自己点検・評価報告書 (言語系(英語)教育講座) 前田一平

報告者 前田一平

1.学長の定める重点目標

1-1.教育大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

  教育実践力は小手先の技術ではなく、幅広い知識と深い思考力、豊かな想像力と弾力性のある精神を前提とするものである。そのために、

  1. 基礎学力の養成に焦点をおいた授業内容。
  2. 授業を核にしながらも、学生自らが授業外に知識や教養を求める自立型の学習を促す授業方法。
  3. 単なる知識や技術ではなく、それらを運用するに十分な思考力や想像力および表現力を組み込んだ成績評価について工夫をし、取り組む。

(2)点検・評価

  1. および 2.  基礎学力、読解力、表現力を育成する授業を心がけた。ゆとり教育が堅固な基礎学力なしには実効性をもたないように、教員としての資質も基礎学力なくしては実践力を伴わないことを教室で繰り返し論じた。担当分野であるアメリカ文化・文学の授業では、社会の潮流に反してあえてスロー・リーディングを実践し、文脈をとらえ、文脈の中で他者の感情と思考を思い量る指導を意識的におこなった。
  2. 試験もあらゆる文献を用いて大量に記述させる形式・内容のものを実施した。また、ペーパーを課した場合は、e-メールの添付ファイルで提出させ、それにコメントと評価を付して返送返却し、表現力の作成について最後まで指導した。受講生の評判は良いのだが、授業を通してわかることは、本学学生の基礎学力の致命的な欠如、あわせて読解力と表現力の欠乏が著しく、努力と工夫にもかかわらず、成果を見るまでにはなかなか至らないので、改善を必要とするという意味で自己評価はまだまだ辛くせざるをえない。

1-2.大学教員としての社会(地域)貢献

(1)目標・計画

  地域連携活動として、各学校講師や種々の講演講師として要請があれば積極的に受け入れ、地域との連携を図る。
  大学教員としての社会貢献はやはり研究活動に求められるであろう。特に全国および中国四国レベルの学会における研究および運営活動に名を連ねることは、単に個人的な問題ではなく、本学の存在価値を高めるものでもある。よって、日本アメリカ文学会、日本ヘミングウェイ協会、日本英文学会中国四国支部、日本アメリカ文学会中四国支部において、研究発表、シンポジウム実施、学会運営に積極的に携わることを目標とする。計画としては、コーディネーターとしてすでに日本英文学会中国四国支部の平成19年度年次大会シンポジウムの実施を予定している。

(2)点検・評価

  • 本年度は講師としての要請はなく、この点での社会(地域)貢献はできなかった。
  • 学会活動としては、日本アメリカ文学会の編集委員として投稿論文の審査および書評対象研究書の審査にあたり、学術誌の編集に携わった。日本ヘミングウェイ協会の評議員として協会の運営全般にあたり、大会運営委員長として全国大会とワークショップの開催を実現し、編集委員会の論文審査委員として投稿論文の審査にあたった。日本英文学会中国四国支部の理事として、学会の運営にあたった。日本アメリカ文学会中四国支部の評議員として学会の運営にあたった。
  • 日本英文学会中国四国支部の年次大会でシンポジウムのコーディネーターとしてシンポジウムの企画運営および研究発表を予定通り実施した。

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

  • 英語科の学生を中心に英語基礎力の伸長を教育上の目標とする。個人的にも講座としても、TOEIC受験を学生に促す。また、読書(新聞を含める)の必要性を説き、学生が時事や文化の理解に貪欲になるよう教育する。
  • 学生生活支援としては、ゼミにおける個人指導やオフィス・アワーの利用などの環境面を整えるだけではなく、学生が相談しやすい教員になるべく自らの教育者としての資質や学生への態度・姿勢について意識を高める。

(2)点検・評価

  • 英語科の学生にTOEIC受験を促し、山森直人准教授を中心に講座としてTOEIC IPテストを2回実施した。学部3年次に決定するゼミ配属について、TOEICの点数を決定条件に設定したことが功を奏したと思える。ほとんどの受験生が、2回目の受験で大幅に成績がアップしている。TOEIC IPテストの実施は軌道に乗ってきたと判断する。
  • 読書の奨励については、今年は新聞講読に限って実施した。特に学校教育や社会文化の問題を扱った新聞記事を授業で紹介し、受講生と議論をした。本来の授業を見送らざるを得ないほど議論が高まることが2度もあり、好評であった。
  • 学生生活支援としては、研究室に学生が相談に来やすい環境を整え、週55コマのゼミ実施を通じて、あるいは講座主任という立場もあって、学生の就職、進学、生活全般にわたる相談を受けた。

2-2.研究

(1)目標・計画

  1. 日本アメリカ文学会の編集委員として、学術誌の編集と書評に取り組む。
  2. 日本ヘミングウェイ協会の評議員および大会運営委員長として、全国大会を中心に日本におけるヘミングウェイ研究発展に貢献する。また、現在進行中の『ヘミングウェイ事典』の編集執筆を継続し、完成度の高い事典の発行に寄与する。
  3. 日本英文学会中国四国支部の年次大会において、コーディネーターとしてシンポジウムを企画し実施する。

(2)点検・評価

  • 学会活動については1-2.のとおり。
  • 学会における研究活動としては、(1)日本ヘミングウェイ協会で編集作業中の『ヘミングウェイ事典』の編集員として編集執筆を継続し、同協会のワークショップで口頭発表を実施した。この研究は論文として本学紀要に掲載された。(2)日本英文学会中国四国支部年次大会において、予定通りシンポジウムをコーディネートし、あわせて発表をおこなった。(3)アジア系アメリカ文学研究会の学会誌に論文が採択された。
  • 本年度から3年間の予定で科研(基盤研究(C))に採択された。上記(2)のシンポジウムと(3)の論文は、この研究成果の一端である。
  • 広島大学に博士論文を提出し、審査に合格し、博士号(文学)を授与された。

2-3.大学運営

(1)目標・計画

  任命される委員会などにおいて尽力することによって本学の運営に貢献する。また、教員数が大幅に減じられている講座の維持運営に責任をもってあたる。

(2)点検・評価

  • 講座主任として年間の講座運営を無難にこなした。
  • 学生支援委員会の委員を務めた。

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

  • 講座として附属学校と授業の相互援助を継続し、特に学生の実地教育については可能な限り附属学校を訪れ、連携を保つ。
  • 学生の留学(派遣および個人留学)を推進し、本学の留学生との交流に積極的に参加するよう学生に促す。

(2)点検・評価

  • 附属小学校および附属中学校における実地教育を観察し、指導にあたった。
  • 日本学生支援機構の派遣留学に応募するよう授業などを通じて学生に促した結果、英語科から2名の応募を得た。残念ながら採用にはならなかった。
  • 社会との連携において、具体的な成果がなかったのは反省材料である。

3.本学への総合的貢献(特記事項)

  • この1年は講座主任としての煩雑な任務を無事に果たしたことを評価したい。
  • 英米文学では、特に論文博士としては、非常に少ない論文博士の博士号を授与されたことは、個人的なことではあるが、体外的なアピールも大きいことに鑑み、本学への貢献につながるかと思われる。
  • 科研に採択されたこと、しかも申請初年に採択されたことは、本学への貢献として積極的な自己評価としたい。
最終更新日:2010年02月25日

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