鳴門教育大学年次報告書(平成15年度版) 総論

1.教育理念・目標

  鳴門教育大学は,学校教育に係る諸科学の理論的及び実践的研究を総合的に推進するとともに豊かな教養を培い,人間性に対する多面的な理解と深い人間愛とに支えられた教育者としての使命感をもつ有為な教員を育成し,もって教育,学術及び文化の進展に寄与することを目的とする。この教育理念・目標を実現するために,本学に学校教育学部及び大学院学校教育研究科(修士課程)を設置している。
  学校教育学部は,学術の中心として広く豊かな知識を授けるとともに,学校教育に関する専門の学芸を教授研究し,知的,道徳的及び応用的能力を展開しうる優れた初等教育教員及び中学校教員を養成することを目的とする。
  大学院学校教育研究科(修士課程)は,広い視野に立って精深な学識を授け,学校教育に関する理論と応用及び教育実践の場における高度な教育研究能力を養うとともに,教育に携わる者の使命と熱意に応え,その研究研鑽を推進することを目的とする。
  このように本学の学校教育学部,大学院学校教育研究科(修士課程)の教育理念・目標は設定されており,開学時から現在に至るまで堅持されている。

2.平成15年度の主な取組

大学改革

  1. 教育組織の改革
      社会的ニーズへの対応,入学定員の充足等をねらいとした大学院教育組織の見直しを行い,平成17年4月実施に向けて,(1)専攻・コース別入学定員の改正,(2)長期履修学生制度利用による 「学校教員養成プログラム」の導入,(3)言語系(国語)コース内への「日本語教育分野」の開設を決定した。
  2. 教員組織の改革
      国立大学法人化後の状況や新しい教育組織等に対応するため,平成16年度における教員配置計画を策定するとともに,中期目標期間中の教職員定員管理方針について検討を行った。

教育研究活動

  1. 教職必携ハンドブックの発行について
      学生や教職員向けの用語解説集「教職必携ハンドブック」(発行所:㈱教育開発研究所)を発刊した。 「(1)教職編」(271頁),「(2)教科教育編」(290頁)の2冊からなり,1つの用語を1頁で解説している。
      このハンドブックは,本学が創立20周年を迎えた2001年に発刊が計画され,佐々木副学長を中心に,本学の教員,修了生(現職教員)など関係者約200人が各専門分野の執筆を担当した。
  2. ファカルティ・ディベロップメント推進事業について
      平成12年度から続けてきた本事業により,学内において,FDに対する理解や授業改善に対する関心が次第に高まってきたところである。これを受け,平成15年度は教員養成大学である本学の重点施策の一つとして年間行事予定の中に位置づけ,シンポジウム及び学部授業の公開を実施した。
    ファカルティ・ディベロップメント推進事業
    1. 学部授業改善のためのシンポジウム    平成15年9月3日(水)
      • 第1部【教養教育の改善に関するシンポジウム】

        基調講演
        「学部(学士課程)教育に求められること-大衆化する大学における大学教員の役割-」
        国際基督教大学長  絹川 正吉 氏

      • 第2部【学部授業方法の改善に関するシンポジウム】

         

    2. 学部の授業公開週間と特別公開授業

      平成15年5月26日(月)~5月30日(金)

その他の活動

  1. 高校生等に対する大学説明会・大学授業等体験活動について

      高校生・保護者・学校関係者を対象にした,大学説明会と大学授業等体験活動「1日鳴教大生-自己の生き方を考えよう-」を,今年度から同時開催することとし,7月28日(月)に実施した。
      同時開催したことにより,四国地区を中心とする38高等学校から,例年より100人以上多い345人の参加を得た。

  2. 国際学術交流協定締結について

      5月5日(月)にオーストラリア連邦のアデレード大学と,6月20日(金)にタイ王国のシーナカリンウィロート大学との間で学術交流協定及び学生交流に関する協定を締結した。今回の締結により,大学の学術交流協定校は,アジア,アメリカ,ヨーロッパ,アフリカ,オセアニアの12大学1機関,附属小学校,附属幼稚園の締結校はそれぞれ1機関となった。

3.国立大学法人化に向けた取組

  平成16年4月1日からの国立大学法人化に向け,全学体制で移行準備に取り組んだ。

次期学長候補者の選考について

  溝上 泰前学長の平成16年3月末任期満了に伴い,国立大学法人法附則の規定に基づく鳴門教育大学次期学長選考会議(以下「選考会議」という。)を設置して,次のとおり次期学長候補者の選考作業を行った。
  (選考経過)
平成15年10月 1日(水)
15日(水)
29日(水)
12月 3日(水)
  第1回選考会議(選考基準等の決定)
  次期学長候補者の推薦投票
  次期学長候補者の意向聴取投票
  第2回選考会議

  第2回選考会議において,意向聴取投票により選出された3人の候補者のうちから,大学運営等に関する構想等を記載した候補者調書を基に協議した結果,本学学校教育学部社会系教育講座の高橋 啓教授(附属図書館長併任,65歳)が次期学長候補者として選考された。
  なお,任期は平成16年4月1日から4年間の予定である。

学内説明会等の開催について

  国立大学法人化に向け,関連する事項について教職員へ周知する説明会等を,次のとおり開催した。

★第1回全学教職員集会(平成15年4月23日(水))
  1. 国立大学法人(仮称)鳴門教育大学の中期目標・中期計画(案)について
  2. 教員養成コアカリキュラムの開発について
★第2回全学教職員集会(平成15年8月1日(金))
  1. 鳴門教育大学の国立大学法人化に係る検討状況について
  2. 鳴門教育大学次期学長選考基準について
★第3回全学教職員集会(平成16年1月28日(水))
  1. 就業規則で定める各種規定(案)について
  2. 教員の裁量労働制について
  3. 職員の過半数を代表する者の選出方法等について
★就業規則関係説明会(平成15年12月22日(月))
★法人化に伴う財務会計制度導入説明会(平成16年2月19日(木))
  1. 法人化に伴う財務会計制度の概要説明について
★法人化に伴う財務会計システム導入説明会(平成16年3月1日(月),3月8日(月))
  1. 法人化に伴い導入される財務会計システムについて
  2. 物品請求システムの操作説明について

国立大学法人化対策室の解散について

  平成14年1月16日に事務局内に設置され,国立大学法人化に向けての準備をすすめてきた「国立大学法人化対策室」が,本学の中期目標・中期計画(素案)の策定が終了したことに伴い,平成15年9月30日をもって解散した。
  解散後は,庶務課内に法人化担当職員2人を配置し,各課連携のもとに法人化移行作業を行った。

4.大学評価・学位授与機構による大学評価

全学テーマ別評価「国際的な連携及び交流活動」(平成14年度着手)について

  大学評価・学位授与機構が実施する評価は,大学等が競争的環境の中で個性が輝く機関として一層発展するよう,大学等の教育研究活動等の状況や成果を多面的に評価することにより,その教育研究活動等の改善に役立てるとともに,評価結果を社会に公表することにより,公共的機関としての大学等の諸活動について,広く国民に理解と支持が得られるよう支援・促進していくことを目的に,本年度は「国際的な連携及び交流活動」について評価が行われた。
  その評価結果は,大学評価・学位授与機構から平成16年3月19日に「評価報告書」として,冊子及びホームページ(URL:http://www.niad.ac.jp学外のサイトへ移動します)で,広く社会に公表された。
  本学に対する評価結果 pdf(69KB)の概要は次のとおりである。

評価項目 特に優れた点及び改善を要する点 水準
実施体制 該当なし 目的及び目標の達成に相応に貢献している。
活動の内容及び方法 教員養成系大学の特徴を活かし,開発途上国から教員研修留学生を継続的に受入れている点は特色がある。
JICAとの共同による,南アフリカ・ラオス・タイへの教育系単科大学の特色を活かした教育支援事業を継続的に実施している点は特色がある。
目的及び目標の達成に相応に貢献している。
活動の実績及び効果 JICAとの連携によって開発途上国との交流が進展し,対象国の発展に寄与しており,特に,南アフリカへの協力は,ヨハネスブルグサミットで開発途上国への教育支援の好例として紹介されるなど,高い評価を得ている点は特に優れている。
鳴門市教育委員会と連携して実施している「外国青年と小学生の国際交流活動」は,参加者数・回数ともに盛況であり,地域での国際交流活動の活性化につなげていると同時に,教育単科大学の特色が教育現場で有効に活用されており,特に優れている。
目的及び目標で意図した活動の実績や効果が相応に挙がっている。

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最終更新日:2010年03月10日

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