自己点検・評価報告書 (芸術系(音楽)教育講座) 村澤由利子

報告者 村澤由利子

1.学長の定める重点目標

1-1.教育大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

    • 所属学生の教員就職率の向上を目指すため、1年次からその自覚を持たせるよう学生の意識を高める。特に初等音楽Ⅰ、Ⅱ等の採用試験と深い関わりがある授業では、歌唱教材のピアノ伴奏を他の学生達の前で弾かせ、他の学生達を児童に見立てて、教材曲をその伴奏で歌わせることで、小学校現場での体験を味わえさせている。これらの授業において、ピアノ伴奏の大切さを認識させて採用試験の準備をさせる。
    • 必要に応じて、補習・補講等、進度の遅れている学生や、現職教員については、時間外に定期的に毎週コマを設けて、指導を行う。
  1. ピアノの授業においては、個人レッスンを基本とするが、クラス全員が同席し、他の学生の弾いている曲の内容や進度を、それぞれ全員が認識出来るようにする。また、他の学生達の前で弾くことが、人前で演奏することに慣れ、試験やコンサートの際の練習となる。
  2. 個人の能力に応じた評価をするのはもちろんであるが、むしろ、入学してからピアノの授業を受講するなかで、個人個人がどれだけ努力したか、その努力の結果を評価する。学生達には、初等音楽を含めたどの授業でも、普段の努力に対して評価することを、常に告げている。

(2)点検・評価

  1. 1年次から,教員採用試験を念頭に置いて,授業の中で教育大学の学生であることを自覚させ,常に採用試験に繋がる様に指導を行った。「初等音楽Ⅰ・Ⅱ」の授業では,音楽において初歩の学生がほとんどであるため,前年度までに作成した「初等教員養成のためのピアノ教則本」初級 第1巻・第2巻を使用し参考にしながら,歌唱教材のピアノ伴奏を指導した。学生達のアンケートでは,他の学生達の前で伴奏を弾かせて,他の学生達に教材曲を歌わせることは,学校現場での体験と,子供たちを前にしての指導の仕方が,良く理解できたと好評であった。
    • 現職教員や希望者については,定期的に時間を設けて,ピアノの指導を行った。大学院では,前期でピアノ実技の授業が終わるために,現職教員にとって,後期も実技の練習が必要とされるためである。
    • 「学校教材ピアノ伴奏法」の授業では,それぞれ学生に指揮,伴奏,合唱を味わえさせて,学校現場で役に立つ授業であったとアンケートは好評であった。中でも採用試験を受験する学生は、特別に指導した。
  2. 授業方法としては,これまでと同じように個人レッスンを基本としているが,クラス全員を同席させて,他の学生が弾いている曲の内容が理解できる様に,楽譜に書き込みやメモを取らせる様指導した。また,全員の前で演奏することで,音楽は特に人前で演奏することが重要であり,試験やコンサートに慣れる練習が必要とされるためである。
  3. 評価については,毎年同じように指導しているが,入学してから,個人個人がどれだけ努力して進歩したか,が1番大切であることを,絶えず授業の中で説明している。個人の能力や進度ももちろんであるが,むしろ普段の努力に対する評価を大切に考えている。

1-2.大学教員としての社会(地域)貢献

(1)目標・計画

  1. 自己の演奏活動を通して、演奏会を開催し、質の良い音楽を提供することにより、社会に対してアピールを行い、同時に貢献する。
  2. 卒業生・修了生や、在学生と共に、学内外でのコンサートの準備を支援し、また、地域の人々が大勢参加できるよう、そして大学と地域の人達との交流の場となるよう努める。

(2)点検・評価

  1. 「ポーランド・クラクフ室内管弦楽団と共に~声楽・ピアノの協演~」鳴門文化会館におけるコンサートで,音楽講座大学院生・修了生・研究生のピアノ協奏曲の指導を行い,また,その公演に向けて,全ての企画準備を行うなど,地域の人々に対して大学の活動をアピールした。
  2. コンクール審査員としては,全日本ピアノ指導者協会主催第31回ピティナ・ピアノコンペティションにおいて,木更津かずさアカデミアホール,栗東芸術文化会館,また,香川ジュニア音楽コンクール・香川音楽コンクール,ショパン国際ピアノコンクール・In ASIA四国予選,ヤマハヤングピアニスト推薦演奏会四国大会,徳島県音楽コンクール等に審査員として参加した。
  3. 平成19年度公開講座「楽しいピアノ演奏」修了コンサートにおいて,受講者と共に演奏し交流を深めた。
  4. 平成19年7月,駐日ドイツ大使とフランス大使より要請があり、両大使夫妻招待による夕食会に参加した。また,翌日のドイツ館における「来鳴時歓迎昼食会」にも,鳴門日独友好協会副会長として出席し,両大使夫妻および地域の人々と交流を深めた。
  5. 音楽コース主催による第3回「音楽の杜」開催について,同窓会の「潮音会」と連絡を取り学生や教員との準備会を設け,演奏・研究発表会の準備を行った。
  6. 日本教育大学協会全国音楽部門大学部会,第32回全国大会を徳島で開催した際には,講座の教員と協力して成功させた。

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

  1. 学生の進路・悩み等の相談に随時応じるとともに、将来教員になるための社会人として必要な、言葉遣いや、礼儀等を自然に身につけることが出来るよう、常に指導を心がける。特に挨拶がきちんとできるよう指導する。
  2. 19年度は、「西洋の文化研究」の授業を担当するが、その際に、学部生達の教養が高まるような工夫を行う。内容は、実際にピアノ演奏を加え、その場の臨場感を体験させ、芸術に興味を持ち、豊かな芸術性を育てられるよう、人格形成につながる指導をする。

(2)点検・評価

  1. 授業のなかでは,いつも礼儀や挨拶に気をつけて指導をしているが,特に「初等音楽Ⅰ・Ⅱ」においては,学生が将来教員になるための社会人として必要な言葉遣いや,挨拶の仕方が自然に身につくように,常に心がけて指導した。
  2. 「西洋の文化研究」を担当したが(オムニバスで3人の教員と担当),毎回授業に関連したピアノ演奏を行い,演奏会の臨場感を体験させた。レポートでも大変好評で,毎回ピアノ演奏を聴くのが楽しみと多くの学生が答えていた。また,オペラを鑑賞させたところ,ほとんどの学生が初めての体験で,驚きとともに大変興味を持ったようである。芸術に興味を持つことにより,豊かな芸術性が育ち人格形成につながると思う。
  3. 現職教員には,授業時間外に毎週定期的に時間をもうけ,ピアノ指導を行った。特に小学校現場では,大学時代に音楽を専門としていなかった現職教員にはピアノ伴奏は必要不可欠であり,それぞれ受講生は目標を定めて,熱心に受講した。
  4. 学内や学外の演奏会について,講座の学生達の支援を行い,特に指導学生が,学外でコンクールを受けたり,様々な演奏会に出演するための指導や支援を行った。関西のコンクールでは,良い成績を取った学生もいる。

2-2.研究

(1)目標・計画

  1. 研究テーマであるピアノ演奏法の研究を引き続き行い、演奏会で発表する。
  2. 「ドヴォルザークのピアノ五重奏曲」に関する考察を行い、大学の研究紀要に投稿する。
  3. 科学研究費補助金を、講座の教員と協力して引き続き申請する。

(2)点検・評価

  1. 2007年10月15日,ポーランド,ワルシャワ市においてワルシャワ・フィルハーモニー会館「室内楽ホール」で,ワルシャワ・フィルハーモニー・コンサートマスターであるツェギェレフスキー氏(ヴァイオリン),コズラック氏(チェロ)とともに,ベートーヴェン作曲「ピアノ三重奏曲」大公トリオ,を演奏した。
  2. ドヴォルザーク作曲「ピアノ五重奏曲 イ長調 作品81」に関する一考察  ―ドゥムカ,フリアントにおける民族性を視点として―  単著 『鳴門教育大学研究紀要 』第23巻 2008. 304-312,を執筆した。
  3. 平成20年度科学研究費補助金を,代表者として,音楽講座,実技センター及び高度情報研究教育センターの教員等13名と協力し,申請した。
    2007年10月16日,17日に,ブルガリア,ソフィア市において「ソフィア王立音楽アカデミー」を訪問し,Georgi・Kostov学長と懇談し,授業を参観したなかでピアノ指導法や演奏法について研究した。また、鳴門教育大学や、日本の音楽教育についても話し合いを持った。

2-3.大学運営

(1)目標・計画

  前年に引き続き、各種委員会の委員として本学の運営に貢献する。

(2)点検・評価

  1. 経営協議会委員,センター運営委員会委員,「第3回中日教師教育学術研究集会」準備委員の副委員長として,平成20年度に北京師範大学を訪問する準備を行っている。
  2. セクシャル・ハラスメント相談員も委嘱されている。

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

  1. 附属学校等の実地教育や、研究集会に学生とともに参加する。
  2. 公開講座「楽しいピアノ演奏」を現職教員及び一般社会人向けに開講する。
  3. 鳴門市より委嘱された委員会の委員として出席し、社会との連携に努める。
  4. 鳴門市・リューネブルク市姉妹都市友好協会副会長として、国際交流に努める。

(2)点検・評価

  1. 附属学校や協力校を訪問し,実地教育において指導学生や院生の助言指導を行った。
  2. 公開講座「楽しいピアノ演奏」を開講し,定員10名のところ17名が参加し,熱心な受講生が多く,個人レッスンのために時間が足りず,毎回2日に分けて行うほど盛会であった。
  3. 鳴門市から委嘱された委員会に出席し,下水道事業受益者負担金審議委員,鳴門市文化の町づくり審議会委員として社会との連携に努めた。
  4. 鳴門市・リューネブルク市姉妹都市運営委員会委員として,また,鳴門日独友好協会副会長として,友好協会会員によるコーラスグループを指導し,ドイツ・リューネブルク市を訪問し,ドイツの独日協会会員による合唱団との合同で,合唱指揮を行うなど国際交流に努めた。
  5. 「第9回ショパン国際ピアノコンクール in ASIA」東京本選審査員を行い,他の国の審査員と交流し,国際コンクールの演奏評価についても研究できた。

3.本学への総合的貢献(特記事項)

  1. 公開講座「楽しいピアノ演奏」を毎年開催しているが、19年度も定員10名のところ17名の参加があり時間を倍以上オーバーして,指導した。その際に大学院についての説明を行い,定員確保に努力した。
  2. 自己の研究に於いては,いつも海外の一流演奏家と協演することをモットーとしているため,19年度もポーランド,ワルシャワ・フィルの招待により,コンサートマスター達と「ベートーヴェンのピアノ三重奏曲」をワルシャワ・フィルハーモニー室内楽ホールで演奏し,研究した。ブルガリア・ソフィアでは,ソフィアロイヤルアカデミーを訪問し,学長と面談,鳴門教育大学について話し合いをした。
  3. 「ポーランド・クラクフ室内管弦楽団と共に~声楽・ピアノの協演~」を企画・準備し,本学の大学院生や修了生を指導した。また,演奏会の案内や大学院生達の演奏を聴いてもらうことにより,地域の人々との交流を図り,鳴門教育大学の広報活動になった。
最終更新日:2010年02月17日

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