自己点検・評価報告書(人間形成講座) 梶井一暁

報告者 梶井一暁

1.学長の定める重点目標

1-1.教育大学教員としての授業実践

(1)目標・計画

  1. 学生の理解度と関心の所在を把握して授業を進めるため,授業に対する意見や質問を記すカードを作成し,これを授業ごとに学生に配布し,次回の授業で応答する。授業改善の資料としても活用する。
  2. 中間発表や中間レポートを設定し,学期末までの学習経過を成績評価に反映させる。
  3. 学生の意欲と理解を促すため,授業で視聴覚機器を積極利用する。

(2)点検・評価

  1. 学部「人間形成原論」「学校と人間形成」,大学院「人間形成文化史研究」において,授業カードを活用することにより,学生の理解度や疑問点を把握することができた。授業カードに書かれた質問などについて,翌週の授業でコメントすることにより,授業の連続性を保持することができた。
  2. 大学院「人間形成文化史研究」において,学生が授業内容をもとに自身の関心と重なるテーマを設定し,中間発表を行う課程を設けることにより,学生の持続的な学習意欲や緊張感を一定程度引き出すことができた。また,その取組をサポートすることを通じ,ペーパーテストだけではあらわれない,学習経過を把握・理解し,成績評価に反映させることができた。
  3. 学部「人間形成原論」「学校と人間形成」,大学院「人間形成文化史研究」において,プロジェクターを積極利用し,ビジュアル豊かに資料を示すことができた。同時にオリジナル資料(往来物,聞き取り録音テープなど)も提示し,実物に触れることによる学習喚起も図った。

1-2.大学教員としての社会(地域)貢献

(1)目標・計画

  1. 報道機関の教育文化事業に協力し,新聞の教育欄への記事提供を行う。
  2. 地域に伝存する歴史資料を整理し,地域の文化保存・振興に寄与する。

(2)点検・評価

  1. 岐阜新聞社の「中学生の広場」に3本(文具の歴史,板書の国際比較,経験の意味)の学習コラムを提供し,身近なものから教育を考える楽しさを伝えた。指導学生にも文章力育成の一環として執筆指導し,1本(訓読みの歴史,日独の慣用句比較)が掲載された。
  2. 東広島市黒瀬町史編さん事業に委員として参画し,『黒瀬町史・通史編』を分担執筆した。また,鳴門市高島の昌住寺の理解を得て,同寺が所蔵する資料や書籍(主に近世)を調査し,約500点まで目録作成を進めた。

2.分野別

2-1.教育・学生生活支援

(1)目標・計画

  1. 「学校教育実践Ⅱ」(初開講)において,教育現場との交流経験にもとづき,学生が実感をもって教職理解を深め,また教職意欲が促進されるよう,指導を行う。
  2. 教育史担当科目において,近年研究進展の著しい社会史・文化史的研究の成果をとりいれた人間形成の歴史に関する解説を行う。
  3. 学生が学会や研究会で研究報告できる水準に達するよう,指導を行う。

(2)点検・評価

  1. 「学校教育実践Ⅱ」において,学校教育コース3年次生7人に対し,明神小学校における交流学習を組み入れた体験的プログラムを実施した。学生が自身の課題をもって臨むべくレポートを課し,とりまとめたレポートは後日同校に提出・報告した。附属校実習への動機づけの機会ともなった。
  2. 比較教育社会史研究や教育のメディア史研究の動向をふまえ,とくに文字,出版,読書,語り,モノ・コトに関する成果を授業内容の構成に活かした。
  3. 院生2人を指導し,中国四国教育学会(於広島大学)で研究発表させた。同学会の紀要に論文を投稿し,掲載された。この指導を修士論文作成にも活かした。

2-2.研究

(1)目標・計画

  1. 従来からのテーマである近世寺院教育史研究を進め,関連学会や研究会で報告し,論文にまとめる。
  2. 学内外の研究助成の公募に積極的に申請し,とくに学外資金の調達に重点をおく。
  3. 科学研究費補助金・基盤研究B「知の伝達メディアの歴史研究」の研究分担者として,宗教メディアに関する調査研究を実施する。
  4. 科学研究費補助金・若手研究B「近世人間形成に果たす宗教メディアの意義」の研究代表者として,教育史的観点から寺院や僧侶に関する歴史研究を進める。

(2)点検・評価

  1. 近世寺院の教育史的研究の進展のため,東京,京都,広島,鳴門などの寺院や機関で調査を実施した。とくに広島での調査成果は,その一部を『黒瀬町史』(通史編,2008年)に発表した。
  2. 若手研究B(研究代表)および基盤研究B(研究分担)による補助金(継続)を得た。また,基盤研究B(研究分担)の新規申請を2件行い,外部資金の獲得に努めた。
  3. 基盤研究B「知の伝達メディアの歴史研究」の研究会に参加し,寺院や僧侶に関するメディア史研究の成果と展望を検討した。最終年度であり,報告書を執筆した。
  4. 若手研究B「近世人間形成に果たす宗教メディアの意義」の課題遂行のため,京都,広島,鳴門の寺院で調査を進めた。教育史研究の手法に加え,史蹟史研究の手法も取りいれ,研究の進展を図った。

2-3.大学運営

(1)目標・計画

  1. 前年にひきつづき,就職委員会委員として,本学の運営に貢献する。
  2. 学校教育コースの担任として,コース学生(3年次生)を引率する。

(2)点検・評価

  1. 就職委員会委員として,とくに教員採用試験対策の模擬面接・授業に取り組んだ。
  2. 学校教育コース3年次生の担任として,とくに附属校実習の事前・事後指導に取り組んだ。ビデオ撮影した授業映像の分析を行い,学生の省察が深まるように指導した。分析シートを作成し,それをもとに改善指導案を考案し,附属校に提出した。

2-4.附属学校・社会との連携、国際交流等

(1)目標・計画

  1. 地域の教育研究機関と連携し,地域人間形成作用に関する共同研究を進める。
  2. 地域の学校と連携し,教職志望学生がボランティアとして学校で授業補助や業務補助を行う活動を計画・実施する。
  3. 留学生の受けいれ体制を整える。

(2)点検・評価

  1. 徳島埋蔵文化財センターの片山純州氏および木内陽一教授と共同研究を行った。その成果は共著論文としてまとめ,本年度の『鳴門教育大学学校教育研究紀要』に掲載された。
  2. 学生のボランティア実践の意義を重視した。指導学生5人が小学校や施設に週1日や2日で定期的・継続的に通い,授業補助やクラブ活動支援の活動にあたった。
  3. 希望する留学生があれば受けいれたが,希望者はいなかった。

3.本学への総合的貢献(特記事項)

  1. 現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)に「遍路文化を活かした地域人間力の育成」の取組で申請し,採択された。事業計画・申請書執筆者のひとりとして尽力した。実行委員として,初年度の事業(大学院歩き遍路授業の実施と学部への拡充,高大連携による歩き遍路体験プログラム,学生ボランティアによる市民の歩き遍路体験,神山町の文化史・教育史調査〈町田哲准教授と共同〉,シンポジウム報告など)を実行した。
  2. 鳴門市教育振興計画実施計画検討委員会(委員長・西村公孝教授)の委員として,学校(園)の再編,幼稚園教育,学校給食などの課題について審議した。同委員会で実施計画案をまとめ,鳴門市教育委員会に提出した。教育学専門家として地方教育行政に貢献した。
  3. 日本教育大学協会の香川集会(於香川大学)に研究報告者として参加し,「教員養成の歴史と課題」について報告した。歴史の角度から教員養成の課題と展望を指摘した。
最終更新日:2010年02月15日

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