自己点検・評価報告書 (総合学習開発講座)  西村宏

報告者

1.学長の定める重点目標

1-1.教育大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

  • 昨年度に引き続き,理科講座地学教室が開講する学部授業「中等理科(地学分野)/標準履修1年次」および「地学III/標準履修4年次」を担当するので,講義の中に随時演習形態を取り入れ,受講生が受け身にならないような,そして教員になったときの心構えなども同時に実体験として認識できるような,授業を展開する。
  • 大学院ではさらに国際化が進みJICA派遣院生など外国人留学生が受講することが常態化しているので,「地球惑星物質学特論」「環境教育特論I」などの授業において,日本語と英語の2言語併用授業を展開する。
  • 新カリの定期試験期間に対応して,授業内容の理解度をチェックするため基礎的なペーパーテストの結果に基づき成績評価を行なうとともに,各授業時間における学生への発問の頻度を上げ,学生の反応や理解度を日常的に認識できる授業とする。

(2)点検・評価

  • 「地学Ⅲ」については,登録されている受講者は5人(長期履修院生1人を含む)だったので,個々が理解できているかどうかを確かめつつ授業を進めた。もし理解不足の受講者がいた場合には納得するまで説明した。この授業は4年次の授業で旧カリ最後のものである。従って試験をせずにレポートを求めた。 「中等理科(地学分野)」については,演習問題解決と英文購読を交互に行い,教採に役立つ概念についても詳細に解説し,さらにそのプリントを配付し,復習確認を促す努力をした。
  • 大学院授業「地球惑星物質学特論」,「環境教育特論Ⅰ」及び「同Ⅱ」については,留学生が受講していたので,いわゆるバイリンガルで説明し,日本語と英語併記の資料を作成し配付するとともにパワーポイントによる提示も行ない便宜を図った。

1-2.大学教員としての社会(地域)貢献

(1)目標・計画

  • 徳島県の学力向上重点校として指定された鳴門高校における理科関連授業の教育アドバイザーとして,教科別協議会での指導・助言を行う。
  • 「あすたむらんど」において恒常的に催されている「科学絵画展」の企画・審査等に委員として参画し,幼児・児童・生徒の意欲を引き出すための援助を行う。

(2)点検・評価

鳴門高校での,徳島県学力向上重点校指定に伴う授業研究会に出席し,理科関連各科目の授業を見学するとともに,総合評価において,学力向上につながる方策等についてアドバイスを行なった。
「あすたむらんど」での「科学絵画展」審査において,審査委員として参画し,200点以上の出品作品から各賞に該当する作品の抽出を行なうとともに,授与式の際の講評についての要点を申し述べた。
また,徳島県NIE推進協議会総会(6月開催)に会長として出席し,議長を務め,今年度の実践校6校について了承を得た。さらに,2008年2月の実践報告会を兼ねたシンポジウムに出席し,発表者と意見交換を行い,次年度に向けてのNIE実践活動に関する依頼も行なった。

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

昨年度に引き続き,ボランティアとして,学部3・4年次の希望者で意欲がある学生に対して,時間外に小規模なかたちで「物理および地学分野」に関する教員採用試験一般教養問題解決のための「塾」を継続的に開き,教員採用試験への方向付けを強化する。また,昨年同様,私的に「西村奨学金」として,勉学意欲が極めて高いが経済的に極めて困窮している学生に対する授業料一部負担などの経済的援助を,わずかながら行ってきたが,今後も細々ながら,あくまでも私的なかたちで継続する。

(2)点検・評価

オフィスアワーを利用して,ボランティアとして教員採用試験で過去に出題された問題を解く実際の方法を伝授するとともに,採用試験受験への心得をアドバイスした。ただし,強制参加の授業としてではなく自主的に訪問した学生についてのみへの対応とし,延べ8人が質問に訪れた。人数は少ないものの,問題理解につながるアドバイスができたものと自負している。
私的な「西村奨学金」については,現在のところ相談や申出の学生・院生はいないため経済援助を必要となっていない。あまり大々的に実施するつもりはなく,私的に行っているものであり,もし申出があった場合など,偏りが出る可能性もあるが,あくまでも私的な判断で平成20年度以降も継続する予定である。

2-2.研究

(1)目標・計画

研究に関しては,年々テーマが変化するような内容ではないので,昨年と同様な下記の目標に従って,研究を続ける。即ち,宇宙地球科学分野で最近脚光を浴びている「前期太陽系始原物質」を探索する仕事を実験的に続け,理科の院生に対して,身につけた実験技法を伝授しデータ収集を行なうとともに,環境分野との関連で元素資源について議論を展開する。また,総合学習における「人間学」と「自然科学」との接点および関係性について,基本的な内容を授業との関連で整理する。

(2)点検・評価

ともかく雑用に明け暮れするほど多忙であり,研究実験に時間を割くことは不可能に近かった。ただ,少なくとも元素の同位体比変動に関する最新の文献などをもとに,原始太陽系星雲時代に生じたと推定される最近の動向把握を行い,わが太陽系の成り立ち及びそれ以前にはどういう状態であったかについて考察し,イメージをまとめた。実験データがないため論文としては公表できていない。また,理科コースの院生の研究にそれほど多くの時間を割くことができない状況ではあるが,質量分析装置でのデータのとり方や,その結果得られたデータを修士論文へと導くための意味づけと方略に関して教授した。

2-3.大学運営

(1)目標・計画

  • センター部長として,ほぼ定着した4センターの運営や業務を定常状態に乗せるとともに,新たに試行される予定の教育組織・教員組織再編に対応できる体制をつくる。
  • 地域連携センター所長として,実地教育,特に新カリキュラムでの附属校教育実習を,長期履修学生への対応も含めて,困難さなく機能するように,近隣市町村での教育実習の実現に向けて,田中・村田両理事及びセンター教員と連携を密にしながら具体的作業に着手する。

(2)点検・評価

  • 新たな組織改革に伴うセンターの位置づけなどについて,各センター所長との話題交換を行い,平成20年度以降の大学の方針に沿う方向で,実質的なセンター教員組織解体を実行した
  • 平成19年度からの実施を目途として,長期履修生用の教育実習を「附属」から「松茂・北島・藍住の3町」の公立学校に変更するための下準備に奔走し,9月の教育実習時期に間に合わせた結果,無事に実習が終了した。新たに長期履修生専用のオフィスを設置するため,地域連携センター内の施設の有効利用に関して調整を図った。さらに,各町教委で行なわれた校長会での反省会では,極めて高評価が与えられた。

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

  • 年度ごとの計画ではなく,開学当初から継続せざるを得ない「実地教育」,特に新たに加わる予定の下板3町の小中学校での教育実習に関連して,現場との対応をフレキシブルに行うとともに,軌道に乗せる。また,附属に関しては,実地教育時に随時発生する事態に即応して,附属学校長および副校長との連絡を密にし,問題把握網を構築する。
  • 理科地学教室に協力するかたちで,JICAによる留学生(修士学生)に対する知的援助を行う。

(2)点検・評価

  • Ⅱ-3とも強く関連する事項であるが,大学院長期履修生向けの教育実習現場の確保を,松茂・北島・・藍住各町の小中学校に依存するかたちで実現し,9月 1ヶ月の実習期間をこなした。校長会での評判は当初の予想をはるかに超えて高い評価が得られ,長期履修生の努力とともに,当初迷っていた附属からの移行措置が成功をおさめ,交渉をスピードアップした効果が出たものと思われる。
  • 授業を通じてJICA派遣院生に対する知的援助を強化できた。具体的には,「大学院学生による授業評価」の記述に見られるが,留学生からの授業に対する評価は十分満足いくものとなり,国際交流の面からも評価できる(学生による授業評価報告書の自由記述欄参照)。

3.本学への総合的貢献(特記事項)

4年間(2年2期)継続的に役割を負ってきたセンター部長(地域連携センター所長兼務)として,教職大学院設置に伴う副次的事項(地域連携センター空室の有効利用など)の処理を,施設担当理事とともに具体化した。また充て職での各種委員会への出席などに加え,学部学生及び長期履修生の実地教育に対する措置も軌道に乗せることができ,平成20年度から新設される「教職キャリア開発支援オフィス」へと引き継ぐ下地を完成させ,新センター部長への負荷をわずかではあるが軽減できるようにとり計らった。

最終更新日:2010年02月15日

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