自己点検・評価報告書 (社会系教育講座) 木原克司

報告者 木原克司

1.学長の定める重点目標

1-1.教育大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

  講義型式の授業から脱却するため、パワーポイント、実物投影機、カラースライドなどの視聴覚機器の多用に努めて来た。教員を目指す学生の実践力をさらに強化するため、平成19年度は、18年度から実験的に取り入れた実体鏡を用いた地形判読や考古遺物を使用した実習型式の授業内容や方法をさらに進め、休日や夏休みを利用して授業内容を現地にて検証し得るように、地元の鳴門市教育委員会、石井町教育委員会や奈良文化財研究所などの協力を得てできるかぎり現地巡検を実施したいと考えている。成績評価は、定期試験の他に実習の成果や現地巡検のレポートなどを総合して行う。

(2)点検・評価

①人文地理学特論、②地理学概論、③考古学、④博物館資料論(学部)や⑤地理学研究Ⅰ(大学院)で、パワーポイント、実物投影機などの視聴覚機器を多用した授業を行った。
  • 特に①・②では空中写真による地形判読などグループによる実習型式を授業に取り入れ、受講生全員が積極的に授業参加できるように努めた。
  • ③・④では鳴門市教育委員会より借用した鳴門市内出土の3世紀から6世紀の土器を用いて土器の接合や復原について実物を手に触れさせながら授業を進めた。受講生のほとんどは土器の実物を手にしたことがないため感動していた。
  • また、③では土曜日の午前中を利用して阿波国分尼寺の発掘現場で、発掘調査の方法について石井町教育委員会の調査員から現地講義を実施してもらい、県立博物館でも発掘された日本列島展の無料での見学と高島学芸課長による展示解説を受け受講生全員が満足していた。
  • ⑤では、授業の最終日の7月31日に、授業のテーマである国府に関連する阿波国府の出土木簡を徳島県埋蔵文化財センターにて閲覧・解説させてもらい、8月初めには阿波国府周辺の現地巡検を実施した。
  成績評価は、授業への出席状況、筆記試験、レポートやこれら実習や巡検への参加を含めて総合的に評価した。

1-2.大学教員としての社会(地域)貢献

(1)目標・計画

  阿波国分尼寺(石井町・平成11年~)および郡里廃寺(美馬市・平成17年~)の史跡整備委員会の委員長として、文化庁・県・市・町と連携し、地域活性化のため歴史景観の保全や観光資源の確保に向けて努力する。また、平成18年度からは徳島県教育委員会を中心として、県内の7件の国指定史跡、県内の主要遺跡、資料館や博物館などを結ぶ阿波歴史体感ネットワークの構築に向けて5年計画で「いにしえ夢街道推進事業」が発足した。当該事業推進のための委員会の副委員長として、文化財を活かした地域づくりや交流の促進による地域活性化を目指す。

(2)点検・評価

  第14回阿波国分尼字整備委員会(7月)、第5回郡里廃寺整備委員会(9月)、第15回国分尼寺整備委員会(12月)に委員長として出席し、それぞれ発掘調査を含めた整備事業を進めた。特に国分尼寺に関しては、平成19年度から整備地域内の造成工事が開始され、金堂・講堂・北門・中門などの建物遺構の復原表示などを含めて平成27年まで整備工事が継続される。また、7月のいにしえ夢街道第3部会でも委員長として、部会の担当地域である郡里廃寺・段の塚穴古墳・美馬市寺町地区・脇町うだつの町並みの総合的活用やそれらを連結する歴史の道の整備について県教育委員会、県土木課、美馬市を含めて協議を進めた。 11月のいにしえ夢街道第2部会では、委員として対象地域である阿波国府・国分寺・国分尼寺・石井廃寺・阿波国造墓碑・宮谷古墳・阿波史跡公園・矢野古墳群・徳島市立考古館などの総合的活用や連絡道路の整備などについて、徳島県教育委員会、徳島県立博物館、徳島県埋蔵文化財センター、徳島市教育委員会、県土木課や石井町教育委員会など関連諸機関と協議を進めた。さらに、文化財審議委員を務める鳴門市では、板東俘虜収容所の国史跡指定に向けて、2月に地理学実習を兼ねてボランティアとして兵舎跡等の測量を実施する予定である。

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

  学生の卒論や課題研究の指導については、これまでと同様2名の教員での合同演習を通じて指導・助言を行うとともに、指導教員としてマンツーマンで積極的な指導を実施する。特に、近年急激に増加しつつある大学院長期履修生に関しては、1年生の段階から生活や研究についてより細かな指導・助言を行う必要があると考えている。また、学生の進路相談は、ゼミ指導学生以外に対しても積極的に対応したい。

(2)点検・評価

  教員としてマンツーマンで資料収集や論文作成方法などについて積極的な指導を実施した。特に勉学の停滞していた院生については、父兄にも実態を連絡し本人のやる気を喚起させるよう積極的な指導を夏以降進め、なんとか修士論文を完成させた。また、現職教員、長期履修生、学部学生の卒業論文や修士論文の指導は、学部・大学院を合わせた合同演習を通して指導・助言を与えるとともに、指導学生・院生についても修士論文や卒業論文作成に向けて計画的な資料収集など具体的な指導を展開してきた。

2-2.研究

(1)目標・計画

  平成17年度から2年計画で取得した科学研究費補助金による研究(考古学分野)は18年度で終了するが、平成19年度には新たな科学研究費の申請を地理学分野で行う。平成19年度は、少なくとも1編以上のA論文を学会誌・著書等に執筆する。さらに、継続中の古代阿波の条里と交通路についても研究成果の発表・執筆に努める。

(2)点検・評価

  「阿波条里と交通路の復原的研究」というテーマで新たな科学研究費を人文地理分野で行った。平成19年1月には、平成17年から18年度の2ヵ年の科学研究費(考古学分野)の一部を「古代宮都と周辺景観の保全―難波京と古代大坂平野を事例として―」という題目で、歴史地理学49巻1号に執筆掲載された(連合A論文)。また、「条坊制都市の系譜」という題目で20頁にわたって平成20年3月に朝倉書店から刊行されるアジアの歴史地理2『都市と農地景観』に論文を執筆した(連合A論文相当)。同じく平成20年3月に刊行される本学紀要第23巻にも「日本古代宮都・宮室の構造と諸類型」というタイトルで論文を執筆した。さらに、科学研究費の獲得に備えて古代阿波の条里と交通路に関する研究も進めた。

2-3.大学運営

(1)目標・計画

  各種委員会・教授会・部会・講座会議等の学内の各種会議に出席し、職務を遂行する。また、全学集会でも積極的に意見を述べ大学運営に参画する。

(2)点検・評価

  学内委員会では、予算財務・管理委員会および学術研究推進委員会の委員を務め、積極的な発言を行った。その他教授会・部会・講座会議でも職務を遂行した。

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

  教育支援講師・アドバイザー等の派遣事業に積極的に協力し、県内外の小・中・高等学校、教育機関、民間団体などで助言や講演を行う。また、県内市町村の教育委員会の委員会・審議会等で専門的な立場から助言を行い、教育文化行政に積極的に協力する。

(2)点検・評価

  生涯学習まちづくり出前講座として7月20日に大麻町で古代阿波の交通路について講義し、日頃の研究成果の一部を地域に還元した。また、9月末には長期履修生の教育実習の指導を兼ねて長原小学校、藍住中学校を訪問し研究授業への参加と助言を行った。さらに、鳴門市教育委員会が計画する板東俘虜収容所の国指定史跡に向けての資料準備のため、現地に残る収容所兵舎等の基礎の測量協力について鳴門市教育委員会生涯学習課と協議し、平成20年2月初旬に地理学実習受講者とともに実測を実施することになった。また、徳島県教育委員会が中心となって平成18年から5年計画で進めている「いにしえ夢街道推進事業」(副委員長)・同第2部会(委員)・同第3部会(委員長)、石井町教育委員会主催の阿波国分尼寺整備委員会(委員長)、美馬市教育委員会主催の郡里廃寺整備委員会(委員長)や鳴門市文化財審議会(委員)などで専門的な立場から助言と事業の推進を行い、教育文化行政に積極的に協力した。

3.本学への総合的貢献(特記事項)

  学部・大学院の授業の中に、空中写真による地形分析など受講者全員が参加できる実習型式を取り入れ、さらに、学部対象の考古学・博物館資料論や大学院対象の地理学研究Ⅰでは、土曜日を利用し受講生と共に博物館、埋蔵文化財センターや発掘調査現場を訪問し、授業内容に関連させた実践学習を実施した。
  研究については、学会誌(A論文)に1本掲載された。
最終更新日:2010年02月17日

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