自己点検・評価報告書 (自然系(理科)教育講座) 工藤慎一

報告者 工藤慎一

1.学長の定める重点目標

1-1.教育大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

  教授すべき学問内容に関して付け焼き刃の知識や理解では,教師としての資質に欠けると言わざるを得ない。自然科学分野の教師の育成においては,その点特に留意すべきであろう。バランスのとれた構成と盛り込むべき内容に過不足ない授業計画をたて,板書のみに頼らず授業内容を効率よく伝えるプリント資料を作り,試験のみに頼らない多角的な成績評価を行うことによって,実力ある教師の育成を目指す授業とする。

(2)点検・評価

  進化生物学特論や初等理科教育論IIなどの授業で,詳細な授業資料プリントを作って配布し,これを生かした授業を行った。さらに,セミナー形式のプレゼン評価やレポート評価を併用し多角的な成績評価を行った。

1-2.大学教員としての社会(地域)貢献

(1)目標・計画

  大学理学部や農学部が存在しないためか,徳島県は生態学など自然史に関わる基礎科学の研究・教育基盤が弱い。この分野の研究・教育の向上を目標に,昨年度に引き続き,阿南高専や徳島大の学生院生・教官と連携して合同セミナーを開催する。

(2)点検・評価

  阿南高専や徳島大の学生院生・教官と連携して,平成20年2月19日に徳島大学において生態学に関する合同セミナーを開催した。

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

  卒業研究の指導を熱意を持って行い,自然科学の最前線に触れさせることで,学生の論理的・科学的思考の向上を目指す。

(2)点検・評価

  卒業研究の大枠として,「保護のコストと親子間コンフリクト」という進化生物学の最新テーマを与え,明確な仮説に基づく研究計画の立案と実行を課すことによって,「仮説演繹そして実験による検証」という自然科学の論理と手順を十分に理解させることができたと考えている。卒業研究の成果の一部は,日本昆虫学会第67回大会で発表した。

2-2.研究

(1)目標・計画

  親の投資進化に関する研究を推進し,その成果を論文として国際学術雑誌に投稿する。
  科学研究費補助金を受けているヒラタヤスデの繁殖生態に関する研究を推進する。

(2)点検・評価

  以下の論文を国際学術誌に発表した:
  • Koshio, C., M. Muraji, H. Tatsuta & S. Kudo 2007. Sexual selection in a moth: effect of symmetry on male mating success in the wild. Behavioral Ecology, 18 (3): 571-578.
  • Ento, K., K. Araya, & S. Kudo 2008. Trophic egg provisioning in a passalid beetle (Coleoptera). European Journal of Entomology, 105 (1): 99–104.
  • 科学研究費補助金を受けている研究成果の一部を,日本動物行動学会第26回大会のラウンドテーブル「配偶者選択の波紋:選択する側が得る直接的利益をめぐって」において発表した。

2-3.大学運営

(1)目標・計画

  学内委員会委員に就任した際は,部並びに講座と連絡を密に取って適切な活動を行う。

(2)点検・評価

  第3部の国際交流委員会委員として責務を果たした。

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

  • 日本動物行動学会の運営委員として円滑な学会運営に努力し,学会賞設立,学術機関誌の充実など,懸案事項の審議を積極的に進める。
  • エディターやレフェリーとして国際学術雑誌の編集に責任を持って携わり,日本の基礎科学に対する国際社会の信頼を損なわないように努力する。

(2)点検・評価

  • 日本動物行動学会の運営委員として,学会賞設立や学術機関誌の充実に向けて議論を進めた。
  • Journal of EthologyのAssociate editorとして海外から投稿される論文の編集に携わった。また,新たにEntomological ScienceのEditorial boardに就任し,Ecological Research特集号「Evolution in biological invasion」のEditorを務めた。さらに,Zoological Science等の国際学術雑誌からレフェリー依頼を受け,投稿論文の審査を行った。

3.本学への総合的貢献(特記事項)

  以下の論文が暫定評価において本学組織を代表する優れた研究業績に選定された:
Kudo, S. & T. Nakahira 2004. Effects of trophic-eggs on offspring performance and rivalry in a sub-social bug. Oikos, 107 (1): 28-35.
最終更新日:2010年02月17日

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