自己点検・評価報告書 (教育臨床講座) 兼松儀郎

報告者 兼松儀郎

1.学長の定める重点目標

1-1.教育大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

  1. 授業内容:学部生対象の「道徳教育指導論」については,実践的指導力の育成を目指し,基礎知識の定着,学習指導案の作成,今日的課題の3部構成とし,指導内容を体系化する。また,平成18年度は学校教員養成プログラムの受講者の増加にともない受講者が190人となったため,平成19年度は,学部1年次生と学部1年次生以外(ほとんどが大学院生)との2クラスに分けて,講義をリピートするとともに,学生のニーズに即した指導内容となるよう工夫する。
  2. 授業方法:「道徳教育指導論」は,授業ごとにワークシートや班別討論を積極的に取り入れることにより主体的な授業参加を促すとともに,提出物についてはフィードバックに努める。
  3. 成績評価:各時間の出席,提出物,筆記試験等,総合的に評価する。特に大学院生対象の「研究」 「演習」の科目については,研究過程についても評価し,実践と研究との統合を目指す。

(2)点検・評価

  1. 授業内容:「道徳教育指導論」の受講者は177名であり,学部生と大学院生との2クラスに分けて,リピート科目とした。また,計画どおり,授業内容を基礎知識の定着,学習指導案の作成,今日的課題の3部構成とし,指導内容を体系化できた。学習指導案の作成,実地指導講師の招聘などにより,実践的指導力の育成を図った。
  2. 授業方法:「道徳教育指導論」は,授業にワークシートを積極的に取り入れ,主体的な授業参加を促した。大学院の授業においては,現職教員の経験を生かし,発表・討論を積極的に取り入れた。「教育実践研究」「道徳教育指導論演習」については,授業のまとめを冊子として作成した。
  3. 成績評価:学部・大学院ともに,筆記試験のみならず,発表,討論,レポート作成など,学習過程を重視し,複数の資料をもとに,多面的かつ総合的に評価した。

1-2.大学教員としての社会(地域)貢献

(1)目標・計画

  1. 文部科学省の「学習指導要領の改善協力者」として,高等学校公民科「倫理」の今後の指導の在り方について提言し,学習指導要領の改訂方針の策定に寄与する。
  2. 国立教育政策研究所の研究事業において専門的見地から意見を述べるとともに,独立行政法人教員研修センターにおける研修事業において指導・助言等を行う。
  3. 平成19年度に,文部科学省の新規事業として「高・中学校『人間としての在り方生き方』教育の実践研究」が計画されている。このような動きを踏まえ,特に中等教育における道徳教育について,文部科学省の研究指定校等に対して,先導的な実践研究となるよう協力する。

(2)点検・評価

  1. 文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官(併任)として,高等学校公民科「倫理」の学習指導要領の改訂の実務に携わった。
  2. 国立教育政策研究所の「研究指定校(教科別指定)に係る企画委員会の協力者」として,専門的見地から意見を述べた。独立行政法人教員研修センターの「道徳教育指導者養成研修」の講師,及び「教育課題研修指導者海外派遣プログラム」のシニアアドバイザーを務めた。
  3. 文部科学省の「高等学校・中学校『人間としての在り方生き方を考える教育』実践研究事業」について,徳島県の研究重点指定校に対して指導・助言を行った。

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

  1. 平成18年度に引き続き,就職支援に関しては,就職支援室の就職ガイダンスに協力し,模擬面接・模擬授業の指導にあたる。
  2. 兵庫県の教員採用試験受験者が増加しているので,兵庫県教育委員会事務局職員から,教育行政上の課題,教員採用の動向等について情報収集を行い,あわせて教育委員会事務局職員に対して本学の教育の特色などについて説明を行い,PR活動を行う。
  3. 学部生については,卒業研究を通じて,教育の実践的課題に対する関心を高めるとともに,教員としての問題意識の醸成に努める。
  4. 大学院生については,教育実践に関する研究能力とともに,学校の中堅教員として,あるいは教育委員会等の教育行政職員として求められる発想力・分析力・表現力の向上を目指す。

(2)点検・評価

  1. 就職支援に関しては,就職支援室の模擬面接・模擬授業の指導にあたった(5月・8月)。
  2. 兵庫県教育委員会事務局・神戸市教育委員会事務局を訪問し,教員採用の動向等について情報収集を行い,また本学の教育の特色などについて説明を行い,PR活動を行った(1月)。
  3. 学部生については,ゼミ生として3年次生2名,2年次生1名を担当し,「卒業研究」において,研究課題の設定及び研究方法について指導し,また教員採用試験に向けて,参考書をもとに指導した。
  4. 大学院生については,発表・討論の機会を多く設け,教職経験を生かした授業展開に努めた。ゼミ生として,2年次生3名,1年次生2名を担当し,個別指導に重点をおいた。また教育課題の分析・考察の方法を指導し,修了後の教育活動や教育行政実務に必要な資質・能力の涵養に努めた。

2-2.研究

(1)目標・計画

  1. 科学研究費補助金の交付を受け,平成18年度に最終年を迎える研究課題をさらに発展させ,20年度以降の研究課題について応募する。
  2. 論文発表,学会発表等を積極的に行い,研究成果の公表に努める。
  3. 中等教育における道徳教育や公民科教育を中心に,個人研究のみならず,文部科学省等の職員との協議を通じて今後の方向性を探るとともに,中学校・高等学校教育の現実を踏まえつつ,指導内容・指導方法について研究を進め,研究成果の社会的還元を図る。

(2)点検・評価

  1. 科学研究費補助金の交付を受け,「社会的自立を促す高等学校道徳教育プログラムの開発に関する研究」に取り組んだ。
  2. 『中等教育と高等教育とのアーティキュレーション』を刊行した(4月)。
  3. 中等教育段階の道徳教育について,文部科学省の「高等学校・中学校『人間としての在り方生き方を考える教育』実践研究事業」の研究重点指定校の研究動向を調査した(徳島県:10月,2月。宮城県:2月)。また,高等学校の道徳教育について,茨城県教育委員会及び茨城県立太田第二高等学校の訪問調査を実施した(12月)。

2-3.大学運営

(1)目標・計画

  1. 所属する組織及び担当する各種委員会の職務について,大学において蓄積されてきた手法を尊重するとともに,報告者自身の教育委員会等における行政実務の経験を生かし,職務の確実な遂行,事務の迅速化,会議の効率化等を図る。

(2)点検・評価

  1. 施設設備委員会委員及び学生支援委員会委員として,責務を果たした。学生支援委員会においては,「学園だより」編集委員会委員長を務めた。

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

  1. 「教育実践研究」において,道徳教育に関する附属小学校との共同研究を行う。
  2. 徳島県立総合教育センターと連携して,道徳教育に関する実践研究を推進する。
  3. 徳島県内及び県外の小学校・中学校からの校内研修等への出席要請に対しては積極的に応えることとし,道徳教育の課題や今後の方向性について具体的に議論を深めていく。
  4. 平成19年度に,日本教師教育学会第17回研究大会が本学で開催される予定であることから,実行委員長のもと,その運営に協力する。

(2)点検・評価

  1. 「教育実践研究」の一環として「学校の教育活動を通じて行う道徳教育」を主題とする研究会の実施(12月),「第54回小学校教育研究会」での助言(2月)など,道徳教育について附属小学校との共同研究を行った。
  2. 徳島県道徳教育推進協議会会長として,徳島県立総合教育センターと連携して,道徳教育の充実に協力した。
  3. 道徳教育に関する講演,指導助言等については次のとおりである。徳島県中学校教育研究会道徳部会総会:講演(6月)。香川県高松市立十河小学校:講演(8 月)。第18回鳥取県道徳教育研究大会:指導助言・シンポジスト(8月)。徳島県立新野高等学校:講演(10月)。兵庫県豊岡市立府中小学校:講演(6 月),フォーラムのコーディネーター・総括助言(10月)。
  4. 「日本教師教育学会第17回研究大会」が本学で開催され,課題研究の司会を務めるなど,その運営に協力した(9月)。
  5. 独立行政法人教員研修センター「教育課題研修指導者海外派遣プログラム」のシニアアドバイザーを務め,アメリカ合衆国における生徒指導・道徳教育の調査の企画・実施に携わり,研修報告書作成についても助言を行った(6月~3月)。

3.本学への総合的貢献(特記事項)

  1. 中等教育段階の道徳教育について,理論的・実践的研究を進め,その成果を文部科学省教科調査官としての職務に生かすとともに,国立教育政策研究所,独立行政法人教員研修センター等の事業実施に反映させることができた。
  2. 教育委員会における実務経験を生かし,就職支援室の事業に協力した。
  3. 第26回鳴教大教育・文化フォーラム「道徳教育の深化」においてシンポジストを務めた(8月)。
  4. 受託研究(委託者:協同出版株式会社)のとりまとめ役を務めた(4月~3月)。

 

最終更新日:2010年02月15日

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