自己点検・評価報告書 (自然系(理科)教育講座) 米澤義彦

報告者 米澤義彦

1.学長の定める重点目標

1-1.教育大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

  「実践力のある教員」とは,「自らの判断で行動できる教員」であると考える。「自らの判断で行動できる」ためには,豊富な知識や経験が必要である。理科の教員であれば,理学部出身の教員に負けない知識を持っていることも必要である。教科書に記述されている知識に安住することなく,他の教員が持っていない知識を持つことも必要である。以上のような観点から,「自ら学ぶ」姿勢を持った学生を育てたい。すなわち,「すべてを教える」のではなくて,学生が自ら学ぼうとする意欲を引き出す授業を展開したい。

(2)点検・評価

  「自ら学ぶ学生」を養成するために,「すべてを教える」ことを避けて授業を展開したが,結果としては,こちらの意図したようには「自ら学ぶ」ことはなかった。この原因は,学生の意識の中に「今自分が受けている授業が教員採用試験に役に立つかどうか」という強い意識があるためと考えられる。教職科目とは異なり,教科の専門科目は教員採用試験に出題されるよりはるかに高いレベルの内容を講じており,このギャップが埋まらなかったものと考えられる。

1-2.大学教員としての社会(地域)貢献

(1)目標・計画

  平成18年度と同様,できる限り地域からの要請に応えて,研修会等の講師として出向きたい。中学校や高等学校の理科の教員の中には,十分な実験技術を持っていない教員も多く,その研修が課題となっている。ただ,研修会の講師に支払う交通費等が十分でないこともあって,派遣要請を行うのが難しい状況にある。教育支援講師・アドバイザーの派遣先を四国全域及び近畿地方に広げる努力をしていきたい。

(2)点検・評価

  附属特別支援学校の校長を併任していたので十分な活動はできなかったが,徳島県中学校教育研究大会の助言者・講師,香川県立高松高校のSPP事業,兵庫県教育研修センターの10年経験者研修会の講師などを務め,受講者の評価もまずまずであったので,所期の目的は達成されたものと思われる。

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

  • 大学院及び学部の授業の充実:これまで授業に使用する資料は印刷物として配布していたが,平成19年度以降,パワーポイントに転換していきたい。また,最近の研究成果等はできる限り英文の学術雑誌等から直接コピーして利用し,大学院生や学部生の英語力の向上を図りたい。
  • 長期履修生の指導:指導している長期履修生が教員採用試験を受験する年度になるので,さらに充実 した指導を行いたい。

(2)点検・評価

  • 大学院及び学部の授業の充実に関しては,一部の授業を除き,資料のパワーポイントかは達成できなかった。大学院生や学部生の英語力の向上については,修了生は外国語の論文を修士論文に引用しており,不十分ながらも,少しは貢献できたと思われる。
  • 長期履修生の指導については,残念ながら教員採用試験に合格できなかったので,指導が十分ではなかったと判断される。

2-2.研究

(1)目標・計画

  • 共同研究の充実:現在,近畿大学原子炉等利用共同研究の一環として,放射線の生物影響に関する研究を,岡山理科大学,近畿大学の教員と共同で行っている。平成19年度は,これまでの成果を踏まえ,分子生物学的手法を導入して研究を充実させ,実りある成果を達成したい。
  • 科学研究費の獲得:ここ数年校務の多忙から,自身が代表者となる科学研究費の申請を行っていない。
  • 前述の共同研究を発展させて,科学研究費が申請できる環境を整えたい。

(2)点検・評価

  • 共同研究の充実については,大学院生と共同で,岡山理科大学星野教授と野生ギクの種形成に関する分子生物学的なアプローチを開始しており, 目標は達成できたものと思われる。
  • 科学研究費の獲得のための準備は,残念ながらほとんどできなかった。しかし,専門分野の研究において,修了生などと共著で2編の論文を公表できたので,次年度以降に向けての足ががりはできたものと考えられる。

2-3.大学運営

(1)目標・計画

  昨年度から校長を務めている附属養護学校は,19年4月から「特別支援学校」として再出発する。「特別支援学校」としての具体的な業務を整理し,教職員と協力して,新しい体制づくりを行いたい。

(2)点検・評価

  2年間校長を務めた附属特別支援学校は,大学からの資金的な援助もあり,特別支援教育のセンターとしての役割を十分果たしていると思われる。しかし,教員のレベルアップに関しては,教員間で大きな差があり,必ずしも十分とは言えない。 今後も大学の継続的な支援が必要と思われる。

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

  南アフリカ共和国国別研修への参加:JICAのプロジェクトである,南アフリカの理数科教員養成者研修に参加し,他の教員と協力して,研修生に「実験を中心とした授業」が展開できる力をつけさせたい。

(2)点検・評価

  南アフリカ共和国国別研修への参加は,特別支援学校の校長の業務と重なり,ほとんどできなかった。しかし,アフガニスタンの教育改善のプロジェクト(STEP)については,担当の近森教授や小野教授の依頼を受けて,わずかではあるがお手伝いできた。 次年度以降の国際協力につながるものと考えられる。

3.本学への総合的貢献(特記事項)

  附属特別支援学校の校長としての職務は何とか全うできたと考えられ,停滞気味であった教員の活動も少しは改善できた。しかし,校長在職中の2年間で多くの優秀な教員が学校を去っており,彼らを引き留められなかった校長の責任は大きいと思われる。平成20年度から附属学校園の校園長の専任制が始まったが,校園長が孤立することのないよう,大学側の支援を希望してやまない。
最終更新日:2010年02月17日

お問い合わせ

経営企画戦略課
企画・評価チーム
電話:088-687-6012