自己点検・評価報告書 (芸術系(美術)教育講座) 橋本泰幸

報告者 橋本泰幸

1.学長の定める重点目標

1-1.教育大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

  「美術を教えることの意味」を確実に理解する授業を構築する。内容は,今日の造形文化あるいは視覚文化の状況,美術,子ども(人間),この三者の関係から美術教育の意義を考えるものとする。授業の方法は,視覚情報,美術館,学校現場を活用した,学生による調査,研究,発表,討議を中心に行う。人間にとっての美術の意味を解明すると共に,学生の積極性と,研究する態度を養い,結果として,教師としての実践力を養う授業となると考える。

(2)点検・評価

  担当授業,美術科教育学研究(大学院),美術科教育研究法演習(大学院),美術科教育論(学部)ともに,目標とした内容を計画どおりに実施し,美術教育の理念や方法の理解に導いたと考える。授業では講義と共にビデオテープなどの視覚情報の使用,附属校研究会への参加,大塚国際美術館訪問を行い,それらにもとづく研究発表,討議を加えたことで,活気とともにより深い理解に至ったと考えられる。
  ただ,学外での研究については昨年同様,学生らの時間調整に困難を極めた。授業参観,美術館での研究が必要と考えても,十分に行えないもどかしさが残る。今後も授業時間外での活動をせざるを得ないが,出来れば大学らしく余裕を持って研究する時間が持てるように,カリキュラムの見直しも必要であろう。

1-2.大学教員としての社会(地域)貢献

(1)目標・計画

  大塚国際美術館をはじめとする地域文化財を教育的資源とし,その活用を通して地域との連携を促進する。

(2)点検・評価

  地域文化財を教育的資源としてその活用考える「地域文化財教育活用プロジェクト」は4年目を迎えた。大塚国際美術館を活用した授業,特に鑑賞を主とするものは,昨年までの積み重ねもあり,充実したものとなった。また,プロジェクトが行う子どものためのワークショップ「Nキャップ」に参加する子どもを通して,地域の小・中学校との連携も深まるなど,総体にいい結果を得た。

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

  美術館研究,授業参観などの引率を含め,学生の課外活動などに積極的に参加する。

(2)点検・評価

  学生が行う親睦会などへ積極的に参加した。また,学生の希望による武道の指導は好評を得た。

2-2.研究

(1)目標・計画

  「視覚教育としての美術教育」研究を継続する。

(2)点検・評価

  平成19年3月,金沢大学での美術科教育学会で,「視覚世界と美術教育」を発表した。この発表では約150年前,欧米で起きたジャポニズムと,やはり,欧米を中心に最近起きたジャパニメーションを考察することで,今日の視覚文化の有り様を明らかにした。
  また,本年度末に発刊された,美術科教育学会の学会誌「美術教育学29号」に「視覚の再考」,本学研究紀要第23巻に「視覚情報化時代の美術教育」と題した論文を発表した。研究成果はいずれ「視覚教育としての美術教育」(仮題)としてまとめるものである。自らの評価としては予定通りである。

2-3.大学運営

(1)目標・計画

  学内,教科教育研究会の代表を務めていることからも,教科教育分野からの大学運営に協力していく。

(2)点検・評価

  本学が得た特色GP「教育実践の省察力を持つ教員養成」における「授業実践評価スタンダード」作成に関して,作成リーダーとして教科教育研究会を取りまとめるなど,代表として職務を果たした。これにより大学運営に協力できたと思う。

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

  従来からの附属幼稚園でのアート教室を続ける。美術を知ることの意味について,保護者と共に考える。それにより美術教育の真の理解者が広まると考える。

(2)点検・評価

  附属幼稚園で8年目,附属特別支援学校2年目になる保護者対象の陶芸の実技講習が,保護者と大学理解を呼び,附属との連携の一助になっていると考える。

3.本学への総合的貢献(特記事項)

  この数年継続的に行ってきた,美術理解に導く子どものためのワークショップ「NCAP」を含めた,学長裁量経費による「地域文化財教育活用プロジェクト」を推進した。この活動は大学と地域との結びつきを強める一助となった。また平成12年から8年間1ヶ月に1回開いてきた附属幼稚園での保護者向けの「アート教室」,及び平成18年からの附属特別支援学校での「アート教室」は,保護者を美術理解に導くのみならず,大学と附属との連携を知る一助になっていると自負している。
  くわえて,本学が得た特色GP「教育実践の省察力を持つ教員養成」における「授業実践評価スタンダード」作成に関しては,作成のリーダーを務めるなど,微力ながら本学の運営に貢献できたと考える。
最終更新日:2010年02月17日

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