自己点検・評価報告書 (総合学習開発講座)  小西正雄

報告者 小西正雄

1.学長の定める重点目標

1-1.教育大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

大学院においては18年度からスタートさせた「現代の諸課題と学校教育」の一層の充実を図る。この講義は開設まもない時期から聞き伝えで受講生が増えるという人気ぶりであったが,なにしろ初年度ということもあって,受講生の了解のもとでシラバスを2度にわたって改訂するという事態に陥った。半年経過して一応の流れが見えてきたので,19年度は「かかわり」をキーワードとして思い切った再構成を試みたい。授業方法については,18年度に試行した毎時間ごとの受講者コメント方式が有効であったので,そのまま継続したい。評価についてはレポートの回数を2回から3回に増やすかどうか検討中。なお,19年度からは姉妹授業である「現代の子どもと学校教育」(谷村千絵講師担当)がスタートするので,両者の関連を図りながら後期の「総合学習総論」(小西,谷村担当)にどのように結びつけていくかが今後しばらくの課題となる
学部では「総合演習」で長らく続けてきた「八重山臨地研修」が諸般の事情で18年度をもって終了したので,19年度に新たなメニューを設定しなければならない。いまのところ具体的な構想は未定であるが,学生の積極的な参加を求める演習にしたいと考えている。

(2)点検・評価

  • 大学院「現代の諸課題と学校教育」については,当初計画通り「かかわり」をキーワードとする内容構成の大胆な見直しを行い前期に終了した。授業評価アンケート(提出済)では非常な好評を得たことが確認できた。とくに現職教員にぜひ聞かせたい講義の1つであるという感想が目立った。受講者コメントは計画通り毎回実施した。これについても授業評価アンケートで好評であったことが確認できた。レポートの回数を増やすという件については特段の変更はしなかった。姉妹授業である「現代の子どもと学校教育」との連携については,同授業が今年度はじめての実施ということもあり,十分な連携には至らなかった。これはやむをえないことと理解している。
  • 学部授業「総合演習」については,当初,八重山研修は行わない方向であったが,7月に神戸空港~石垣空港の直行便が開設されたことや前年度の受講生から継続を望む声が少なからず寄せられたこともあって,今年度限りのアンコール実施となった。実施に際してはこれまでの経験を十二分に生かし,1日目は学校訪問,2日目は密林探検,3日目は竹富島での班単位での取材活動というように思い切ってシンプルな日程とした。また学生の事前指導にあたっては,班対抗クイズを取り入れるなどして,受講生の自主的な運営への動機付けをかなり意識的に行った。その結果,教員の側の精神的・肉体的負担のわりには成果が多い,換言すれば生産性の高い演習となった。これも,これまでの長年の試行錯誤のたまものと解釈している。学生の学習成果は2月15日にB101でプレゼンを行い,ほかの班から非常な賛辞を受けた。また受講生全員に臨地研修感想文集を配布した。この文集は,風邪で参加できなかった1名の受講生が大変な努力の末に完成させたもので,実際に八重山に同行できなかった受講生に対してもそれなりの達成感,成就感を経験させることができた。

1-2.大学教員としての社会(地域)貢献

(1)目標・計画

社会貢献としては,小学校,中学校の新教育課程実施(現在のところ22年度からの予定)にむけて,文科省担当部局との密接な連携を図りながら必要な教科用図書の編集業務を引き続き行う(正規の勤務時間外の作業)。また,この作業での知見を活かしつつ,全国小学校社会科研究大会(平成22年10月もしくは11月に徳島県内2カ所を授業実践校として開催)の総括業務を附属小学校教員と連携して開始する。

(2)点検・評価

  • 教科用図書の編集作業については,学習指導要領の告示が年度末にずれ込んだこともあって難渋を極めたが,文部科学省関係者や現場の先生方の協力も得て,3月末現在で8割方の完成度に達している。
  • 教育現場への啓蒙活動としては,11月に北海道社会科研究大会,3月に弘前大学社会科教育学会において講演を行ったほか3月には青森県むつ市立第二田名部小学校においてミニ講演を行った。同校は本学大学院学校改善コース修了生の在籍校であり,このミニ講演の実現は修了後も続けていた交流活動の成果にほかならない。
  • 地元徳島県の社会科教員の研究活動支援については,主として附属小学校を会場として行われる例会に可能なかぎり参加し,全国大会への準備,新指導要領の検討等において必要な指導助言を行った。

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

ゼミ生4名のうち3名が教員採用試験受験予定であるので,就職支援室主催行事との関連を考慮しながら,個別の支援を強化したい。また残る1名の長期履修生については,大学院授業の本格的履修が始まるので,履修相談を強化したい。19年度入学生(M1)のうちの正規コース生とこの長期履修生(M2)とを一つのゼミのなかでどのように関係づけて指導するかについてさまざまな選択肢を考慮する必要がある。

(2)点検・評価

M2ゼミ生3名のうち2名が教員採用試験にチャレンジしたが,目的を達成することはできなかった。しかし1名はかねてから関心をよせていた道徳科学分野の研究所塾生としてさらなる研鑽をつむことになり,またもう1名はとくに勧められて四国大学大学院博士課程に進学した。指導教員としての私の努力ではなく,いずれも本人たちの精進の成果であり,この欄に特筆するのは憚られるが,ゼミ指導の「結果」として報告しておく。進路希望に不鮮明なところがあった残る1名については,十分な意思疎通を図ることができないまま,年度途中での退学を招来する結果となってしまい慚愧に堪えない。 学生の意思を尊重すると同時に,一方では,大局的な見地からの指導も必要であったと反省している。 2名のM1については,修士論文研究もほぼ順調に進み,一応の章立てを完成させて年度を終えている。 長期履修2年次生が松茂町の小学校に教育実習に行ったので,講座の他の教員ともども指導や受け入れ校へのお礼に出かけた。小ゼミ生も含めて「非常によくやっている」との校長先生からの賛辞をいただいたが,こまめに実習校に顔を出すことの重要性を痛感した。

2-2.研究

(1)目標・計画

18年10月に教育大学協会研究集会で提起した世代継承性に関する議論については,最近の教育再生会議でも関連する内容が討議されており,今後の教育課題の重要な側面を形成すると思われる。そこで研究集会での発表内容を早急にとりまとめてとりあえず論文化したいと考えているが,既成の縦割り蛸壺状況にある「学会」のいずれにも直接的には該当しにくい内容であるので,適切な投稿先を見つけるのに苦労することが予想される。

(2)点検・評価

世代継承性に関する論文の作成であるが,今年度は,この論点とこれまでの国際文化研究とを合体させたかたちで成果をまとめることとし,学会発表として夏の名桜大学での発表を予定していたが台風による航空機欠航のため断念した。その代替措置として秋に東京で開催される国際異文化学会で発表することとし,申し込んでおいたところ審査を通り,10月末に発表を果たした。この研究発表内容について,日本国際文化学会の学会誌『インターカルチュラル』6に投稿していたが,11月に条件付き掲載可との連絡を受け,必要な原稿修正を行った。刊行は20年5月の予定である。  大学院授業「教育実践研究」における愛知県石浜西小学校との連携研究の中間報告を日米教師教育学会において発表した。なお,日程の都合で実際に会場に出向いたのは共同研究者である太田准教授,谷村講師である。

2-3.大学運営

(1)目標・計画

  • 引き続き入試広報担当学長補佐としての職務に精励したい。これまでに教育委員会等を多く訪問し,名前を覚えてもらっているケースも少なくない。この財産を活かして今後とも関係を強化したい。もちろん,このような努力がそのまま定員確保に結びつくかというと必ずしもそうではないことも事実であるが,さりとて顔を見せなければ見せないで,本学の印象は薄れていくばかりであろうと思われ,ともかくも顔つなぎの重要さを信じて動いていきたい。なお,教育委員会訪問と合わせて,当該地域に在住する修了生との懇談も精力的続けて,「後輩」の輩出に協力を仰ぎたい。
  • 21年度に総合学習開発コースを現代教育課題総合コース(仮称)に改称する動きがあるので,その進捗状況をにらみながら,カリキュラムの一層の見直しを図るなどして,本学を強烈に印象づける大学院コースとして,改称が定員確保に有効に働くよう作戦を考えていきたい。

(2)点検・評価

  • 学長補佐としての教育委員会訪問は,昨年度と同じく5月の第2週,第3週の7日半をかけて沖縄から栃木までの17カ所を踏破した。一部は教職大学院準備室関係者との合同訪問であった。今年度もまた教職大学院の帰趨に振り回される日程となったため,体力的にはかなりきついものであったが,交通機関の大きな乱れもなく予定を消化できた。各教委の現職派遣予算は厳しさを増しており,それに地元教職大学院への派遣志向が強まっていることから,なかなか快い回答は得られなかったが,昨今の教育問題や実践課題について担当者と意見交換できたのは幸いであった。
  • 総合学習開発コースの改称問題は,教職大学院設置にともなう既設大学院改革のなかで実現したので,その事実を即刻ホームページ等で全国に発信するとともに,新しいコースパンフレットならびにポスターを作成して広報を開始した。秋には関東,九州のほかこれまで手薄だった関西の私学にも,入試課事務員の手を煩わせてポスター掲示を行った。20年度はできるだけ自前で掲示に回りたい。

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

18年度は,実質的に附属小学校研究顧問的な役割を担わされてきたが,19年度も附属小学校の要望がある場合,積極的に研究活動の支援にかかわりたい。附属小学校としては,各教科ごとに指導が分断されることについて非常な危惧をもっており,その意味からすれば,総合的な立場から教育研究を考える小講座スタッフへの期待は少なくないと思われ,これを個人的な支援だけではなく講座に広げたかたちにもっていけないかと構想を広げている。

(2)点検・評価

附属小学校については,6月の校内研究会ならびにその事前の打ち合わせ会に出席し,教員との協同的研究に参与した。また今後の附属小学校の研究の進め方,教育実習のあり方等について大宮副校長とかなり長時間にわたって意見交換を行った。  一方,2月の研究発表大会については,事前の助言指導等に特段の要請がなかったことや,当日,新学習指導要領関係の会議のため研究大会欠席を余儀なくされたこともあって,これと言った貢献はできずに終わっている。

3.本学への総合的貢献(特記事項)

その他として京阪神方面でのサテライト開設問題がある。8月下旬に急遽そのワーキングが組織され主査として1か月半の期間限定で一定の報告を要請された。私立大学との連携によるサテライト開設を模索したが,この短時間での十分な審議にはいささか無理があり,不完全な結果となった。これを受けて再度検討を行い,年度末には単独事業としてのサテライト開設にかかわる一つの選択肢を学長に提示した。  大学院定員確保については,いわゆる教育委員会めぐり以外にも,ガイドブック等の企画構成,校正等にわずかながらではあるが協力することができた。

 

最終更新日:2010年02月15日

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