自己点検・評価報告書 (教育臨床講座) 山下一夫

報告者 山下一夫

1.学長の定める重点目標

1-1.教育大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

  1. 学部の「生徒指導論」や大学院の「学校臨床心理学研究」など担当している授業は、教育実践に密接に関係している。それゆえ、授業内容は、単なる経験や理論にとどまらず、生徒指導を行う上で実際に役立つ根本的な考え方や態度(実践的理論)を論ずるようにする。
  2. 授業方法として、ロールプレイ、ケースカンファレンス(事例検討会)を用いる。また、多人数の講義であっても、教員だけが話す一方通行の授業にならぬように、できるだけ学生の意見を求め、そしてその意見に教員が応え、ともに考えるような双方向の授業になるように心がけたい。
  3. 多人数の授業であっても、出席をできるだけ確認する。テストは客観問題と論述問題を出題し、適正な成績評価に努める。

(2)点検・評価

大学院の授業では、上記の目標・計画の①授業内容、②授業方法、③成績評価の通りに、授業実践ができた。例えば、大学院の「学校臨床心理学」は70人を超える多人数の講義であるが、2回目・3回目の授業において構成的エンカウンターグループの演習を取り入れたり、受講者に顔写真を貼付した自己紹介文の提出を求めできるだけ名前を覚えるようにした。そして、大学院生の意見をもとにして話題が発展し、双方向の授業ができたように思える。
しかし、学部の「生徒指導論(必修・担当教員2名)」では、授業内容や方法は例年通りそれほど変化していないのに、学生の授業の満足度(5段階評価)は、この数年で急速に落ちている。平成16年度は、4.0点(115人)と非常に高得点であった。17年度は3.6点(156人)、18年度は3.3点(147人)と急速に低下した。これは、大学院長期履修生が受講するようになり、あまりに多人数になったためではないかと考え、今年度(19年度)は、学部学生と大学院長期履修生を分けて同じ授業を2回することにした。現在、学生の授業評価を分析中で正確な数字は出ていなが、満足度は前年度と同程度と思われる。筆者の印象だけで言えば、学部学生と大学院長期履修生のテストの成績はそれほど変わりないが、全体的に大学院長期履修生は授業に積極的に関与しようとする姿勢が見られるのに対し、学部学生には勉強に対する覇気があまり感じられない。また、一部の学部学生の受講態度が最初の授業のときから悪く、注意すると、ただ座っているだけのように思える者さえいた。学生を批判するだけではなく、大学教員自身が叱り方を含めまさに生徒(学生)指導の技量を常に磨き、教員同士が連携し対策を講じる必要があると反省させられた。

1-2.大学教員としての社会(地域)貢献

(1)目標・計画

  1. 大阪市で公開講座を開催する。そのとき、講座の修了生との懇親会を開催し、本学修了生とのネットワーク作りに寄与する。
  2. 教育委員会や学会等の各種委員を引き受けることにより、社会的貢献を果たしていく。

(2)点検・評価

  1. 8月6-7日、末内佳代講師とともに大阪市で公開講座「子ども理解と生徒指導(教育臨床Ⅴ)」を開催したところ、受講者は64人にのぼった。6日の夜に、本大学院修了生10人以上と懇親会を開催した。
  2. 昨年に引き続き、徳島県教育委員会:新しい学校づくり鳴門市地域協議会会長を務めた。さらに、日本生徒指導学会全国理事、日本臨床心理士会理事(全国区代議員)、 日本臨床心理士資格認定協会評議員、徳島市教育委員会教育研究所運営委員などを務めている。

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

  1. 大学院の課題研究や面接指導において、たとえ院生数が多くても、できるだけきめの細かい授業を行う。
  2. 学部の「生徒指導論」を、学部生と長期履修生に分けて行い、その効果を検証する。

(2)点検・評価

  1. 課題研究Ⅱ・9人、課題研究Ⅰ・13人、徳島県教育委員会の派遣研究生(中学校教員)・2人と、非常に多くの院生の指導を行った。例えば、課題研究Ⅱでは、院生1人に対し、毎週45分の個別指導を行った。さらに、11月以降は時間を延長し指導した。また、博士課程の院生2人を指導した。
  2. 「Ⅰ-1.教育大学教員としての授業実践、2.点検・評価」で述べたように、現在、結果を整理しているところである。学部生と長期履修生に分けて授業を行わざるを得ないが、それだけで効果が上がるというのではないと考えられる。 20年度は教職大学院が設立され、そのスタッフとして、生徒指導の教育に新たに打ち込んでいるところである。しかし、近いうちに、同僚の大学教員と協力し、学部教育における生徒(学生)指導にも新たに取り組む必要があるように思う。

2-2.研究

(1)目標・計画

  1. ロールプレイに関する研究を行う。
  2. 子育て支援に役立てるために、母親の子ども虐待傾向を調査する。

(2)点検・評価

  • 論文

    • 単著 2007,7 「子育てにおけるやさしさと厳しさ」 中京大学臨床心理相談室紀要,7,1-14.
    • 単著 2007,7 「臨床家のためのこの1冊・星の王子さま」 臨床心理学,7(4),569-572.
    • 単著 2008,1 「河合隼雄を読む:これだけは読んでおきたい文献集」 臨床心理学,8(1),61-64.
    • 単著 2008,1 「教育支援を推進する教育心理臨床家に求められること」 藤原勝紀(編)『現代のエスプリ・別冊・教育心理臨床パラダイム』 至文堂 pp.83-89.(全312頁 A5判)
  • 学会発表(企画・司会)

    山下一夫・末内佳代・冨永良喜・加藤哲文 2007,9 「臨床心理士の資格を有する教師の現状と課題」 日本心理臨床学会・自主シンポジウム 東京フォーラム(東京都)

  • 科学研究費

    山下一夫・中津郁子・他 平成19年度 基礎研究C 「乳幼児との情動調律が心理臨床家の感受性・想像力をはぐくむ教育訓練プログラム」

  • 備考

    ロールプレイの授業の経験をもとに、上記の「教育支援を推進する教育心理臨床家に求められるこ と」を執筆した。また、高芝朋子と共同で、母親の子ども虐待傾向について徳島県内で質問紙調査 を行い、現在、結果の整理中である。

2-3.大学運営

(1)目標・計画

  1. 学長補佐として、積極的に教育委員会との連携を推進していく。

(2)点検・評価

  1. 学長補佐(教育連携担当)として、主に教職大学院や実習のことで、教育委員会と連携を図った。 学内においては、既設大学院の改組の基本方針とカリキュラムの検討に加わった。また、本学の教育等に関するアンケートの分析に協力している。その他、大学院教務委員会、大学院入試委員会、地域連携委員会などの委員を務めた。

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

  1. Ⅰ-1で述べたように、新規に大阪市で公開講座を開催する。
  2. 教育委員会や学会等の各種委員を通じて、社会との連携を図っていく。

(2)点検・評価

  1. 既に述べたように、大阪市で公開講座「子ども理解と生徒指導(教育臨床Ⅴ)」を開催したところ、受講者は64人にのぼった。
  2. 既に述べたように、教育委員会や学会等の各種委員を務めている。
  3. 9月7-11日に、韓国の日本留学フェアに参加するとともに、京仁教育大学を訪問し交流を行った。また、20年に開催される「第3回中日教師教育学術研究集会」の準備委員長を務めている。

3.本学への総合的貢献(特記事項)

  • 大学院生の指導(課題研究)をはじめとして本学の教育活動において多大の貢献をしたと自負している。さらに、大学運営、及び全国学会等において積極的に活動した。

 

最終更新日:2010年02月15日

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