セミナー)等、社会貢献できる各種行事に積極的に参加することにより、地域社会に貢献するとともに鳴門教育大学をアピールする。 また、その際に本学大学院の紹介を実施 し、受験生の確保と増員を図る。

 

(2)点検・評価

  • 附属中学校「第51回中学校教育研究発表会」の助言者及び紀要執筆を担当した。また、「運動方法実習IV」と附属中学校水泳授業を連携させ、受講生に中学生の水泳指導を課し、実技指導実習の機会を確保すると共に附属中学校との連携を築いた。(附属学校)
  • 学内で実施された附属幼稚園のペアレンツセミナーでカヌーの指導に当たった。(附属学校)
  • 教育アドバイザーとして徳島市立川内北小学校にて着衣泳授業を実施した。(社会連携)
  • 徳島市学校体育活性化校内研修講師派遣事業の講師として、5校の小学校で実技授業を実施した。(社会連携)
  • 徳島県体育協会スポーツ医科学委員として競技サポート事業や各種セミナーに参画すると共に「Vサミット」を企画運営し、スポーツ医科学を啓蒙した。また、国体本部役員として各競技を視察し、徳島県の競技力の現状と課題を把握し、報告した。(社会連携)
  • 日本水泳連盟の水球審判審査委員として、競技会における審判審査を実施した。また上級水泳競技役員として各種競技会の運営を担当した。(社会連携)
  • 徳島県水泳連盟の常務理事として、連盟の運営に関わった。(社会連携)

上記活動に伴う出張等の際には大学院入学案内等資料を携行・配布し、学部及び大学院の広報活動を実施した。

 

3.本学への総合的貢献(特記事項)

  開学以来、徳島県の行政体等(教育委員会、体育協会)と本学の体育分野とのパイプはさほど太くはなかったが、ここ数年の実績により、多くの機会で関与できるようになってきた。今後、教育機関としての影響力を発揮するための素地が構築されつつある。また、各種研究会やセミナー、競技団体等での活動をきっかけとして、県内の体育や競技スポーツに関わる市町村、NGO、民間団体から連携や協力要請を受け、それらの活動に関わるようになってきた。さらに報道各機関やテレビ番組制作会社・出版社等の取材や協力要請を受けた。これらは、本学が立地する地域でその存在価値を高め、地域に貢献する大学としての責務を果たすことの一翼を担っていると自負している。

最終更新日:2009年03月18日

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