第2回鳴門教育大学運営諮問会議議事要録

日時

平成13年3月7日(水)  14:00~16:05

場所

ルネッサンスリゾートナルト 8階「マジィルーム」

出席者

井内慶次郎 会長((財)日本視聴覚協会会長)
桑原信義  副会長((株)徳島銀行相談役)
青木武久  委員(徳島県教育委員会教育長)
大塚  公  委員(大塚化学(株)代表取締役会長)
佐藤修策  委員(湊川女子短期大学長)
高木弘子  委員(元 徳島県教育委員会教育委員長)
高倉  翔  委員(明海大学長)
中野重人  委員(日本体育大学教授)
野原 明   委員(文化女子大学教授)

欠席者

亀井俊明  委員(鳴門市長)

陪席者

溝上学長,佐々木副学長,福岡副学長,田浦事務局長,橋本附属図書館長,田中第1部学部主事,田辺運営評議会委員(第2部),西村第3部学部主事,中川第4部学部主事,吉田第5部学部主事,その他事務局職員

会議次第

(1)開会

  総務部長から会議の開会が告げられた後,溝上学長から,本会議への出席に対するお礼等を含めた挨拶が行われた。

(2)出席者紹介

  井内会長から,前回,公務により欠席した青木委員の紹介が行われた。また,今回は亀井委員が公務のため欠席している旨,説明が行われた。

(3)日程・資料確認

  総務部長から配付資料の有無の確認,並びに日程説明が行われた。

(4)議事

  溝上学長から配付資料等に基づき,「鳴門教育大学の教育理念・目標」の趣旨説明,及び前回会議以降の大学の概況報告等が行われた。

〔大学側からの説明内容〕

  1. 第1回運営諮問会議で提起された事項
  2. 鳴門教育大学の理念・目標
  3. 鳴門教育大学の目標
  4. 学部の目標
  5. 大学院の目標
  6. 大学の社会貢献・社会に対する貢献
  7. 大学の社会貢献・国際貢献
  8. 学部・大学院の目標の実現に向けたカリキュラムの整備
  9. 入学定員確保(学部)
  10. 入学定員確保(大学院)
  11. 学生の進路選択への支援
  12. 地域連携
  13. 附属学校園の研究会
  14. 今後の課題の解決

〔審議〕

  1. 鳴門教育大学の教育理念・目標等について
    1. 教育理念・目標について
      • 委員の発言

          鳴教大の理念・目標は実によく整理・体系化されていると思う。
          大学審答申等で「個性が輝く大学」が述べられている他,特に今後は「教養教育」の問題が重要になると思う。一方,国立の教員養成系大学・学部をめぐる議論の中で,「小学校教員養成に特化すべきではないか」との意見がかなり前面に出されている。
          「個性が輝く大学」と「小学校教員養成に特化する」こととの関係,並びに鳴教大の理念・目標との関連については,どのように考えているか。

      • 大学側の発言

          本学学部では小・中学校の義務教育教員の養成を行っている。学部においては,教員としての基礎的な資質能力を身につけ,一通りのことができるだけの力量を持つ教員を4年間の中で育成していく。その中心は「子ども理解=子どもの心が分かる教員」であるとともに,「授業が出来る教員」を育成するねらいがある。また,「地域の自然・文化」に対する理解を十分に携え,地域の素材を教育の中に生かし,教材化する力量を付けさせる。併せて,現代の課題でもある「国際交流」や「環境問題」等に大きく関与できるよう,基礎的な知識を十分身につけさせることを考えている。
          更に,情報処理能力やコミュニケーション能力(日本語,英語)がこれからの教員にとっては基礎的なことになると考え,カリキュラムの充実を図った。特に,他大学にはない特色として,小学校教育専修の中に「英語科教育コース」,「技術科教育コース」を設定した。これらのコースは中学校教育専修に従うという意味ではなく,小学校の段階において現在求められているものに応えていこうという立場で設定したものである。

      • 委員の発言

          教師は,専門職としての知識・技能に加えて,優れた人間性を基盤とする必要があると思う。特に教師としての人間性が,最も子どもに反映するので大事だと思う。具体的には,一人一人の教師が,子ども,学校,地域に対して「奉仕の心」を持つことが大切だと思う。

      • 委員の発言

          例えば学生の部活動,或いは学生,教官によるボランティア活動等は,大学の目標や大学の具体的な事業とどのように関連していくのか。
          「教育」は全人格的なものを相手に与え,対価や報酬等で計りきれないものであり,本来,ボランティア活動ではないかと思う。そのように考えると,大学としての教育理念・目標において,学部・大学院ともに「奉仕の心」を育成していくことが必要になると思う。理念・目標の中に人間としての温かみを加える部分があってもよいのではないかと感じた。

      • 大学側の発言

          御指摘のあった点については,学部の具体的目標を実現するための重点項目として取り上げている。

      • 大学側の発言

          学部生と教官による「フレンドシップ事業」や,学部生,大学院生による「小・中学生等とのふれあい事業(部活動支援ボランティア)」を展開している。これらは,学生が地域の子どもたちとのふれあいを通して,子どもに対する理解を深め,実践的指導力の基礎を身につけるとともに,地域の教育や部活動の活性化にも寄与する事業である。
          また,「教育支援講師・アドバイザー等派遣事業」は教官のボランティア活動の一つになると思う。
          更に,教員免許取得のため「介護体験」が義務付けられている。やはり,「奉仕の精神」,ボランティア活動は非常に重要であり,今後,組織的に行わなければならないと思う。「子どもとのふれあい」を中心として,積極的に子どもの行事(運動会,文化祭等)に学生が参加し,子どもと共に活動する体験を積ませることが,ボランティア精神を育成する上でも必要になると考えている。

      • 委員の発言

          学長のリーダーシップと実行のスピードの速さを高く評価したい。
          鳴教大の目標には「専門的学識」,「教育実践力」,「分かる授業」,「臨床の知」,「総合の知」という言葉が並んでいる。これらのねらいを成果に結び付けるためにも,まずは実行することが大切だと思う。
          「教育支援講師・アドバイザー等派遣事業」について,企業の世界でも言えることだが,「現場」を知る,「現場」での経験を積むという点からも大事なことだと思う。
          また,身に付けた専門の学力を基に,相手に教え,理解させるスキル,自分の考えを相手に伝えることはなかなか難しい。しかし大学の目標達成のために今後とも努力して,素晴らしい結果を出してもらいたいと思う。

      • 委員の発言

          教育理念・目標は上手にまとめていると感じたが,同時に更にインパクトが必要と感じた。
          例えば関東地区で教職を希望する生徒に対して,鳴教大へ進学するよう推薦する材料は何か。また,研修に出したい教師に対して鳴教大の大学院を勧めるための材料が理念・目標からは十分見当たらない。それはつまり,鳴教大としての独自性が色濃く出ている部分が十分でないということである。
          学長の説明からは,情報処理能力や小学校における英語教育等,独自性があるように感じたが,理念・目標を見る限りにおいては鳴教大の特色があまり強く出てきていない。

      • 委員の発言

          教員養成大学として基本的に必要なものはそなえておかなければならない。問題はその次で,鳴教大は何をセールスポイントとするか,他の教育系大学との違いは何か,メリハリをつける必要があると思う。
          鳴教大大学院へ入ったことがプラスになって,学校に還元されるようになることが重要なポイントである。また,「幼稚園・小学校の連携」等,他大学で打ち出していないようなことを前面に出せばよいと思う。

    2. 大学院改革について
      • 委員の発言

          教員養成系大学において,教科専門の教官と教科教育の教官との間で連携が適切にいっているかということが,現在大いに議論されているところである。鳴教大においては,双方の連携協力がうまくいっているか。この点が「授業が出来る教員の養成」を行うにあたっての大きなポイントにもなると思う。

      • 委員の発言

          現在,大学院の「教育学修士」が限りなく「文学修士」,「理学修士」等,専門的な内容のものになっていないか,ということが問われている。

      • 委員の発言

          「教育実践から教育理論へ,教育理論から教育実践へ」という循環が新構想大学における特色でもあったが,実現が困難なことから苦慮しており,必ずしも創設期のような新構想大学になっていないのではないかという評価もされている。アカデミックな学問を追求することが従来からの大学の姿勢でもあったので,「実践」は学問ではないという見方もあって,なかなか実現は難しい。これを如何にして具体化するかが,今後の新構想大学の性格を決めるのではないかと思う。
          鳴教大の改組のプロセスにおいて,「教科」と「教科教育法=教職」との統合についてはどのような議論になったのか。

      • 大学側の発言

          本学としては,新構想大学の初心に戻り,「実践研究」に収斂していくようにしなければならないという立場である。
          各教科のコースにおいては,「学習」をモットーとして教材開発していくという立場をとっている。例えば理科の専門領域では,「実験」を重視し,大学内での授業,研究だけにとどめないで,学校でも実際に行っているケースも多々ある。つまり専門領域の教官も「実践」をしながら専門分野を分かりやすく教えていこうという姿勢になっている。もちろん,教科教育の教官にあっては,「専門」と「実践」との仲立ちをしているが,やはり講座の中での相互コミュニケーションが大切だと思う。一歩高まった次元で「教育」に,或いは「学生」,「児童・生徒」に焦点を合わせ,協力していくことが必要だと思う。
          大学院においては,新たに「教育実践研究」という必修科目を設けた。これは,院生が課題を持ち,それに附属学校,公立学校の教員が加わり,更に教科教育の教官,専門領域の教官が加わって,全ての専門領域の立場から「実践」について,また現代の課題解決について知恵を出し合うものである。当該科目が一つの転機となって,学部の教育指導においても同様の形が行われることを望んでおり,今後,努力していかなければならない重要なことだと思う。事案ができれば,これを大学のFDで紹介し,評価する。その検討結果については,運営諮問会議でお示しし,議論して頂きたいと考えている。

      • 委員の発言

          「国立の教員養成系大学・学部の在り方に関する懇談会」の中で問題になっているのが,設置審における教科教育法の教官資格審査に関することである。当該審査は,まず教科の専門領域で審査をし,そこをクリアすれば教科教育法で審査をする。このことがかなり大きなネックになっている。全国の教員養成系大学・学部に修士課程が出来ているので,今後新たに審査を必要とすることはないと思われるが,その考え方が各大学に脈々と生きているのではないか。現段階でいろいろな議論がなされているが,なかなか収斂することが難しい状況である。これについて,大学側が教科教育法の在り方について確固たる成果を収めてもらえれば,設置審の方が変わらざるを得なくなると思う。
          同様に,「実践-理論-実践」のプロセスを通して素晴らしい成果が得られれば,それを提示することによって設置審のルールを変えるきっかけになるのではないかと思う。
          難しいことではあるが,大学が成果を上げ,それが大きなインパクトとなって設置審のルールが変わっていく。そのことによって,教科専門と教科教育の関係も自ずと解決していき,更には大学の目標が実のあるものになる。そのような循環が生まれるきっかけを大学に期待したい。

    3. 地域社会への貢献と教育研究活動との関係について
      • 委員の発言

          近年,大学には社会的展開が求められているが,スタッフを増員することができないため,教育研究以外の仕事量が増え,大学の核心が弱まる心配がある。地域社会への貢献と教育研究活動との整合性については,どのように考えられるか。

      • 大学側の発言

          目標を具現化するためには,学部・大学院のカリキュラムをしっかりとしたものとし,学生への教育指導,教官の研究活動を中心に据え,それにプラスして社会貢献,国際貢献を考えていかなければならない。
          大学は社会からの理解と支援を得ることが求められており,特に本学は大学院に現職教員を多く迎える上でも地域の支援が必要である。そのため,大学としての本来の活動と地域貢献とのバランスを如何にとるかということは重要なことである。「教育支援講師・アドバイザー等派遣事業」についても,大学の授業や行事に差し支えない範囲で適切なバランスをとって行っていきたい。

      • 委員の発言

          「教育支援講師・アドバイザー等派遣事業」は学校として,大変ありがたい。大学教官には負担となるかもしれないが,堅苦しく考えず,親しみやすく,分かりやすい講演等をお願いするとともに,本事業が長く続いてもらいたいと思う。
          また,将来的には,児童・生徒を対象に,夏休み等を利用しての大学開放等を行ってもらいたい。

    4. 教員採用について
      • 委員の発言

          専門教科の学力は当然であるが,教える力と更にもう一つ何らかの特色を身に付けて学校に出てもらいたい。特色としては,サークル活動において活発であるとか,特技があるというのでもよい。それがあれば,子どもとの間の接点が出来て,コミュニケーションも上手くいくと思う。子どもを引きつけるだけの輝くものを持って教壇に立ってもらいたいので,大学でもそのための施策を考えてもらいたいと思う。

      • 委員の発言

          徳島県においては,今後,それほど教員が減るということはなく,7~8年後には退職者数が200人程度に上がっていくものと見込んでいる。ただ,若干余裕を残して,計画を立てて採用していく考えである。
          以上のような意見等が出された後,井内会長から,今回出された意見を「鳴門教育大学の教育理念・目標」における「学部・大学院の具体的目標,重点項目」にどのように反映するかを大学側で検討・整理するよう,溝上学長に対して要望が出された。

  2. その他(次回の会議について)

      井内会長から次回会議の持ち方等について質問が出され,溝上学長から「次回は,学部・大学院の具体的目標を実現化していく過程について,より具体的な案をお示しし,それに対して御意見をいただきたい。」との説明が行われた。

(5)閉会

最終更新日:2010年03月19日

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